第四章 「宮古果穂歌(みやこ かほか)・初等部四年生の場合?」

 

 放課後の特別授業は、宮古果穂歌にとって辛いものだった。

「う、うくっ、ぅん、ちゅ、ちゅぱ…ん、ぅんはぁ、うくぅん…」

 口腔内いっぱいに担任教師、米湊勇次郎(こみなと ゆうじろう)のペニスを頬張り、堅く膨張したそれに、唾液をいっぱいに塗した舌を絡める。

「こら宮古ッ! もっと気合いをいれんかッ」

 気合いをいれろといわれても、果穂歌はどうしていいかわからない。

 それでもいわれた通り、舌の動きを速め、桜色の唇を黒い肉棒に吸いつかせる。

「おおぅ。そうだ、やればできるじゃないか」

 そういわれても、なにも嬉しくない。

 ただ、悲しいだけだ。

「うっ」

 声と同時に、教員用の洋式便器に座った勇次郎が、股の間に跪いて奉仕する果穂歌の形のよい小さな頭を、鷲掴みにして固定する。

 果穂歌は「…くる」と、咽の奥に放出されるであろうモノに備えた。

 予想通り、咽の奥にぶちまけられる欲望汁。

 果穂歌はもう何度こうされたか憶えてないが、この欲望を宿した白濁汁になれることがない。

 ツンッと鼻腔を刺激する生臭さ。咽に引っかかって、素直に下におりてくれない。舌がざらざらして、苦い。

 それら全て、果穂歌は嫌いだった。

 しかし勇次郎がしぼみ始めた黒い肉棒を口から抜くと、口内に溜まった白濁汁を、果穂歌は少しむせながらも飲み込んだ。

 なんとか唾液を出す努力をして、舌に残った苦みを洗い、咽に引っかかっている残りといっしょに嚥下する。

 そしていつものように、しぼんで小さく(とっても、果穂歌にとっては大きい)なった肉棒を再びくわえ、きれいに洗うように舐めた。

「あ、ありかとう…ございました。ごしゅじん…さま…」

 髪をサイドで三つ編みにした頭を下げ、果穂歌はトイレの床に両手をついて深々とおじぎをする。

「あぁ。どうだ、美味かったか?」

「…は、はい。とても、おいしくいただきました」

「そうか。そうか」

 勇次郎はモノをズボンに収め、果穂歌を残して個室トイレをでていった。

 トイレのドアが閉まり、去っていく勇次郎の足音が聞こえなくなった頃、果穂歌は声を殺して泣きだした。

「ぅっ…うぅ…」

 閉じられた瞳から大粒の涙が溢れ、果穂歌の制服と教員トイレの床に沁みをつくる。

 果穂歌は両手で顔を覆い、丸まってうずくまり、トイレの床に額を押しつけて泣き続けた。

 泣くことしか、今の果穂歌にはできないのだから。

 泣くことで少しでも楽になれるのなら、例えなにも解決してくれなくとも、果穂歌にとって泣くことは無意味ではなかった。

 

 果穂歌が勇次郎に初めてレイプされたのは、今から二週間ほど前のことだった。

 体育の授業で、果穂歌一人だけ跳び箱が跳べなかったことを体育教師から告げられた勇次郎は、放課後果穂歌をグラウンドの隅にある、ほとんど使われていない体育倉庫前に呼び出した。

「先生が跳び箱の練習をみてやる」

 というのが理由だったが、普通、なぜそんな場所に呼び出すのか疑問に思うものだ。しかし、素直な果穂歌は疑いもしなかった。

「跳び箱は苦手だし、自分一人だけ跳べないのは恥ずかしい。先生がせっかくそういってくれるのだがら、みてもらおう」

 そんなことを考えながら、体操着で指定の場所に向かった。

 そして、埃っぽい体育倉庫の中で、勇次郎に処女を奪われた。

 勇次郎は果穂歌の担任を務めるようになってから、ずっとこんなチャンスを捜していた。教壇に立ち、自分の席におとなしく座っている果穂歌をみるだけで、勇次郎の股間は熱を帯び、頭の中ではいつも果穂歌を犯していた。

 それほどに、果穂歌は勇次郎に「これだ」と思わせる美少女で、さらさらのやわらかそうな黒髪をサイドで三つ編みにし、丁寧な造形をした日本人形のような顔をもつ彼女は、少女偏愛者の勇次郎にとってはたまらない生徒だった。

 性格はおとなしく、素直で純朴。勉強の成績はよいが、運動は苦手。昼休みには、たいてい図書館で本を読んでいる。

 全て、勇次郎の好みにピッタリだった。

「いつか、絶対俺のモノにしてやる」

 教師としても男としても最低の想像をしながら、勇次郎は頭の中で自分に犯されている果穂歌に告げた。

 そして、その通りに実行した。

 左の手の平で口を塞ぎ、右の手の平で細い両手首を掴んで古びたマットに押し倒すと、果穂歌は黒目がちの大きな瞳を目一杯に開いて、固まってしまった。

 声を出されては困るので、勇次郎は容易してきたガムテープで果穂歌の口を塞ぎ、着ていた体操着とブルマを剥ぎ取った。

 真っ白な柔肌が露わになり、「少し膨らんでいるかも」というくらいの胸が丸見えになる。果穂歌が身に着けているのは、大きめのショーツと靴下、そして運動靴だけとなる。

 勇次郎は果穂歌の肩を掴み、マットに押しつける。果穂歌は抵抗したが、非力すぎて問題にならなかった。

 薄い胸に顔を埋め、先端に口をつける勇次郎。果穂歌はくぐもったうめき声を発しながら、なんとか自由になる頭を左右に振った。それでどうなるわけでもなかったが。

 ちゅくちゅくと、果穂歌の先端の上で勇次郎が舌を蠢かす。やわらかい、というよりはやわらかすぎる果穂歌の先端部分。勇次郎は夢中で吸った。

 果穂歌は気持ちが悪いというより、なぜ自分が「こんなことをされているのか」という疑問に支配されていた。

 素直…いや、単純な果穂歌は担任教師の勇次郎を信頼していたし、「こんなこと」をされるとは夢にも思っていなかった。

 確かにそうだろう。普通、教師が生徒をレイプするなどと考えるものではない。それに果穂歌は、まだ小学四年生である。

 テレビでなどで、「裸の男の人と女の人が抱き合う」ことがある。ということは知っていたが、それが「どういう」ことなのか理解していないし、「セックス」という言葉すらも知らなかった。

 それに果穂歌は、他愛ないお遊びでの自慰も経験したことがない。

 生理の穴(果穂歌はまだ初潮を迎えていないが)は触っていけない場所だと教えられていたし、触りたいと思ったこともない。

 だが今の自分が、とても危険な状態にあるというのはわかる。裸にされて恥ずかしいとも思う。しかし勇次郎の行為に、どういった意味があるのかは理解していなかった。

(怖いッ)

(イヤッ)

(助けてッ)

(助けてお母さんッ!)

 そう、叶えられない願いを心の中で絶叫する果穂歌のショーツを、勇次郎の大きな手がづり下ろした。

 膝もとで丸まるショーツ。

 そして、果穂歌自身触れたことのない穴に、勇次郎の太い指が触れた。

(い、いやあぁ…イヤアァアァァッ! や、やめてっ、やめてえぇッ)

 それは恐怖。

 果穂歌に圧倒的な恐怖が襲いかかった。

 グニュ

 勇次郎の指の力に、果穂歌の大切な場所が歪む。

 果穂歌の背筋を、ゾクッと電流が走った。

 気持ち悪いとしかいいようがない。

 胃の中から酸っぱいものが這い上がった。

 果穂歌は何度も藻掻いたが、やはりそれは抵抗にならない。勇次郎は軽々と果穂歌を押さえつけ、指を捏ね続ける。

「ウッ、ウグウゥッ」

 やめてください。許してください。果穂歌の懇願は言葉にならない。なったとしても、勇次郎はやめなかったが。

「濡れねぇな」

 勇次郎が呟いた。

 そして、

「まぁ、いいか」

 ベルトを解き、ズボンを下ろした。

 黒光りするモノが露わになる。果穂歌は目を逸らせた。

 父親以外のモノをみたのは初めてだった。それに父親のモノはフニャフニャしているのに、勇次郎のそれは堅い棒のようで、父のモノよりも太く、大きかった。

 もちろんそれは勇次郎が勃起しているからなのだが、果穂歌には理解できなかった。「そんなこと」は知らないからだ。

 勇次郎の下半身が果穂歌の股の間に割り込み、脚を開かせる。

 果穂歌の割れ目に、勇次郎はモノをそえた。

「古宮…痛いぞ、ガマンしろよ」

 痛い?

 なにが? なにをするの?

 痛いの?

 どうして? どうして痛いことをするの?

 どうして、痛いことをされるの?

 膨らむ疑問。

 だがそんな疑問は、身体を串刺しにされたような激痛に吹き飛んだ。

「ウグギイィ!」

 頭の中が真紅に染まった。

「ヒグッ、イギッ、ギイィッ!」

 下半身に、勇次郎の重さがのし掛かる。

 何度も。繰り返し。

(い、いたああぁあぁーぃいぃッ!)

 果穂歌がこれまでに感じたこともない激痛。

「い、いいそ古宮。最高だ。お前のマンコ、最高だぞッ」

 勇次郎の言葉は、果穂歌の耳には届いていなかった。

 果穂歌を支配していたのはただ一つ。

 激痛だった。

 それは股間から身体全体に広がり、荒々しい波のように何度も果穂歌を飲み込んだ。

 何度目かの波に、ついに果穂歌は意識を浚われた。

 気絶した果穂歌に、勇次郎は腰を打つ。

 初めて異性と繋がった股間を紅く染め、その痛みに意識を断ち切られぐったりと脱力した果穂歌に、何度もなんども、勇次郎は腰を打った。

 白くドロドロした欲望を、果穂歌の小さな膣内に吐き出すまで…。

 

     ☆

 

 その日から果穂歌は、勇次郎の奴隷となった。

 逆らえなかった。

「誰にもいうな。いえば、「これ」を学園中で上映するぞ」

 そういって果穂歌は、RDVカメラ(デジカメの高性能なやつだと思ってくれればいい)に収められた、自分の裸映像をみせられた。

 それには果穂歌の顔も、恥ずかしい場所も、鮮明に写っていた。しかし勇次郎の姿は、果穂歌の身体をまさぐる腕しか写っていない。

 果穂歌になす術はなく、ただ泣きながら肯いた。

 誓約の証として勇次郎のモノをしゃぶらされ、精液を飲まされ、小便まで飲まされた。その姿も、カメラに収められた。

 ズキズキと痛む股間。涙も、破瓜の証も止まらない。

「ど、どうして…こんな、こんなこと…」

 唇の端から精液を滴らせて問う果穂歌に、勇次郎は答えた。

「それは、古宮がかわいすぎるからだ。そうだ、お前が俺にこうさせたんだ」

 勇次郎の言葉の意味は、果穂歌には理解できなかった。

 だが自分が勇次郎に捕らえられ、逆らうこともできないのは理解した。

 逃げられない。にげられない。ニゲラレナイ…。

 もう…逃げられない。

 毎日続く特別授業。

 平日はもちろん、休日も呼び出されて行われる。

 勇次郎には妻子があるため、休日の特別授業はラブホテルで行われていた。それも、マニアックなプレイを想定してつくられているホテルでだ。

 性具が豊富に揃い、大声を出しても問題のないホテル。

 そこでの「授業」は、放課後の特別授業とは比べモノにならないくらい辛い。

 勇次郎は果穂歌の身体にあからさまな傷をつくるようなことはしないが、性器やアナルには容赦ない陵辱を与えた。

 針を刺す。バイブを挿入する。浣腸をし、果穂歌が痙攣を始めるまで我慢させる。そして吐き出したモノを食べさる。

 そして今日、ホテルでの三回目の授業が行われた。

「どうだ、自分の糞は美味いか?」

「…はい。おいしい…です…」

 そう答えた果穂歌に、「そんなに糞が好きなら」と、自分のモノも食べさせた。

 しかし果穂歌は、どうしても勇次郎の排泄物を全部食べることができず(お腹がいっぱいになったからだ)、残りを自分で膣内に詰めこむようにいわれ、その通りにした。

 グイグイと勇次郎の排泄物を狭いに膣内に詰め込む果穂歌。

「…は、入りました…」

「じゃあ、出せ。手は使うなよ。マンコから糞を放り出すんだ」

「…はい」

 下腹部に力を込める。だが思ったようにいかない。

「ふっ、ふうっんッ」

 排泄物色に染められた股間の閉じた肉の奥から、にょるっと汚物が吐き出された。

「で、でました」

「ククッ…どうだ古宮。マンコから糞を放った気分は?」

 どうだと訊かれても、なんと答えればいいのか? 気持ち悪いに決まっている。

 だが果穂歌は、

「気持ち…いい、です…」

 と答えた。

「ハハッ! そうか? 気持ちいいか?」

「…は、はい…」

「変態だな、古宮は。マンコから糞を漏らして気持ちいいなんていう小学生は、お前くらいのもんだぞ。なぁ? そうだろ」

「そ、そうだと…思い…ます」

「変態か? お前は変態なのか?」

「そうかも…しれません」

「そうなのか違うのかハッキリしろッ!」

「そ、そうです。あたしは、へんたいです」

「どう変態なんだ。いってみろ」

「はい…あたしは、まんこからうんちして、気持ちいいと思う…へんたいです…」

「そうだ。お前は変態だ」

「…はい。あたしは、へんたいです…」

 臭気と羞恥心でもうろうとする中、果穂歌は「あたし、本当にへんたいかもしれない」と思った。

 その後、果穂歌はシャワー室で勇次郎に洗われ、胃の中の排泄物も、咽の奥に指を突っ込まれて吐き出さされ、「キレイ」に洗浄されてから帰宅した。

 帰宅した果穂歌は、なにごともなかったかのように家族に接し、普通に夕ご飯も食べた。お風呂に入り、「勉強しなくちゃ」と思いながらもベッドに横になると、涙が溢れ出した。

(だめ…声をだしちゃだめ)

 枕に顔を埋め声を殺す。

(どうして、こんなことになったのかな? いつまで、こんなことが続くのかな?)

 答えの出ない疑問。

 そして果穂歌は、

(死んじゃおう…かな…)

 と、初めて思った。

 死ねば全てが終わるから。もう、苦しまなくていいから。

 それは「逃避」ではなく、「希望」。

 そして…「絶望」。

<嵐に散る薄紅色の乱舞は、刹那的で悲しい。

 悲しいと鳴く紫色の小鳥は、明けない夜の闇にその小さな「カタチ」を崩す。>

 そう、いつか誰かが詠んだ詩のように、悲しみの「カタチ」は刹那の中で「永続」してゆく。

 例え「カタチ」が崩れても、その悲しみは消滅しない。

 悲しみは悲しみを産み続け、連続して、永遠に産み続け、やがて<世界>を埋め尽くしてしまうだろう。

 悲しみに埋め尽くされた<世界>。

 終局の<詩>。

 黒い翼の天使が世界樹の下で詩う、「絶望」の<詩>。

『どうして、死が<終局>だなんて勘違いしているの?』

 金色の瞳の「少女」が、世界樹の上で笑っていた…。

 

     ☆

 

 果穂歌の部屋の窓越しに入り込む月明かりだけが、室内とその中心にパジャマ姿で床に座り込む果穂歌を照らしでしている。

 今日も放課後の授業があった。最近は「馴れて」きていたが、今日の授業はとても耐えられる内容ではなかった。

 お腹の中から、ガサガサと音が聞こえてくる。

 そんなはずはないのに、食べさせられたゴキブリは吐き出したのに。何度もなんども、胃液すら出なくなるまで嘔吐を繰り返したのに。

 それでも果穂歌は、まだ胃の中でゴキブリが這いずり回っているという悪夢から、醒めることができないでいた。

 そもそも、初めからゴキブリは死んでいた。トイレに転がっていた死骸を口の中にねじ込まれ、嚥下させられたのだから、それが果穂歌の胃の中で生き返り、這いずるということはない。

 しかし、音が聞こえる。

 ガサガサ…ガサガサ…

「…もう…いや…」

 果穂歌は立ち上がり、机の引き出しからカッターナイフを取り出して、それを右手に強く握り刃を押し出した。

 左の手首に、月光を反射する刃がそえられた。

「ごめんなさい…おとうさん、おかあさん…」

 手首の上をカッターナイフが走り、その軌跡に紅が滲む。

 自らそれを行った果穂歌は、「死ぬって、こんなに痛いんだ…」と思いながら、致命傷にはならない浅い傷から溢れる紅を眺めていた。

 手首を伝い、紅が床に零れる。

「いたい…いたいよ…」

 涙が溢れた。

「し、死にたくない…死にたくないっ」

 血液が外に漏れる手首をもう一方の手で押さえ、果穂歌がその場に踞った。

 傷口がズキズキと痛む。

 溢れる血液が隙間から零れ、床を濡らす。

「うっ…うぅ。い、いや…もういやぁ」

 それでも果穂歌は手首の痛みによって、お腹の中を這いずるゴキブリの妄想からは逃げ出せていた。

 しばらくは消えないだろう、手首の躊躇い傷を代償にして。

 

     ☆

 

(もういいよ。死のう?)

「いや。死にたくない」

(どうして? 辛いでしょ? 苦しいでしょ? 逃げたいでしょ?)

「でもいや」

(どうして?)

「いやだから」

(どうしても?)

「どうしても」

(また、ゴキブリ食べさせられるよ?)

「わかってる」

(それでもいいの?)

「よくない」

(だったら…死のうよ)

「いや」

 夢? 現実?

 鏡の中の自分が、果穂歌に問いかけてくる。

(死のう?)

 と。

 だが果穂歌は、それを拒否し続けた。

 死にたくないから。

 死の恐怖は、知ってしまったから。

 まだ消えていない躊躇い傷。

 あのときの痛み、恐怖は、忘れることができない。

 勇次郎に与えられる苦痛や嫌悪よりも、死ぬほうが怖い。少なくとも、勇次郎が果穂歌を殺すことはないだろう。

 だから耐える。

 いつか解放される日を願って、耐える。

(ずっとこのままだよ。死ぬまで、ずっとイヤなことばかり続くよ? きっと)

「そんなことない」

(続くよ)

「そんなこと絶対にない」

(ううん。違わないよ。きっと、きっと、きっと。だから…ね?)

「いや。死なない」

(どうして? どうしてよっ! もうイヤなのっ。あたし、もう耐えられないのっ。死にたいの。死にたいのよっ!)

「じゃあ、一人で死んで」

(できないよっ。<あたし>はあなたなのっ!)

「違うわ。あたしはあたし。あなたはあなた」

(どうしてわからないの…? <あたし>は、あなたの<本当の望み>なのよっ!)

「…知らない。あなたうるさい。消えて」

(どうして? 死のう? お願い…死なせてよっ!)

「……」

(おねがい…おねがいだから、しなせて…)

 鏡の中の果穂歌が涙を流し懇願する。

 それでも果穂歌はいった。

「死ぬのは、絶対にいや」

 鏡の中の果穂歌が消えた。

 ズキッとした痛みが、果穂歌の胸を締め付けた。



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