第六章 「小早川空美(こばやかわ くみ)・初等部六年生の場合?」

 

 生まれつき色素の薄い、軽くウェヴがかかった長髪を揺らし、小早川空美は家路を急いでいた。

 今日は金曜日。週に一度の「お楽しみの日」だ。

 高鳴る胸を押さえつつも、空美は細長い脚をせわしく前後させ、誰がみても急いでいるという歩調で歩き続けた。

 駅前の商店街を抜け一つ角を曲がると、不意に閑静な住宅街に入る。自宅があるマンションが空美の視界に入った。

「みなさん。もう、いらっしゃっているかしら?」

 そのままの歩調でマンションのホールをくぐり、オートロックの扉を開ける。幸運にも、エレベータは一階に止まっていた。

 すぐさま乗り込み、七階のボタンを押す。

 目指すは、自宅の七〇一号。

「ただいま帰りました」

 ドアを開けると、空美は帰宅を告げた。

「おかえり。空美ちゃん」

 「みなさん」の中でも空美が一番好きな、海王丸矧(かいおうまる しん)が迎えてくれた。

 矧は二十三歳の青年で、空美と同じマンションの三〇一号に住んでいる。アイドル顔で身長は高くない。百五十二センチの空美と、十センチほどしか変わらない。

「あ、あの、海王丸さん。もう、みなさんいらっしゃっているのですか?」

「まだ三人だけだよ」

「お父様は?」

「大丈夫。餌で釣ってあるから、今日は帰ってこないよ」

 矧の言葉に、空美は安堵の笑みを零した。

「だから、なにも心配しらない。いつもみたいに楽しもうよ」

「はい。海王丸さん」

 空美は矧について、他の二人が待つ、「亡くなった母」の部屋に向かった。

 普段使われていない「その部屋」は、週に一度「お楽しみ部屋」になる。今日がその週に一度の日だ。

 空美が大好きな「それ」は、毎週まいしゅう、この半年ほど続けられている。

 そして「それ」は、いわゆる「乱交パーティー」と呼ばれているものに他ならなかった。

 週に一度の、空美の「お楽しみ」。

 最大では十人を相手にしたこともある。

 同時に穴という穴に挿入してもらい、お腹がいっぱいになるほど大量の精液を飲ませてもらえる。

 身体が溶けるような快感。存在感のある、堅く太い幾本もの肉棒。休憩などなく、連続でしてもらえる。

 狂いそうになる。

 嬉しくて、たまらなくて、狂いそうになるほど気持ちいい時間。

 まだ始まってもいないのに、空美のショーツはぐっしょりと濡れていた。とがった乳首がブラに擦れ、ジンジンとして気持ちがいい。

 今日は、どんなことをしてもらえるのだろう。どんなふうに挿れてもらえるのだろう。期待に胸が膨らみ、空美の瞳がキラキラと輝く。

(みなさん優しいかたばかりだから、わたくしがして欲しいことを、全部してくださるはずだわ)

 優しくされるのもいい。少し意地悪にされるのもいい。縛られるのもいい。結局、なんだっていい。

 挿れてもらえるのなら、身体の中を掻き回し、こねくり回してもらえるのなら、空美はなにをされてもいいと考えている。

 同じだから。

 なにをどうされても、気持ちいいことに変わりはないから。

 学園での優等生な自分を忘れ、大嫌いなお父様のことも忘れ、「優しいみなさん」に気持ちよくしてもらうことだけを考えていればいい。

 最高の時間。

 これ以上ない、至福の時。

 高鳴る鼓動。

 濡れる股間。

 ドキドキする。

 ゾクゾクする。

 幸せの重みで潰れそうになる。

「さぁ、空美ちゃん」

 幸福への扉が開く。

 最高の時間が、

 始まる。

     ☆

 二年ほど前。「事故」で母が死んだ。

「刑事さんはわかっていらっしゃらなかったけれど、お父様が「殺した」のだわ。わたくしにはわかる」

 母は若い愛人を家に連れ込み、父はそれを知っていた。

 だから殺した。

 空美はそう考えていた。

 そしてそれは、事実だった。

 愛人を連れ込んでいたからではなく、保険金が目当てだったからだが。

 その母が愛人と身体を重ねていたベッドで、空美は同時に三人を相手にしていた。

 一人に馬乗りになり性器を埋めてもらい、もう一人には後方から排泄器官を埋めてもらう。そして大好きな矧の、小柄な身体に似合わない大きく、太く、たくましい男根をめいっぱいに頬張る。とはいえ小さな空美の口では、それの先端部分すら全部くわえることができていないが。

 空美は、あまりの気持ちよさにクラクラする。

 空美と三人が繋がった部分から湿った音が奏でられ、同時に彼らの息づかいが室内に響く。

 お腹の中で二本の肉棒が、皮一枚隔てて擦れるのがわかる。

 気持ちいい。

 満たされる。

 矧が手で空美の頭を固定し、口が離れないようにする。

(そんなにわたくしの口が気持ちいいのですか? 離したくないほど、気持ちいいのですか?)

 嬉しい。

 矧の「想い」に応えるように、空美は吸い付き、舌をこねた。

 繋がる肉と肉。

 隙間なく埋められる「穴」。

 もっと欲しい。

 奥まで。

 内蔵が潰れるくらい、強く突いて欲しい。

 堅くたくましい肉で、自分を「壊して」欲しい。

「ぅっ…ッン」

 直腸に温かさを感じた。次いで、太のを排便するような感覚。お尻から抜かれたのがわかった。

 ぷりゅ

 排泄物色に濁った精液が空美の肛門から零れ、細い股を伝う。空美は便まで零れてしまわないように、きゅっと肛門括約筋に力を込める。

 便を零したところで誰も怒ったりはしないが、浣腸をして水っぽいのを噴射する空美の姿に歓ぶ者もいる。

 今日はまだ来ていない彼のために、空美は便意を堪えた。

(できるだけ、みなさんに楽しんでもらいたい。わたくしも、みなさんに楽しませていただいているのですから)

 縛ってするのが好きな人には、縛って楽しんでもらう。もちろん空美も楽しい。

 排便する姿が好きな人には、その姿を楽しんでもらう。少し恥ずかしいけどイヤではないし、歓んでもらえると空美は嬉しい。

「交代しようぜ」

 アナルに放出した男が矧に告げた。

「いいよ」

 矧は空美の頭を離し、後ろの移動してひくひくと小刻みに痙攣している空美の肛門にモノをそえ、先端を押し込んだ。

「ヒグッ」

「あっ、痛かったかい? 空美ちゃん」

「い、いいえ…だ、大丈夫です」

 本当は少し痛かった。矧のモノは他の誰と比べても大きいので、空美のどの穴でも限界ぎりぎりまで広げなければ入らない。それに激しくされると、未だに血が滲んだりもしてしまう。

「そう? でも、痛かったらちゃんといってね」

「は、はい。ありがとうございます」

 答えると、さっきより一回り大きく太い肉棒が直腸に沈んでいく。空美は、少しでも身体に「矧のモノが入る場所」を確保しようと、肺の空気を一気に吐き出した。

 当然そんなことに意味はないのだが、彼女はそうせずにはいられなかった。

 少しでも、ほんの少しでも深く入れて欲しい。

「はい、空美ちゃん。舐めて」

 矧と場所を交代した男が、出して力の抜けたモノを空美の目の前に差し出した。そのモノには、精液と空美自身の排泄物がこびりついていて臭っていたが、彼女はぱくっとくわえ、ちゅぱちゅぱと音を立てて舐めた。

 舐めているうちに大きくなってきて、空美はそのままおしゃぶりに入る。

 しゃぶっている最中に、膣内に挿れていた男が果てた。が、彼のモノはそれで力を失うことなく、そのままぐちょぐちゅと精液を泡立てながら上下運動を続ける。

「空美ちゃん。今日は、お尻の中ウンチ多いね」

 矧が告げると、

「んぐ、うぅんぐうぐぅん?」

 と、ペニスを頬張ったまま、空美は「え、そうですか?」と答えた。

 矧のモノに巻き込まれ、埋もれたり顔を覗かせたりする空美の色鮮やかな直腸。内臓が引きずり出されるような(事実そうだが)感覚を、空美は心から楽しむ。

 楽しい。

 気持ちいい。

 幸せ。

 交わり、繋がり、蠢く空美たちの姿は、四人で一つの生物のようにもみえる。

 この世界の生物ではなく、深い闇の底に生息する異形の生物だ。

 奇怪で、淫靡で、生臭く、ドロドロとした粘液で包まれ、快楽という闇に囚われたおぞましい生物に。

     ☆

 闇の宴は、もうどのくらい続いているだろうか。すでに夜は深く、深夜といっていい時間だ。

 髪も、顔も、身体の表面も、内側も、白濁した液で染まった空美は、あれからずっと恍惚とした表情を顔に張り付かせ、堅い肉棒を求め続けていた。

「そろそろ、空美ちゃん洗わねーか?」

「だな。ザーメン臭いしな」

 七人に増えた男のメンバーは、代わる代わる、尽きることのない空美の性欲を満足させている。汁まみれの空美をシャワーで洗うのも、これが三回目だ。

 二人の男が空美を浴室に運び、シャワーで洗う。

 その間も空美は男たちのペニスをしゃぶり、もう少ししか出ない精液を、空になるまで吸い尽くそうとしていた。

「んぅ、んくぅんっ、ん…ゥン」

 少量の精液が、空美の口腔内に放出される。

 空美はそれを舌で転がし、ぴちゅぴちゃと味わうと、咽を鳴らして飲み込んだ。そしてすぐさま、もう一人のペニスにしゃぶりつく。

「空美ちゃん。マンコとケツん中洗うから、お尻上げて」

 シャワーで空美を洗っていた男の言葉に、彼女はもう一人のペニスから口を離さずに膝を立て、お尻を突きだした。

 お尻を向けられた男は、充血した空美の膣に指を入れ、中の精液を掻き出して洗い流した。

 お尻の中は性器ほど浅くないので、指で肛門を広げ直接ぬるま湯を流し込む。お尻の中をお湯で満たされた空美は、ぶぴゅぅと肛門から噴水する。浣腸しての脱糞ショーは終えているので、排泄物が零れることはなかった。

 何度か肛門から噴水を繰り返した空美は、

「も、もう、大丈夫…です。お尻、きれいになりましたから」

 と告げた。

「そう? じゃ、戻ろうか。次のヤツらまってるだろうし」

「はいっ」

 部屋に戻った空美は、再び快楽を貪った。

 帰宅してから食事は採っていないが、咽が乾いたといえば誰かが小便を飲ませてくれるし、自分のと三人の男たちの大便を食べたので、空腹ではない。

 空美は男たちと交わっている時は疲れなど感じなし、何時間だって平気だ。大好きな精液を飲めば力が溢れてくるように感じるし、男たちが歓んでくれると、「もっと、もっと歓んでもらいたい」と思う。

 SM好きの男が空美を拘束具で縛り、身動きが取れない身体になん本もの針を突き刺す。痛いとは感じない。とても気持ちいいと感じる。

 お尻の中に三つのゴルフボールを詰め込まれ、性器を犯される。体内の隙間がなくなったようで、嬉しい。

 なにをしても、なにをされても、心地よく満たされる。身体中、髪までも性器になったかのように敏感になり、どこを触れられても感じる。

 今日はもう、なん回イッたかわからない。なん回でもいい、イカせ続けて欲しいと思う。自分の、穴という穴を埋めて欲しい。できることなら、鼻の穴にも耳の穴にも挿入して欲しい。そして精液を注ぎ込んで欲しい。

 あの汚らわしい両親の血全てが、優しい男たちの精液と入れ替わるほどに注ぎ込んで欲しい。

 もしそうなれば、自分に流れる血液が男たちの精液に変われば、自分はもっと「キレイ」になれる。もっと「スバラシク」なれる。

 犯されるたび、注ぎ込まれるたび、空美は自分が「浄化」されていくように感じた。「高い次元」に誘われるように感じた。

 それは歓喜。

 それは幸福。

 それは…「血の束縛」からの「解放」。

 精液を飲む。美味しい。「キレイ」になる。

 男たちが歓んでくれる。嬉しい。満たされる。

 自分は、こんなにも「優しい人たち」に歓んでもらえる存在だ。汚らわしくおぞましい、あんな両親とは違う。違う存在。

 わたくしは、あんな下品な両親とは違います。わたくしは、ちゃんと「優しい人たち」に必要とされています。

「い、いいよ、空美ちゃんのお尻。空美ちゃんのお尻の穴は、世界一だよ」

 嬉しいです。もっとよくなってください。

「出るよ…の、飲んで」

 はい、いただきます。美味しい精液、全部飲ませていただきます。

「ねぇ空美ちゃん。俺のケツの穴舐めてよ」

 もちろんです。喜んで舐めさせていただきます。

「小便したくなったな。飲んでよ、空美ちゃん」

 は、はい。どうぞ、存分になさってください。一滴も零さずに飲みますから。

 なんでも、なんでもしますから。ですから、もっと気持ちよくしてください。もっと気持ちよくなってください。

 もっと、もっと、

 わたくしを「必要」としてくださいっ!

 

 男たちが引き上げたのは、夜が明けてからだった。

 空美は一人残された部屋で、余韻に浸っている。まだ身体を濡らす精液も、お尻に入ったままのバイブロータの震えも心地いい。

 土日は学園が休みなので、このままゆっくりできる。父親は帰ってこない。矧が与えた、「空美よりも幼い少女(と、矧がいっていた)」という「餌」に引っかかっているはずだし、今日はそのまま帰宅せずに出社するだろう。

 空美は、安心して余韻に浸っていた。

 もう少ししたらシャワーを浴びて、部屋を掃除しよう。それから眠って、お昼過ぎに起きたらご飯を食べて、夜まで勉強して…。

 と、空美は今後の予定を立てる。「お楽しみの日」が終わり、空美の一週間が「始まる」。次の「お楽しみの日」までの、長い一週間。

 学園で優等生を演じ続け、身体も疼きも、美味しい精液の味も我慢しなければならない、長いながい一週間が。

 空美はバイブローターを引き抜き、スイッチを切って投げ出すと、指だけで二回ほどオナニーしてから部屋を出て、シャワーを浴びた。

 シャワーを浴びると裸のまま部屋の掃除をし、自室に移動してベッドに潜り込む。いつもなら、そろそろ登校する時間だ。だが今日は、これからが就寝時間。

 空美は身体中を満たす「優しさ」を感じながら、夢の世界への扉をくぐった。できることなら夢の中ででも、「優しい人たち」に逢えることを願いながら。

     ☆

「なぁ矧。そろそろ空美にも飽きてきたな。もう売っぱらわないか?」

「そうそう。マンコもケツも、ゆるゆるになってきたしな。矧のことだから、オヤジの方もなんとかなるんだろ?」

「わかってるさ。あのオヤジは、もう終わりだ。一週間もしない内に魚の餌だろうな」

「で、オヤジの会社は矧の物ってか?」

「あんな零細会社はいらないね。金に換えるさ」

「空美と会社で、いくらくらいになる?」

「たいしたことないだろうな。あの淫乱小娘はちょっと使い過ぎたし、奴隷商人に払い下げても、いいとこ500ってとこだろうな」

「500ぅ? たったそれだけか?」

「あぁ、だろうな。で会社の方は、1000から1500ってとこだろう」

「じゃあ。巧くいっても、2000にしかなんねぇのか」

「そんなものさ」

「あっ、そうだ矧。あの真中とかいう変態ヤローが、新しい「便器」が欲しいとかいってたぜ。ヤツはバカだから、空美でも1000は引っ張れるんじゃねぇか?」

「…そうだな。じゃあ、小娘は真中に売るか。でも新しい「便器」って、ヤツはこの前売ったのは、もうダメにしたのか? まだ一ヶ月も経ってないだろう」

「はっ! ヤツは本物の変態だからな。ゴキブリだのネズミだのも「便器」に「流す」から、すぐつまっちまうのさ」

「いいお客さんだぜ」

「よし…だったら今日から動こう。オヤジの方は三日以内になんとかするから、真中にも連絡つけてくれ。どうせなら3000とか吹っ掛けてやれ。ヤツなら、それでも飲むかもしれないからな」

「あぁ、わかった」

「じゃ、空美で遊ぶのはこれで終わりか」

「未練でもあんのか? だったら戻ってやってこいよ」

「…今からはムリだな。もう勃たねぇよ」

「だったら諦めるんだな。また矧が、空美よりいいオモチャ探してくれるさ。なぁ?」

「探さなくてもお前らに金さえあるなら、すぐに五つは用意できる」

「金はねぇよ。知ってんじゃねーか」

「だったな。なら、三週間ほど我慢するんだな。また、ただで遊べるオモチャ探してやるよ」

「さすが矧。太っ腹だ」

「お前らも、オモチャの一つや二つくらい買えるようになれよな。〈虚(うつろ)〉の旦那にいえば、仕事くらい廻してもらえるだろう」

「…あの人は恐ぇからイヤなんだよ。あの笑顔で、やることエグイし。一回「殺人ディスク」の殺人鬼役やらされてよ、それで懲りた」

「まぁ、そのくらいは当然だろうな。旦那の下で働くなら。取りあえず、あの淫乱小娘で遊ぶのは今日で終わりだ。小娘も、今日まで「いい夢」がみれただろうさ。これからは「悪夢」をみてもらおう」



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