E p i s t l e

 

     1

 

 傾きかけた秋の陽光が、教室内をオレンジ色に染めている。しかし教室といっても、そこは、物置として使われている空き部屋だ。

 全校生徒を合計しても四十人に満たない、少子化が進んだ田舎の小学校では、空いている教室の方が多い。

 乱雑とも感じられるかたちに積み上げられ、放置された机や椅子。山積みにされた古い教科書や資料などが、ワックスのはがれた床に黒い影を落とし、オレンジと黒のコントラストな世界を創りだしていた。

「ぅくうぅ……」

 そんなオレンジと黒で構成された斑の世界に、少女のものであろうくぐもった声が染み渡る。

 机に阻まれて、廊下からは確認できない死角。

 そこでは、小さな影と大きな影が、重なり合うように蠢いていた。

「ぅあァッ」

 積み上げられた机に身を隠すように、壁にもたれ掛かる小さな影。その影に覆い被さるように身を寄せる、大きな影。

 

 クチュくちゅ……チュ、チャ……にちゃ

 

 湿った音色が、小さな影の股間から響く。その音色を奏でているのは、大きな影が動かしている指だ。

 少女……吉川姫美(よしかわ ひめみ)は、部分を被う茂みのまったくない股間に、無骨で大きな手を潜り込まされ、湿った音とともに、敏感な秘穴から無理やり蜜を絞り出されていた。

 姫美の身体を玩び、その蜜を絞り出している大きな影の正体は、作間高成(さくま たかなり)という取り立てて容姿に特徴のない中年男で、彼は、姫美の担任教師でもある。

 姫美と作間の関係は、表面上児童と教師だ。だが裏側からみれば二人は、陵辱される獲物と、陵辱するハンターの関係だった。

「気持ちいいか? 吉川」

 嘲笑するかのような口調で、作間が問う。

「…はい……せ、先生……」

 涙声で答える姫美。

 とてもではないが、「気持ちいい」などという声色ではなかった。「気持ち悪い」「止めて欲しい」……本心ではそう思っているであろうことは、容易に想像できるほどに。

 姫美はこの寂れた学校には似合わないほどの、洗練された日本人形を思わせる美少女で、抱きしめると折れてしまいそうな細い肢体を守るかのように、真っ直ぐな黒髪を肩胛骨の下で切り揃えるという髪型をしている。

 視力が弱いのでフレームの細い眼鏡をつけているが、それで、整った容姿が損なわれているということはない。どちらかといえば、似合っているのかもしれない。

 姫美はその眼鏡。そして靴下と上履きだけを身に纏い、与えられる屈辱に必死で耐えていた。

 十一歳の誕生日を二ヶ月後に控えた姫美の身体は、同年代の少女と比べると多少成長が遅く、未成熟な少女そのものだ。身長は、135cm前後……といったところだろう。

 最近、柔らかな丸みを作り始めた胸部は、それを守る下着が必要なほどではなく、肉の薄い臀部に隣接する秘部は通常しっかりと閉じている。ぷにぷにとした質感で割れた部分を隠す茂みは、産毛すら確認できない。

「ゥくぅ……」

 小さく未発達な秘壺いっぱいに挿入された太く無骨な指が、無遠慮にグリグリと蠢いて姫美の内部を犯す。

 だが姫美は、眉間にしわを寄せ、桜色の薄い下唇を噛んでそれに耐えるしかない。ポロポロと透明な涙を零すことだけが、彼女に許されている唯一の抵抗だ。

 作間は不意に姫美の顎を掴み顔を上に向かせると、自らの唇を姫美のそれに重ねた。

「ウグ……ッ」

 姫美の全身を、悪寒が走り抜ける。

(き、気持ち悪い……)

 だが作間はそんなことを理解した様子もなく、ねばねばとした舌で姫美の閉じた歯の一本いっぽんを丁寧ともいえる動作で舐めた。

 姫美は懸命にガクガクと震える膝を踏みしめ、閉じた歯の合わせ目を割って入りこんで来る作間の舌を口内に迎え入れる。

 そうしなければ、もっと酷いことをされるのを知っているから。

 お互いの舌を絡ませ、唾液の交換をする。煙草臭く苦い作間の唾液と、さらさらとして甘い姫美の唾液が混じり合い、口いっぱいに広がる。

 零れた唾液が姫美の顎を伝い、彼女の薄い胸に零れた。

「ウッ……ぅ、く……ッ」

 口の中を舌で犯され息苦しい姫美は、小さな鼻を使い空気を求める。その空気にも、煙草臭い作間の臭いが混じっていて、彼女は吐き気を覚えた。

 股間を犯し続ける指。口を犯す舌。ガクガクと悲鳴を上げる膝。止まらない涙。

(イヤあぁッ! も、もう許してえぇ〜ッ)

 だが放課後の特別授業は、まだまだ始まったばかりだった。

 

     2

 

 五年前、くたびれた田舎の学校に飛ばされた作間は、当初それが不満で仕方がなかった。

 だがそこにいたのは、純朴で清純な作間好みの少女たち。いい意味で作間の予想は裏切られる形となった。

 もちろん女子だけではく男子もいたのだが、作間には鼻を垂らしたクソガキとしか認識されず、物の数には含まれなかった。

 作間は、真性のロリコンである。

 教師になったのも、少女に囲まれる生活がしたかったからだ。だが、この学校に飛ばされるまで、児童に手を出したことはなかった。

 もちろんそれは、教師としても大人の男としても当然の常識である。

 だが、田舎に飛ばされたと感じて自暴自棄になっていた作間は、就任一年目で過ちを犯してしまう。

 児童をレイプしたのだ。

 当時児童会長を務めていた、ショートカットの活発な美少女。

 その日、暗くなった学校に残っていたのは、児童会の仕事で帰宅が遅くなってしまったその少女と、作間だけだった。

 職員室に資料を返しに来た少女の、半ズボンから伸びるしなやかな脚を目にした瞬間。作間の理性が切れた。

 二人だけの学校。他には誰もいない。

 気がつくと、股間から血と精液の混合液を溢れさせ、呆然と床に横たわる少女がいた。

 自分がなにをしてしまったか悟った作間は、少女を脅して口止めをした。それで上手くことが収まるとは考えていなかったが、少女は誰にも話さなかったらしく、作間の行為が明るみになることはなかった。

 そして、作間は変わった。

 チャンスがあれば、児童をレイプするようになった。

 これまで十六人の児童をレイプしたが、バレたことは一度もない。

「なんだ……こんなに簡単なことだったのか」

 そう悟った作間は、十一人目からは何度も性交を強制するようになった。

 作間が獲物とするのは、四年生から六年生までの可愛い少女たちであった。

 現在作間の獲物、奴隷として扱われている少女は、姫美を含めて四人。その内でも姫美は、とびきりの奴隷だ。

 作間の理想とする美少女。姫美は、正にそれが具現化された姿だった。

 控えめで落ち着いた性格。長い黒髪。色白で沁み一つない細い身体。微かに膨らんだ胸と桜色の乳首。陰毛のないつるつるとした股間。

 それら全てが完全だった。

 初潮を迎えていないのも好都合だ。好きなだけ膣出しできる。

 姫美の処女を奪って一月になるが、その間なんど犯しても、彼女の秘穴が広がることはなかった。

 指一本でもギチギチに締めつけるし、毎回痛みを感じて心地よい声で泣く。作間は姫美の泣き顔が気に入っていた。

 つい虐めたくなり、他の少女たちよりも乱暴に、残酷に扱ってしまう。

 だが姫美は、泣きながらそれらの行為を受け入れる。

 作間にとって姫美は、これ以上とない玩具となっていた。

 

「どうだ? 美味いか、吉川」

 作間の肉棒を半分ほどくわえ込んだまま、姫美は肯いた。

 温かい姫美の口腔内。教えた通り唾液をたっぷりと纏った舌が、作間のペニスに絡みついてくる。

 小さな口を目一杯に開き、軽く頭を前後させながら跪いておしゃぶりをする姫美は、やはり泣いていた。

 グスグスと鼻をすすり、ポロポロと涙を滴らせる。

 だが、舌を休めたりはしない。

 これでいい……作間は思った。

 こうでなくては「面白く」ない。

 もしも姫美から進んで行為を受け入れるようになれば、作間は興ざめしてしまうだろう。

 嫌がるからいい。それでこそ「犯している」と感じられる。

 姫美は作間が教えた通りに、舌を絡ませながら袋を揉む。頭を前後に動かして、咽の奥まで迎え入れる。

 

 ぴちゅちゅ……クチュ……ちゅく、ちゅくうぅ

 

 舐め、含み、吸いつき、小さな唇をいっぱいに広げ、唾液が零れるのも気にせずになめ続ける。

 

 ぅん、んふっ……ん、ぅく、ん……ゥン

 

 鼻で息をして、口はペニスを頬張る場所と決まっているかのように、無心で作間のモノをしゃぶる姫美。顎が疲れたというよりは、痛い。でも止めない。

 作間を口に含んだ姫美は、口全体をおしゃぶり専用性器としてフルに稼働させる。

 桜色の唇を唾液で濡らして肉棒に吸いつき、休むことなく舌を絡ませる。一生懸命にやれば、それだけ早く終わるからだ。

 

 ん、ちゅ……ぱっ、ん、ンく、ん、ンっ、チュ、チュ、チュウゥ〜ッ

 

 姫美の意識はもうろうとして、すでに形ある思考をつくれない。断片的に、「まだ?」、「苦しい」、「臭い」、「汚い」、「ちんぽ」などという単語が、入れ替わり頭の中に浮かんでは消える。

 と不意に、作間は、

「もういいぞ」

 硬く勃起したペニスを姫美の口腔内から引き抜き、

「ケツを突き出せ。犬のポーズだ」

 姫美は「けほけほ」……と、可愛らしく咽せ、いわれた通りに四つん這いになり、薄く真っ白なお尻を作間に向けて突き出した。

 堅く閉じた肛門も、指で弄られて湿った陰部も、作間には丸見え状態だ。

 作間はいきり立ったモノをほどよく濡れた割れ目にそえ、姫美の細い腰を両手で掴むと、

「そら、吉川の大好きなチンポだ。存分に味わえ」

 腰を深くして一気に挿入した。

 

 メリメリイィ……ッ!

 

 そばまった膣口を割り、太く赤黒い棒が膣内に突き刺さる。

「ヒグゥううぅゥッ!」

 苦悶の声を発する姫美。丸く開ききった挿入口は、もうこれ以上拡がらないだろうと思われるほどに、ビチビチに伸びきっている。

 作間は温かく滑る姫美の内部を、内蔵をこねくり回す勢いで刺激した。

 

 パンぱんッパンぱんッ!

 

 ジュ……ジュ、ジュチャ……

 

 肉がぶつかり合う音と、結合部からの湿った音色が混じり合い、暗いオレンジ色の陽光が入り込む教室に響く。

 だがその音楽を聴く者は、演奏者の二人以外にはいない。

 姫美にとっては悲しく、作間にとっては心地よく奏でられるデュオ。

 絡むように締めつける感触を楽しみながら、作間は腰を動かした。

 姫美は「クッ……ヒグ……ッ!」と、作間の腰の動きとリンクするように苦痛に喘ぐ。

 その放課後の一時間目は、姫美の膣内に熱く濁った白い液体が注ぎ込まれるまで続いた。そして休み時間もなく、二時間目の授業に移った。

 二時間目の授業は、「汚れたモノを口できれいにする」から始まった。

 

     3

 

 暗くなった教室から出ていく作間を横目で見送ると、姫美はえぐえぐと声を漏らしながら泣いた。

 冷えた空気が、火照った身体を冷やす。

 裸の姫美には、その冷気は少し冷たすぎだが、股間から滴る精液の感触よりはましだった。

(どうして……こんなことになったの……?)

 分からない。

(私……なにか悪いことしたの?)

 分からない。

 姫美にはなにも分からない。なぜ自分がこのような仕打ちを受けなければならないのか、なぜ作間はこんな酷いことをするのか。

 考えても、姫美に答えは示されない。

 姫美に理解できるのは、こんなことをされているなんて、恥ずかしくて誰にもいえないということくらいだ。

 姫美はランドセルからポケットティシュを取り出すと、それで股間と半分渇いた顔の精液を拭いた。そして冷たくなった服を着て、白のブラウスと紺のスカートという姿になる。

 着衣についた埃を払い、乱れた髪を手櫛で整えて大きく溜息を吐くと、姫美は泣きたくなったので少し泣いた。

 泣くと、少しだけ楽になれる。

 涙は、姫美にとって必要不可欠なものとなっていた。

 一月前まで姫美は、自分がこんなに泣き虫だとは思っていなかった。こんなことになるまで、泣いたことなど数えるくらいしかなかった。

 なのに今では、泣かない日のほうが少ない。

 窓の外に目をやる必要もなく、もう暗くなっていることはわかる。

(早く帰らないと、お母さんが心配するわ)

 姫美は服の袖て涙を拭い一つ深呼吸をすると、ニコッ……と、作り笑いをして自分を励ました。

(もう大丈夫。私は泣いてなんかない。なにも、イヤなことなんてなかった)

 ズキッ……!

 股間に痛みが走ったが、それは無視する。

 姫美は学校から出て、歩いて十五分ほどの家路を駆け足で帰った。

 

「ただいま。お母さん」

 台所で夕食の準備をしていた母に、帰宅を告げる。

「お帰り、姫美。今日は遅かったのね」

 母はそういいながらも、微笑みで姫美を迎えてくれた。

「う、うん。ちょっと……ね。それより、今日の夕ご飯なに?」

「今日は三村さんからお肉を貰ったから、スキ焼きにしたわ」

「そうなんだ。嬉しいな」

 姫美は、わざと明るく振る舞った。母に心配をかけたくない。その思いからだ。

 なので姫美は、私室に戻ってランドセルから宿題を取り出すと、夕食の時間を告げる母の声が聞こえるまで、いつものように机に向かった。

 帰宅してすぐ宿題に取りかかるのは、一年生のときからの習慣だ。

 算数のプリントを広げると、涙が溢れそうになったけど、グッと我慢した。

 そして姫美は、まだヒリヒリしている股間からの刺激を振り払うように、鉛筆を持ってプリントに集中した。

 

 姫美は、一人娘である。

 なので、子供部屋は彼女だけのものだ。

 パジャマに着替えベッドに入ると、作間の顔が脳裏に浮かんだ。ゾッ……と、背中に悪寒が走り、吐き気がした。

『コイツ……殺しちゃおうよ』

 不意に、どこからか声が聞こえた。その声はくぐもっていて、何人かの声が重なっているように感じられた。

『嫌いなら、殺しちゃえばいいでしょ?』

「だ、誰……!?」

『誰でもいいよ。ねぇ……殺しちゃおう?』

 恐い……とは、姫美は感じなかった。

 頭の中で「作間を殺そう」と囁く『声』。

 普通ではない。姫美には理解できない『なにか』がいる。だが、『声』は恐くなかった。少なくとも、作間などより親しみを感じた。

 作間を殺す。

 姫美もそれは考えたことがあった。いや、何度も考えた。だが、そんなことはできない。してはいけない。

 人を殺すなんて、そんな恐ろしいことはできない。

「な、なにいってるの!?」

『だってそうじゃない。死んじゃえばいなくなるよ。嫌いなんでしょ?』

「それは……そうだけど……」

『だったら決まり。殺そうよ』

 決定的な言葉。

 拒否しようとも、それは姫美の心の中に入り込んでくる。染み込んでくる。

 甘い、誘惑の響きで。

(ダ、ダメだよ……そんなこと……できないよ)

『どうして?』

(ど、どうしてって……)

『ねッ? いいでしょ? いい考えでしょ?』

 確かに……作間がいなくなれば、姫美はもう苦しむ必要はない。元に戻れる。退屈だが、それなりに楽しかった毎日に。

(それは、そうだけど……で、でも……)

『いいよ。あんなヤツ殺しても。あんなヤツ、死んだほうがいいんだよ』

(えっ!? い、いい……? 死んだほうが、いい?)

『うん。死ぬべきなんだよ』

(そ、そうかな……?)

『そうだよ』

(……う、うん…そうかも、しれない)

『そうに決まってるの』

(そうに、決まってる……かも)

『ねッ? 殺しちゃおうよ』

(……う、うん)

『やったぁ。決まりだね』

(そう……だね)

 姫美がその決心を胸にした瞬間。不意に眠けが彼女を襲う。

 唐突に夢の世界へと旅立つ姫美。

 目が覚めると消え去ってしまったが、姫美は、久しぶりに楽しい夢を見たような気がして、少し嬉しい気持ちになった。

 

     4

 

 次の日。姫美は、図工で使う小さなナイフを、そっとランドセルに忍び込ませて登校した。

 なんだか、自分が「強く」なったように思えた。

 だがその日。作間からの呼び出しはなかった。

 その日の作間の獲物は、四年生の双子の少女たちだったのだが、そんなことは姫美には分からない。そもそも、自分以外にも作間に陵辱されている子がいるなんて、考えたこともない。

 次の日も、そして次の日も……。

 姫美が、もう作間から呼び出されるなんてことないのでは……? と考え始めた週明けの月曜日。

 掃除をしていた朔美の耳元で、

「五時にいつものところに来い」

 作間が呟いた。

「……はい」

 ついにこの時が来た。

 姫美は素直に返事しながら、ランドセルの中のナイフを思い浮かべた。

 これで終わる。

 もう、泣かなくていい。

 姫美は、「その瞬間」を待ち遠しく感じていた。

 

 姫美は指定された時間の十分前に、物置の教室に入った。

 作間は来ていない。

 彼女はそれを確認すると、ランドセルからナイフを取り出して鞘を取った。

 刃先がカッターナイフのような形の、しかしそれよりも確実に強固なナイフが、陽光を反射してオレンジに光る。

 姫美はそれをグッと握り、手を後ろに回してナイフを隠し、作間が来るのを待つことにした。

 待つこと三分ほど。

 カツカツ……と、誰かが廊下を歩く音がした。

 作間だ。

 姫美は確信していた。

 そしてそれは間違っていなかった。

 ゆっくりと、だが確実に姫美に近づく作間。

 逆光になり、その顔は影で見えない。

(もう少し……そう、あと一歩……)

「よく来たな」

 作間の顔が見えた。

 唇を曲げて笑っていた。

 姫美はギュッとナイフを持つ手に力を込め、作間に向けて一息に突きだした。

「ヤアァッ!」

 小さい、しかし姫美の「強さ」を宿したナイフがキラッと光り、作間の腹部に突き刺さる。

 その手応えを、姫美は瞼を閉じて想像した。

 だが……

 その手応えは、いつになってやってこない。

 その代わりに、手首に強い束縛を感じた。

 そっと瞼を開く。

 姫美の『強さ』は、作間の大きな手によって、無惨にも動きを止めていた。

 作間にとどく、一センチ手前で。

「ヒイィィイィ!」

 姫美は悲鳴と共に、腕を激しく動かした。

 しかし、作間によって固定された手首は、少しも動いてはくれなかった。

 そして、

 

 バシッ!

 

 右頬を横殴りに叩かれた。眼鏡と頭が横にぶれ、長い髪もそれにつられてふわりと舞う。

 

 カツ……ッ!

 

 ナイフが姫美の手から逃れ、床に突き刺さって、倒れる。

 次いで、

 

 バシッ!

 

 左頬への平手打ち。

 姫美の膝が、ガクガクと笑った。

 抵抗する気は、もう完全に失せていた。

 

 姫美がこんな行動に出るとは、作間は想像していなかった。

 だが、部屋に入るなり、姫美は後ろ手になにかを隠していることに気がつき、警戒はしていた。

 だから、とっさのことにも対処できたのだ。

 姫美の頬を叩いた作間は、呆然とした顔をしている姫美を突き倒した。

 そして姫美の身体に馬乗りになり、悲鳴を上げられると困るので、彼女の口を手の平で塞いだ。

 すぐ近くに転がっているナイフをてにし、それを姫美の目の前に突き出す。

「ヒイィ……ッ!」

 顔を背ける姫美。

 ナイフの腹を頬に当てると、姫美は、

「ごめんなさい。ごめんさない」

 何度も繰り返したが、口を塞がれているので、それは明瞭なものではない。

 だが、作間はその意味を悟った。しかしその言葉で全てを許せるほど、作間の心は広くない。

「俺を殺すつもりだったのか?」

 パシパシ……と、ナイフの腹で姫美の頬を叩く。

 と、姫美はブルブルと震えながら、なにやらもごもごと口を動かした。

 作間は、姫美の捲れ上がったスカートから見える純白のショーツの端にナイフを入れて切り裂くと、そのショーツを手に取り、丸めて姫美の口に押し込む。

 それで姫美は、完全に言葉を奪われた。

 作間は姫美から降り、露わになったぷにぷにの恥丘にナイフを添えた。

「マンコをズタズタにしてやろうか? えっ! 吉川ッ」

 姫美が首を横に振りながら、言葉にならない呻きで拒否を表す。大きな黒目がちの瞳からは、滝のように涙が滴っていた。

 作間は、ナイフの峰を割れ目に埋めた。刃が当たらないように気をつけて。

 

 くにゅっ

 

 峰が埋まった瞬間。

 

 ぷしゃああぁあぁーッ!

 

 姫美が失禁した。

 黄金の液体が、ナイフが埋まったスリットから、放射線を描いて飛び出す。

 突然のことで、作間はナイフから手を離してしまったが、幸運にも姫美の身体に傷をつけることはなかった。

 床に汚水が広がり、姫美のスカートを濡らす。

 内股とお尻をびしょ濡れにしても、姫美はポタポタと失禁を続けた。

 目を見開き天井を見上げる、姫美の涙を零す瞳は、映像を脳に送り込んでこない。

 闇に視界を被われて、自分なにをしているのかも理解でないまま、姫美は声を出すことができずに無音で泣いた。

 ワックスのはがれた床に、自分の汚水に浸かって呆然となっている姫美のその姿は、作間にこれまでになかった欲望を送り込んできた。

 作間は姫美の前髪を掴み持ち上げると、

「自分のおしっこだ。ちゃんと舐めてきれいにしろ」

 姫美の耳元で囁き、姫美の口からショーツを取り出した。

「……ぁ……い」

 姫美は虚ろな瞳のままで微かにそう答え、作間が髪から手を放すと同時に、跪いて自分の汚水をピチャぴちゃと音を立てて舐め始める。

 これまで作間には、いわゆるスカトロ趣味はなかったが、自分の足下に跪いて汚水を舐めている姫美を見下ろし、「こういうのも悪くないな」と感じた。

 そうして眺めている内に、床の水溜まりはきれいに姫美のお腹の中に納められた。それでも姫美は、まだ床を舐め続けている。

「もういいぞ」

 作間が声をかけると、姫美やっとその動作を止め、ペタッと床に座り込んだ。

「服、脱げ」

 無言で服を脱ぐ姫美。さほどの時間もかからず、産まれたままの姿になった。

「ケツをこっちに向けて、犬の姿勢だ」

 姫美はいわれた通りに、床に四つん這いになって、作間に向けてお尻を上げる。

 作間はファスナーを開けて起立したモノを外に出し、それを姫美の性器……ではなく、その上の堅く閉じた穴に添えた。

「今から、アナル授業の開始だ。嬉しいか?」

「……ぁ」

「嬉しいだろッ!?」

「は、はい……うれしい……です」

 抑揚のない口調で、機械のように答える姫美。自分がなにをいっているのか、完全に理解していないだろう。

 だが作間にとって、そんなことはまったく関係ない。作間は姫美の細い腰をガシッと鷲掴みにすると、添えた腰を思い切り前に突きだした。

 

 メリメリイィッ!

 

 作間ににも聞こえるほどの、姫美のアナルを押し広げる音が室内の響く。

 だが姫美は、

「ガハッ!」

 と、肺の中の空気を吐き出しただけで、「痛い」とも、「止めて」とも、言葉も悲鳴もあげなかった。

「オラ! 吉川ッ。ケツん穴にチンポ突っ込まれた気分はどうだ!? あっ? 気持ちいいかッ」

 姫美のアナルは、作間を強く締めつける。痛いくらいだ。

「アッ、アウゥッ!」

 呻くだけの姫美。作間の言葉に答えることができなのだろう。

 

 ズチ……ミチ、ミチチッ

 

 アナルとペニスが擦れ、音を奏でる。

 膣とはちがう、直腸の感触。それにしても、キツイ。作間は姫美の強い締めつけに、

 

 ビュルッ! ビュルビュルルウゥッ

 

 たった二分も持たなかった。

「ふ、フゥ……」

 放出して一息吐き、作間はペニスと引き抜く。ペニスは、姫美の便色に染まっていた。

「吉川に舐めさせるか」

 作間が思ったとき、

 

 ムチムチチイィ! ムチ、ビュチュッ!

 

 姫美の肛門から、注ぎ込まれたばかりの精液と、異臭を放つ褐色の便が勢いよく噴出した。最後には、

 

 ブピイィ〜!

 

 高く鳴り響く放屁のおまけつきだ。

 日本人形のような清純な容姿の美少女が放ったにしては、あまりに下品な臭いが室内に溶けて作間の鼻腔を突く。

「コラ! 吉川ッ」

 鼻が曲がるような便臭に怒りを感じ、作間は、うつ伏せ立て膝の体勢で「ぷぴプピュ」放屁と軟便を垂れ流している姫美の横腹をけ飛ばした。

 姫美は、気絶していた。

 作間は便臭に耐えきれず、床に落ちていた姫美のショーツでペニスを拭うと、気絶している姫美をそのままにして教室を出ていった。

 

 姫美が意識を取り戻したのは、もう完全に日が落ちきってしまってからだった。

 呆然と辺りを見渡す姫美。作間はいなかった。

(私……生きてる?)

 頭がガンガンする。どうやら裸のようだが、作間にナイフをアソコに突きつけられてからの記憶がない。

 と、姫美はハッとなり、慌てて股間に手を当てた。

(だ、だいじょうぶみたい……よ、よかったぁ……)

 安心した。涙が出た。近くでウンチの臭いがしているみたいだったが、なんだかどうでもいいと思った。

 しばらく泣いた後、姫美は暗い室内で服を着て、まだ湿っているスカートはき、切り裂かれ、なぜがウンチがついているショーツをナイフと共にランドセルに隠して、「パンツ……お母さんに、知られないようにしなくちゃ」……と思いながら、教室を後にした。

 なぜかお尻が、痛くていたくてしかたがなかったが、なぜ痛いのか姫美にはわからなかった。しかし、あまり気にはならなかった。

 それよりも、「殺されなくてよかった」という思いのほうが、姫美の幼い身体をいっぱいに満たしていた。

 

     5

 

 そして半年の時が流れ、姫美は六年生になった。

 作間の姫美への陵辱は、まだ続いている。

 夜中、こっそりと家を抜け出した姫美は、作間が住む教宅にいた。作間には妻も子供もいるが、住んでいるのは別の街である。作間は、いわゆる単身赴任なのだ。

「もっと激しく動け」

「……はっ、はい! ご、ご主人さまぁ〜ッ」

 蒲団に仰向けで横たわる作間の上に馬乗りになり、姫美は自分で腰を動かす。いわれた通り、激しく。

 

 ズリュ、ずりゅ、ジュリュ、にゅちゃぁ……チュ、ちゅ……ぐちゅうぅ、チュッ

 

 その顔には苦痛が浮かんでいるが、涙はない。

 あの日から、姫美は泣いていない。

 だが、行為を受け入れ、容認したわけではない。

 今だってイヤだし、こんなことしたくない。

 だが、そうしなければ、作間のいう通りにしなければ「殺されて」しまう。

 姫美は、本気でそう思っていた。

 だから、作間にいわれればなんでもした。

 秘壺に「ブルブルと動くピンク色の玉」を入れて授業も受けたし、野外でのプレイも経験した。自分や作間の排泄物を食べたりもしたし、クスコで拡張された膣内や直腸内に、排尿、排便されたこともある。

 すでに姫美の性器は、少女のものから女性のものへと変化してきている。伸びた小陰唇は外に顔を出し、クリトリスはこの一年間で二倍にも大きくなった。

 身体も、「感じる」ということがハッキリと理解できるようにされ、ヴァギナなアナルにペニスを挿入されると、それだけで蜜が滴ってしまう。

 とはいえ、姫美は作間を受け入れたわけではない。

 今でもこんなことはしたくない。作間は嫌いだ。憎い。

 でも……

「殺されるより……その方がいい」

 殺されるのは、死ぬのはイヤ。

 だから……

『だから……今度はちゃんと殺そうよ』

 不意に、どこからか『声』が囁いた。

『今度こそ……ね?』

 姫美は「待ちわびていた」その『声』に、心の中で静かに肯いた。

(うん……今度は、ちゃんとやろうね)

 と……。

 

End




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