美少女カフェ・りとるえんじぇる
1
『いらっしゃいませぇ〜』
店内に入るなり、川上政弥(かわかみ まさや)は幾人もの半裸姿の美少女たちから歓迎を受けた。
「ここ」は、知る人ぞ知るマニアックな店、「美少女カフェ・りとるえんじぇる」。
美少女たちの有りとあらゆる「ジュース」を堪能できるという、ある種の人間にとっては「夢」の様なカフェである……らしい。
入店料は二万円。「ジュース」を注文するかどうかは自由だが、店内にいられる時間は二時間。延長は二十分につき三千円だそうだ。
店内は洒落た雰囲気で、どこにも淫靡な印象はない。
ただ、店内にいる少女たち全てが、センス良くフリルがちりばめられた露出度が高いメイド服の様な制服(頭の「メイドカチューシャ」も、もちろん装備されている)で接客しているのが、淫靡といえば淫靡ではあったが、明るい感じがする店内では、それ程「いやらしく」は見えなかった。
「どうぞこちらへ」
政弥を案内したのは、政弥好みのペチャパイ美少女。見た限りでは胸に膨らみはなく、身長も政弥より三十センチは低い。
(うわっ! この子、すっげーカワイイッ。もしかして、この子の「ジュース」とかも注文できたりすんのか!?)
政弥はペチャパイ美少女に案内された席に座り、メニューを渡された。
「ご注文がおきまりになられましたら、お呼びくださいませ」
少女はペコリと頭を下げ、ニコッと頬笑んでから立ち去る。
政弥はその後ろ姿をポーッとバカづらで眺めていたが、首を何回が左右に振って落ち着くと、渡されたメニューを開いた。
メニューは結構厚く、写真をファイルするアルバムを使っていた。そこにファイルされていたのは、一ページに一枚の写真(全裸のバストショット)と、その写真に写っている少女のパーソナルデータらしき一覧。そして……少女に注文できるメニューだった。
どのページの少女も、ハズレなく美少女(もしくは美幼女)だ。どこからこんなに美少女ばかり集めてきたのか不思議だが、そんなこと考えても無駄だろうし、別にどうでもいいことだろう。
と、ページを捲ってメニューを選んでいた政弥の手が止まった。そのページでは、さっきのペチャパイ美少女が、写真の中で頬笑んでいた。
彼女の名は、「綾瀬ゆりな(あやせ ゆりな)」と記されている。本名ではないだろうが、「ここ」での彼女は、綾瀬ゆりなという名なのだろう。
まぁ、本名かどうかなど今の政弥には関係なく、どうやら彼女の「ジュース」も注文できるらしいということが、政弥の頭の中を一杯にしていた。
ゆりなは、身長百四十三センチ、体重三十四キロ。「前」「後ろ」共に処女と書かれている。政弥はもう、ゆりなに決めるしかなかった。
ゆりなのメニュー欄には七つのメニューがあり、一つも「準備中」ではない。
「準備中」というのは、どうやら今は注文できないメニューらしく、ページを捲っている途中に政弥はその「準備中」の文字を何度か視た。
一番売れているのは「おしっこ」らしく、「ここ」では定番品のようだ。
で、ゆりなのメニューは……
T・〈ゆりな水〉……一杯千円。
これは、ゆりなの入ったお風呂の残り湯だそうだ。「湯船は消毒してあり清潔です」と注意書きがある。なんの冗談だろうか?
U・ゆりなの〈おしっこ〉……三千円。
V・ゆりなの〈おうんち〉……五千円。
W・ゆりなの〈おうんちジュース〉……三千円。
どうやらこれは、「おうんち」なる物を〈ゆりな水〉に溶かした物らしい。なぜならそう説明書きがある。
X・ゆりなの 〈唾液〉……グラス入り千五百円。口移し五千円。
どうも口移しは格段に高い。まぁ、それも仕方なかろうが……。
Y・ゆりなの 〈おまんこジュース〉……グラス入り三千円。舐め取り一万円。
……グラス入りって? そんなに量がでる物でもないだろうに……。
処女なら尚更だ。
Z・ゆりなの 〈すぺしゃるカクテルジュース〉……三万円。
これはメニューの中で一番高いが、値段分の価値はあった。
どういうものかというと、ゆりなに自分の好きなな物を食べさせ、胃の中でシェイクしてから戻した「飲み物(?)」だそうだ。
一例として、ゆりなに「おしっこ」と「おまんこジュース」を飲ませてから「おうんち」を食べさせ、戻した物を「ゆりな水」で割って飲む。
と記されている。
「これだッ!」
なにが「これ」なのか分からないが、政弥は注文を決めたらしい。
と……ここで、彼は迷ってしまった。どうやって注文すればいいのかわからないのだ。
メニューが決まったら呼んでくれといわれたが、見渡したところフロアにゆりなの姿はない。
(他の女の子でもいいのか……?)
仕方がないので、政弥は近くを通った女の子に声をかけた。その少女は、政弥の趣味としては胸が大きすぎたし、歳も上(とはいっても、政弥より間違いなく十歳は年下だ)すぎだった。
「あ、あの……」
「はい? ご注文ですか?」
「は、はい! そうです。ご注文ですッ」
政弥は緊張していった。
それはそうだろう。好みからは少し外れているとしても、街でもそうはお目にできない美少女に、「ゆりなの〈すぺしゃるカクテルジュース〉ください」とは……簡単にいえるものではない。
「こ、これくださいッ!」
政弥はメニューを指さした。
「はい。ゆりなの〈すぺしゃるカクテルジュース〉でございますね? 少々おまちください。ただいま、厨房に確認いたしますので」
少女は小型の無線機の様な物を胸元から取り出しなにかをやり取りすると、頷いてから無線機を胸元に戻した。
「はい……ゆりなの〈すぺしゃるカクテルジュース〉でございますね。すぐに用意できますので、それまで店内でもご覧になってお楽しみください」
少女が「ゆりなの〈すぺしゃるカクテルジュース〉」と口にするたび、政弥はなんだか逃げだしたい気分になった。
自分が、どうしようもない「ダメ人間」に思えた。
まぁ「こんな場所」に来ている時点で「ダメ人間」なのだが、それまで政弥には自分が「ダメ人間」だという自覚はなかった。「ダメ人間」の、「ダメ人間」たる所以である。
で、ゆりなは本当にすぐやってきた。
「ご注文ありがとうございますッ。では、個室にご案内いたします」
「個室?」
「はい。お食事は、個室で頂いてもらっております。お客さまは、りとるえんじぇるは初めてでいらっしゃいますのですね?」
「う、うん……」
「では、ゆりなはがんばって、美味しいジュースを作らさせていただきます。お客さまのお気に召しますとよろしいのですが……」
お気に召さないわけがない。こんなこと言われれば、例え不味くとも「美味しい」と言うしかないだろう。
そして政弥は、ゆりなに案内されて個室に入っていった。
2
個室の広さは二畳ぐらいだろか? 広いといえば広いし、狭いといえば狭い。調度品と呼べるのは、角にある棚と、部屋の中心に置かれている白い円形テーブルと、同色の椅子くらいで、結構すっきりしていた。
「どうぞ、お座りになられてくださいませ」
政弥はゆりなの丁寧な言葉に、ドギマギしなが椅子に腰を下ろした。
しかし……ゆりなの言葉使いは確かに丁寧なのだが、どうも文法的に間違っているのではないかと思わざるをえない。
政弥が椅子に腰を下したのを確認すると、ゆりなはその前で制服を脱ぎ始める。制服の下に下着は着用していなかったらしく、その下はすっぽんぽんだった。
白く滑らかな肌。やはり、ゆりなの胸に膨らみは確認できず、股間もくっきりとした一本の線で、淫唇はぷっくりした感じの恥丘の内側に、完全に隠れている。
もう政弥の股間は、ズボンを突き破ってしまうのではと思うくらい膨らんでいた。緊張しているわりには、身体は正直なものだ。
ゆりなは、頭のカチューシャ以外の装飾を脱ぐと、
「では……どのようなジュースをごしょもうでしょうか?」
「……は?」
どのよう……といわれても、はっきりいってしまえば、政弥はゆりなの「ジュース」であればどんなモノでもよかった。
「ま、任せる……よ」
「はい。かしこまりました」
ゆりなはそんな曖昧な注文にも馴れてしるのか、テキパキと準備を始めた。
部屋の角の棚からグラスを幾つかと、シチューを入れる様な深皿を二枚取り出し、それらをテーブルに並べる。
そして最後に、タオルとテッシュの箱を政弥に渡した。
「これ……なに? なんに使うの?」
「あっ、はい。お客さまの中には、その……」
ゆりなは、初めて照れた様な顔をした。その表情は、とても愛くるしい。
「その……ご覧になられながら、ご自分でしょりなさるかたも数多くいらっしゃいまして……。規則で、わたくしどもはお手伝いできないことになっておりますので……」
政弥は納得した。要するに、美少女たちの「排泄シーン」もしくは「食べているところ」を視ながら自慰に耽るのは、「ここ」では当たり前のことだというのだ。
「それでは失礼いたします」
いうと、ゆりなはテーブルの上に腰を浮かせて座った。政弥の目の前に、ゆりなの閉じたワレメが「見て下さい」というかようにさし出される。
ゆりながグラスを手に取り、それを股間に添えると、ちょろちょろと黄金の水が「いい匂い」と共にグラスに注がれていく。
政弥の目は、黄金の水が零れ出す場所に釘付けになっていた。
グラスの七分目程まで黄金の水が注がれた頃、ピタッとそれは止まった。さすがは「プロ」だ。尿を自在に出したり止めたりできるとは……。うん。幼いながら、なかなかの「芸」を持っている。
ゆりなはそのグラスを政弥の前に置くと、
「どうそ、味見なさってください」
濡れた股間をテッシュで拭いた。
政弥はグラスを手に取り、まずは「香り」を楽しむ。「いい匂い」だと思った。そして少量を口に含み、舌で転がすようにして味わった。
少し舌に引っかかるような、でもそれが心地よいような……。高額のワインでさえ、これだけの「深み」はないだろう。
灼ける脳髄で、政弥はそう感じた。
「……どうでしょうか?」
心配そうに、ゆりなが政弥の眼を覗き込む。
「……う、うん。美味しいよ、とっても……」
そう答えるしかないし、事実その通りだった。
「あっ、ありがとうございますッ!」
本当に嬉しそうに答えるゆりな。なにがそんなに嬉しいのだろうか? 他人の尿を美味いというヤツなど、世間一般ではただの「変態」だろうに……。
まぁ、そんな「変態」をいつも相手……というか「客」にしているのだから、ゆりなにとって自分の尿を「美味しい」といってもらえるのは、本当に嬉しいことなのかもしれない。
舐めるようにグラスを傾ける政弥に、
「あの……おうんちは堅いほうがよろしいですか? それとも柔らかいほうがよろしいですか?」
ゆりなが訊いてきた。
堅いほう? 柔らかいほう? 政弥は疑問に思う。
「それは……どうちがうの?」
「堅いのはそのまま出させていただきまして、柔らかいのは、お尻の中に〈ゆりな水〉を入れてから出させていただきます」
「そのままって……そんなに自由に出せるものなの?」
「違います。ふだんは柔らかいほうだけなのですが、今日は特別なんです。ゆりなのおうんちを使ったジュースのご注文は三日ぶりですので、そのままでも出そうなんです」
「じゃあ……堅いほうで」
特別かぁ……なんか得した気分だ。それに三日分のおうんちか……。政弥はうっとりとした顔をして、そんなバカ丸出しなことを思った。
「はい。かしこまりました」
ゆりなは政弥に対して後ろ向きになって、深皿をお尻の下に敷く。
「では……失礼いたします」
政弥の目の前に浮かんでいる、ゆりなの白く小さなお尻。その奥にあるキュッと閉まっていた肛門がヒクヒクと動き、拡がり始めた。
そして間もなく、褐色の「おうんち」が顔を出した。思っていたよりも「おうんち」が太いのに、彼は驚く。
あんな小さかった穴から、これ程太い「おうんち」が放り出されてくるとは思ってもいなかったからだ。
むりっ、ムリムリっ……ミチぃ〜、もりっ……むりっ、ブビィっ!
放り出された「おうんち」が、深皿に溜まっていく。香ばしい香りが室内に満ち、政弥はその香りを胸一杯に吸い込んだ。
最高の気分だった。
こんなに心地よい香りは初めてだ。政弥は、これまで地下ビデオでしか観たことがなかった美少女の「おうんち」が、こんなにも素晴らしい香りだとは知らなかった。
ビデオでしかスカトロを知らないマニアが、実際に行為に至るとその凄まじいまでの悪臭に、マニアを止めてしまう人間も多いと聴いていたが、それは政弥には当てはまらなかった。
しかし、ゆりなの「おうんち」だからこそ、心地よい香りと感じたのかもしれないが……。
「……あっ、うっ、ハァ、ハァ……ハァ」
どこか切なげな吐息と共に、ゆりなの肛門はキュッと元通りに閉まった。深皿には、こんもりと「おうんち」が盛られている。
三日間溜められたゆりなの「おうんち」は、結構な量があった。
「ね、ねぇ……これも、味見していいの?」
「あ、はい」
ゆりは深皿から一口大の「おうんち」を手に取ると、
「はい。あーんしてください」
と、それを政弥にさし出した。政弥はいわれた通りに「あーん」して、口の中に入れられた「おうんち」を味わう。
「……美味しい、ですか?」
少し心配そうな口調で、ゆりなが問う。
「うん。美味しいよ」
「えへッ……よかったです」
頬笑むゆりな。その柔らかい笑顔は、これまで以上にゆりなを幼く見せた。
政弥はドキッとした。そして、「俺……なにやってんだろ?」と思った。
しかし、ゆりなが注射器を手にし、ワレメを指で開いて小さなクリトリスに針を突き刺そうとする姿を見て、ハッとなった。
「なッ……なにしてんのッ!?」
「はい。ゆりなは処女ですので、お薬を打たないとおまんこジュースがつくれないんです。もうしわけございません」
それって、どんな「お薬」だ?
「い、いや……申し訳なくはないんだけどッ。そ、そのお薬って大丈夫なのッ? 身体に悪くないのッ!?」
「……さぁ? どうでしょう? 大丈夫だときかされておりますけれど……」
ゆりなは頼りなく小首を傾げる。
「だ、だったらいいよ! それはいいからッ」
「でも……」
「いいのッ。そんな得体の知れないお薬なんか使わなくていいからッ。……ね?」
「あっ……はいっ! お客さまはお優しいのですね? ゆりなはうれしいですっ」
なにが「お優しい」ものか。「お優しい」人間が、ゆりなの〈すぺしゃるカクテルジュース〉など注文するわけがないだろう。
だが、「お優しいのですね」といわれた政弥は、顔を赤くして照れていた。
3
「材料」が揃い、ゆりなは「ジュース」作りに入っていた。
おしっこが入ったグラスを傾け、コクコクと咽を鳴らしながら三分の一程を飲み込み、深皿から「おうんち」を手づかみで口に運んでいく。
くちゃくちゃ……ねちゃ……にちゃ……
音をたてながら咀嚼し、嚥下する。政弥は、胸が締め付けられる様な気分だった。
これ程の美少女が、目の前で排泄物を食べている。自分がお金を出して食べさせている。ゆりなは自分のことをどう思っているだろう? 最低な大人だと思っているだろうか? 仕事だから当然だと思っているのだろうか?
そんなゆりなを見ながら股間を膨らませている自分を、ゆりなは「許して」くれているのだろうか?
ぐるぐると、答えの出ない思考が繰り返される。
だが現実として、ゆりなは自らの排泄物を胃の中に納めている最中だし、政弥はその姿を見て興奮し、勃起しているのだ。
事実は、それ以外のなにものでもない。
破裂しそうな股間がズボンをきつく押し上げる。渡されたティシュが目に入った。
ゆりなの桜色の小さな唇は、すでに汚物で褐色に染まり、くちゃくちゃを音を立てながら動いている。
食べている……。本当に、食べてるんだ……。
幼く未成熟な美少女が、排泄物を自分の目の前で食べている。あまりに「現実」とはかけ離れた光景。
ビデオではない。ビデオにはこれほどの、圧倒的ともいえるリアリティはない。それに、この胸に突き刺さるような香りも。
政弥は、身体中が締め付けられたように感じた。
もうゆりなに、どう思われてもいい。もう耐えられない。
したい。出したい。
ゆりなを見ながら、ゆりなの香りを楽しみながら果てたい。
欲求。
抗えないほどに、強い欲求。
政弥はベルトをゆるめて、ズボンを下ろしていた。トランクスを脱ぐのももどかしく、モノをその横から出して手に掴んだ。
そんな政弥に気づいたゆりなが、ニコッと頬笑んで、
「……ごりっぱですね。すてきです」
と、排泄物を口の中に入れたままいった。
政弥はその排泄物まみれの口でしてほしいと感じたが、それは規則違反らしいので仕方なく自分でしごくことにした。
ゆりなはその様子を、手と口を止めて凝視している。
見られていると思うと、政弥はなんともいえないくらい興奮した。
「……ハァ、ハァ……ゆ、ゆりな……ちゃん」
政弥もゆりなを見つめる。
見つめられて頬笑みを返したゆりなを、政弥は「天使」だと感じた。
この汚れた世界に舞い降りた、純粋無垢な「天使」。
白い翼を生やした、正に「りとるえんじぇる」そのものだ……と。
そして政弥は、「りとるえんじぇる」に見守られながら果てた。
「ハァ……ハァ、み、見てくれた? ゆりなちゃん……」
「はい。しっかりと。どぴゅっと白いのが飛び出して、とてもすばらしいと思いました。お客さまがゆりなで気持ちよくなってくださり、本当にうれしく思います」
微笑むゆりな。政弥がベットリと手に付着した精液をティシュで拭うと、ゆりなは再び食べる……というか「ジュースの材料」を胃の中に入れる作業に戻る。
彼女は深皿の「おうんち」を半分程食べ終えると、手に付着したモノをペロペロと舌で舐め取り、「ゆりな水」をゴクゴク飲んだ。
そして「少し失礼します」……いうとテーブルから降りて、ジャンプしたり、身体を左右に揺らしたりする。
多分、胃の中をシェイクしているのだろうが……これはどうだろうか? いいのか? これで……。
まぁ……かわいいからいいか。
「うん、これでよしッ! あっ、お客さま? ゆりなの〈すぺしゃるカクテルジュース〉の準備が整いました」
できたのか? ホントにか……? 前振りの割りに、仕上げは結構いいかげんだな。
ゆりなはトコトコッとテーブルに近づくと、
「おまたせいたしました」
いって、「おうんち」が入っていない深皿を取り、そこに顔を近づけて口の奥に指を三本突っ込んだ。
「ウッ……! ゲッ、ぅゲッ、ウウゥ……ウゲぇッ」
苦しいのだろう。えづくゆえなの顔が赤みを帯びる。
「ゲッ……ウぅッ! ゲフッ、ゲッ……」
そして……
「ウゲエェーッ! ゲフッ、ゴブゲフうぅーッ!」
胃を逆流した内容物が、ゆりなの咽を焼きながら口を通ってあふれ出し、びちゃびちゃッと深皿に盛られていく。
すっぱい感じの胃液の臭い。それに勝る、「材料」の臭い。
「げぶっ! ウゲッ、ゲェーッ」
小さな口から噴出する、なんとも形容しがたい色と臭いのドロドロ汁。
「ゴホッ……んっ、ケフッ……ゲッ、けふッ。ぅん……けほっ、けほけほっ」
胃の内容物を全て深皿に盛りつけたゆりなは、大きな瞳を涙で潤ませて、
「コホンッ……ぅん……ご、ご注文の、ゆりなの〈すぺしゃるカクテルジュース〉です」
少し苦しげにいい、深皿を政弥の前に置いた。
「どうそ、お召し上がりくださいませ。けほっ」
ゆりなの口から下は、ネバネバとした液がこびりつき、滑っている。
「……あ、ありがとう」
それは「ジュース」というより、暗い茶色の「シチュー」だった。
メニューには、〈ゆりな水〉で割って飲むと書かれていたので、「ジュース」の原液なのだろうが……。
政弥は、その原液をどうやってグラスに入れようかと悩んでしまった。スプーンが出されているわけでもないし、「この皿に直接〈ゆりな水〉を注ぐのか?」と思い、〈ゆりな水〉が入った一リットルのペットボトル(〈すぺしゃるカクテルジュース〉用だということだ)を手に取り、深皿に注ごうとした。
「あっ……!」
不意に、驚いた声を出すゆりな。
「な、なに!?」
「そ、その、違います……いえ、本当はどのようにしていただいてもよろしいのですが、普通はグラスでいただいてもらっております」
「そうなの? どうやってグラスに入れるの」
「はい。おもうしつけくだされば、ゆりながお口で、グラスにお客様のお好きなぶんだけを注がさせていただきます」
「そ、そうなんだ……。ごめんね、なにも知らなくて……」
「い、いいえッ! ご説明いたさなかったゆりながいけないのです。もうしわけありませんでした」
ゆりなが、本当にすまなそうな顔をする。政弥はなんだか悪いことをした気分になった。
「じゃ、じゃあ。まずは薄いのでいいから……あっ、もっと具体的にいわなきゃダメ?」
「いいえ。では薄目で作らせていただきます」
ゆりなは深皿に口をつけて原液を少量口に含むと、それをグラスに吐き出して〈ゆりな水〉を注いで指で掻き混ぜた。
「どうぞ、お召し上がりください」
「うん。ありがと」
不純物が浮いた、薄いアイスコーヒーのような「ジュース」に、政弥は口をつける。舌を刺激する苦味と、鼻腔を通り抜ける排泄臭。
「……お、おいしいッ」
本当に美味しいのだろうか? とてもではないが、「ジュース」というか……「飲み物」には見えないが。実際「ここ」以外の場所では、「飲み物」ではないだろうし。
「ありがとうございます」
「ホントに美味しいよ」
「はいッ」
口の周りに原液を付着させ、ニコッと頬笑むゆりな。
「まだまだございますので、こころゆくまでご賞味くださいませ。あと、残りのおうんちは、いってくださればゆりなが口移しでさし上げますので、おつまみとしてお楽しみください。おしっこは口直しにご利用くださいませ」
至れり尽くせりとはこのことだろう。政弥は天にも昇る気持ちになった。
りとるえんじぇる万歳だ。
ま……少なくとも、政弥にとっては、だが。
「えっと、ゆりなちゃん……おうんちくれる……かな?」
「はい」
ゆりなは深皿からおうんちを掴み口に入れると、そのまま政弥に唇を重ねた。
「うぅん……」
重なった唇から、おうんちが政弥の口内に捧げられる。
トロッとした、しかし固形物としての存在感もある一口大のおうんちが転がるように入って来て、ゆりなが唇を離すと同時に、政弥はその固形物を咀嚼した。
くちゃ、くちゃにちゃっ
思ったより歯ごたえがあり、粘り着くような感じもあった。
鼻腔を刺激する異臭……ではなく、政弥にとっては芳しいまでの香り。
最高だ。飲み込んでしまうのがもったいない。
ニコニコと頬笑むゆりな。
ドキドキと高鳴る政弥の鼓動と、ビクビクとそそり立つペニス。
政弥は飲んだ。そして食べた。
結局政弥は時間を二十分延長し、出されたメニュー全てを胃の中に納めて大満足して店を後にした。
「本日はありごとうございました。また、ゆりなのジュースを飲みにいらしてくださいませ。ゆりなはいつでも、ここでお客さまがきてくださるのをお待ちしております」
帰り際にそういったゆりなに、
「うん、また来るよ。ゆりなちゃんのジュース飲みに……約束する」
と、政弥は爽やか(本人にとっては)に答えた。
「ダメ人間」、ここに極まり……だ。
4 いんふぉめーしょん
「えっと……あっ、ゆりなです。
美少女カフェ・りとるえんじぇるでは、総勢三十二名のりとるえんじぇるが、みなさまのご来店を心よりお待ちしております。ぜひ、わたくしどものジュースを、みなさまもお楽しみくださいませ。
特別会員さまには、お好きなりとるえんじぇるを、お手ごろなお値段でお売りするサービスもおこなっております。
えッ!? ゆりな……で、ございますか?
はい。ゆりなは……え、えっと……あっ、あったあった。「おまんこの処女三十万円」。「お尻の処女二十万円」。「お持ち帰り三千万円」……となっております。
(うっ……なんか、安い気がする。お持ち帰り三千万円って、がーん! あたし、それだけの価値しかないの……?)
あ……い、いえ、なんでもございません。
ではみなさま。ぜひ、一度は「美少女カフェ・りとるえんじぇる」へご来店くださいませ。
わたくしどもりとるえんじぇるが、ジュースの素を身体いっぱいに溜めて、みなさまを心からお持ちしておりまぁ〜す。
…………
……
…
こんなでいいですか?
あっ、はい。
じゃあ、今日のお仕事おしまいですね。
はい。おつかれさまですッ。
じゃ、帰ってぽっけもんみよっと」
End |