幻恋 0 恋の始まりは唐突で、だから終わりも唐突に訪れるの。 1 「かわいいよ。亜希」 おにいちゃんはセックスが終わると、いつもそういいながらあたしの頭を撫でてくれる。あたしはすごく幸せになる。 おにいちゃんが喜んでくれるなら、あたしなんだってするって思う。 おにいちゃんは、あたしの『本当のお兄ちゃん』じゃない。 おにいちゃんが、「おにいちゃん」って呼べっていうから、あたしがそう呼んでいるだけ。おにいちゃんは、あたしの家の向かいのアパートに住んでいるだけで、あたしとはなんの血のつながりもない。 それでもおにいちゃんは、あたしの「おにいちゃん」だ。 大好きなおにいちゃんなんだ。 だからあたしは、おにいちゃんがいうなら、なんだってする。 セックスだって、本当はあたしにはまだ早いって知ってる。でもいい。おにいちゃんが喜んでくれるから。 あたしも嬉しいから。 そりゃ、セックスは痛いし、そんなおにいちゃんがいうほど気持ち良いことじゃないけど、でもいいんだ。 セックスが終わると、おにいちゃんはいつもより、もっと優しくしてくれる。頭を撫でて、「かわいいよ」っていってくれる。 嬉しい。 すごく幸せな気分になって、あたしは「ほわーん」ってなる。 大好き。 おにいちゃん。 本当だよ。 ずっとあたしと一緒にいて欲しい。「かわいいよ」っていって欲しい。頭を撫でて欲しい。 セックスだってがんばるから。 もっとおにいちゃんが喜んでくれるように、あたしがんばるから。 だから一緒にいて? ずっと、ずっと。 死ぬまで一緒にいようね。 ねっ? おにいちゃん。 あたしとおにいちゃんとの関係は、誰にも内緒だ。 悪いことをしてるわけじゃないけど、でも誰かにいっちゃダメなんだ。もし誰かに知られたら、あたしはおにいちゃんと離ればなれにされてしまう。 それはイヤ。絶対イヤッ! あたしがまだ子供だから。セックスしちゃいけないから。でもしてるから。だから知られちゃダメ。 お母さんにも、お父さんにも、先生にも、友達にも、誰にも。 あたしとおにいちゃんだけの秘密。 えへっ……なんだか、それもいい。 秘密。 二人だけの秘密。 胸がチクチクってして、でもイヤな感じじゃない。 嬉しいの。楽しいの。 あぁ……ずっとこんな感じが続けばいいのに。 嬉しくて、楽しくて、幸せで……。 おにいちゃんと、ずっと。 おにいちゃんとは毎日セックスしたいけど、そういうわけにはいかない。おにいちゃんとセックスできるのは、学校が休みの日だけ。 それ以外の日は、キスしたり、おにいちゃんのおちんちんを舐めて、『せーえき』を飲んだりするだけ。 うーん……ちょっと寂しい。 でも、おちんちんを舐めるのは好き。せーえきは、あんまり美味しくないけど、飲むとおにいちゃんが喜んでくれるからがんばって飲む。 咽に引っかかって、舌がザラザラして、変な臭いがするけど、おにいちゃんのせーえきだからいい。 おにいちゃんも、あたしの『おまんこ(って、おにいちゃんが教えてくれた)』を舐めてくれる。くすぐったいけど、気持ちいい。 おにいちゃんにおまんこを舐めてもらうと、いつもあたしはおしっこがしたくなる。おにいちゃんが「そういうもんだ」っていってたから、あたしは「そうなんだ」って思った。 おにいちゃんは頭が良いから、なんでも知ってるんだ。 すごいよね。 あたしも、おにいちゃんみたいに頭よくなりたい。 そのおしっこは、おにいちゃんが飲んでくれる。ちょっと汚いって思うけど、「亜希のだから汚くない」っておにいちゃんが。 少し嬉しい。 あたしも、おにいちゃんのおしっこだったら飲める。うんちだって食べられる。 ……美味しくないけど、でも平気。 自分のとか、おにいちゃん以外の人のだったら、絶対イヤだけど、おにいちゃんのは特別。 おにいちゃんは、あたしにおしっこをかけるのが好きみたい。 休みの日は、セックスが終わって一緒にシャワーを浴びているときに、いつもあたしにおしっこをかける。 あたしは座って、おにいちゃんのおしっこを頭からかぶる。口を開けて飲む。 身体中におにいちゃんのおしっこがついて、あたしはなんだかゾクッてする。おまんこの辺りがキュゥンってなる。 それが普通だって、おにいちゃんが教えてくれた。 おにいちゃんがいうんだから、間違いない。 あたしはホントにおにいちゃんが『好き』。 あたしは、おにいちゃんのもの。 ずっと、ずっとおにいちゃんと一緒にいるんだ。 2 いい玩具を手に入れた。バカで俺を疑うことなんかしない、本当の子供だ。 亜希。 俺好みの、小さくて、細くて、薄くて、髪が長い、セックス人形。 「フッ……お、おにいちゃッアゥン……」 覆い被さるように、前から狭く締め付けのいいマンコに突き刺す。やはり、ガキのマンコは最高だ。 俺は挿入したまま亜希を裏返し、今度は後ろから腰を打ち付けた。色素の沈殿なんかない、きれいな肛門が顔を見せる。俺は腰の動きを止め、マンコにモノを入れたまま、その肛門に指を突き刺した。 グニッ 「ヒイィッ! い、痛いよぉおにいちゃあぁんッ!」 煩い。人形にくせに。 俺は亜希の主張を無視して、直腸内で指をグリグリと乱暴に動かす。 「イッ……ヒッ! ヤァッ、イヤアァッ! いたっ、痛いッ」 痛くしてるんだから当たり前だ。お前は黙って、俺を楽しませてればいいだよッ。 ゴリイィッ 「ギッ! 痛いイタアァイイィッ!」 爪で直腸を引っ掻いてやった。滑りがよくなった。どうやら、出血したらしい。 グニグニと指を動かすと、その動きに呼応して「ヒッヒッヒイィッ」と亜希が鳴く。指に絡み付く感触を十分に楽しんでから抜くと、それに赤黒い液体が付着していて、抜いた瞬間にはその液体が肛門から零れて周りを赤く染めた。 チッ……汚いなッ。ベッドに零れたらどうするつもりだ。 仕方がないので俺は、亜希の肛門に栓をした。SMショップで買った、特殊ゴム制のアナルストッパーだ。普通は浣腸した後に突っ込むものだが、代用にはなる。 俺は痛みに涙を零している亜希を後ろから抱え上げ、腰の上に乗せた。もちろんモノはマンコに刺さったままだ。 二穴を塞がれ俺の胸に背中からもたれかかる亜希の二の腕を掴み、俺は腰を突き上げるように動かした。 アナルストッパーをはめたためか、マンコの締め付けがきつくなっていた。 「フギイィッ! はうッ。ウッウッ……はあぁんっ」 子宮にまでモノが届き、亜希の狭い膣壺は俺で一杯になっている。俺は力を込めて腰を突き上げる。 ガクガクと首を上下させ、身体を揺らす亜希。 「ハァアッ! アアァゥンッ!」 キュッと膣が締まり、ピクピクと痙攣する。イッたようだ。だが俺はまだイってない。腰の動きを続けた。 「……だ、ダメおにいちゃぁ……も、もうアッ! し、死んじゃうよぉ……」 もちろん無視。 俺は「死ぬ死ぬ」といい続ける亜希を、俺が果てるまで犯した。 亜希の中に放し、亜希をベッドにうつ伏せにして離れた。ピクピクと痙攣している亜希を仰向けにして、汚れたモノを舐めさせた。 亜希は焦点の定まらない目をしたまま、俺のモノについた汚れを舐め取った。教えた通りに、丹念に舌を這わせて、口に溜まった汚れた唾液を飲み込む。 「いい子だ。かわいいよ、亜希」 「ふ、うん……おにいちゃん……」 かわいいとさえいっておけば、なにをしても亜希はそれで満足する。バカだから。 玩具にされているとか、性欲を処理するだけの人形にされているとか、そういう事実は亜希には理解できない。 俺に愛されていると思っている。 「お、おにいちゃん……よかったぁ? あたしの身体、気持ちよかったぁ?」 「あぁ、よかったよ」 亜希は満足して頬笑む。 少し優しい言葉をいってやるだけで、俺を信じきってしまう。俺に喜んでもらおうと、どんなことでも受け入れる。 単純だ。 ホントに扱いやすい。 いい玩具だ。飽きるまで、じっくり楽しんでやる。そうだな、生理が始まるまでは手元に置いておこう。 生理なんて気持ち悪いことが始まるまでは、亜希は俺専用のセックス人形として使ってやろう。 俺は汚れた亜希をバスルームに連れていき、シャワーと一緒に小便をかけた。亜希は大きく口を開け、俺の小便を飲んだ。 なにをしようとも、後で褒めてやれば亜希はそれで満足する。それだけで、こいつは俺のいいなりだ。 バカな亜希。 俺の玩具。俺好みの形をした、小さなセックス人形。 3 生理がきた。 女の子だけの授業でならったし、友達にはもう生理がきている子がいるから、あたしはそんな驚かなかった。 でも……。 「そうか。なら、終わりだな」 生理がきたことをおにいちゃんにいうと、おにいちゃんはすごく冷たい声でそういった。 「な、なに? 終わりって、どういうこと……」 「俺は、生理がくるような汚い女は嫌いなんだ。だから、お前はもう用済みだ」 おにいちゃんがなにをいってるのか、あたしには理解できなかった。 「ここには二度とくるな。俺のことは忘れろ」 「じょ……冗談だよね……ねっ?」 「冗談なんかじゃねぇよ。俺はお前が嫌いになった。それだけだ」 嫌い? あたしが嫌い? 「ど、どう……して……?」 「いっただろッ! 俺は、生理なんて気持ち悪いことするヤツは大嫌いなんだッ」 気持ち悪い? 生理って気持ち悪いことなの? でも、でも……女の子だったら、当たり前のことだって……。先生だって、お母さんだって、そういったのに。 ウソッ。 そんなのウソよッ! 早紀ちゃんも、可奈子ちゃんも、歩美ちゃんだって生理がきてる。でもあたしは、気持ち悪いなんて思わない。 おにいちゃん。ウソいってるッ! だって……だってッ。 あたしは泣いていた。どうしていいのか、なにがホントなのか分からなかった。 「チッ……なきゃいいと思ってんのか? ほら、もう出てけッ」 おにいちゃんは、あたしを乱暴に部屋の外に出して、バタンとドアを閉めた。 ガチャ 内側から鍵をかける音。 初めて聴いた。 目の前が真っ暗になった。 どうして? あたし、悪いことしたの? 生理って、そんな悪いことなの? あたしはなにも考えられなくなって、そこに立ち続けた。どのくらいそうしていたのか分からないけど、気が付いたらもう暗くなっていた。 あたしは、足下が揺れている世界を、家に向かって歩いた。 これが、あたしの初恋の終わりだった。 4 おにいちゃん……ううん、あの人はそれからしばらくして、早紀子ちゃんっていうあたしより二つ年下の女の子をレイプしようとして、警察に捕まった。 それからあの人を見てない。どうなったのか知らない。今となっては、どうでもいいことだ。 あの人は、ロリコンだったんだ。 小さな、生理のきてない子供にしか興味が持てなかった。そういう病気だったんだと、今のあたしには分かる。 あの人にとって、あたしは都合のいいおもちゃだったんだってことも、今では理解している。 あの頃のあたしはホントに子供だったから、あの人に嫌われたことがショックで、一年くらい自閉症に陥ってしまった。 なにも喋れなくなって、学校へも行けなくなった。 カウンセラーの間倉先生がいなかったら、立ち直れなかったと思う。間倉先生はあたしの恩人だ。今でも、間倉先生には手紙を書いている。先生も返事をくれる。 先生は、あたしとあの人が性的関係にあったことを知っても、それを誰にもいわなかった。あたしの両親にも。 それがいいことかどうかは分からない。でも、あたしは感謝している。 間倉先生は、あたしの憧れの女性だ。あたしは、間倉先生のようになりたい。 この大学で一生懸命勉強して、いつかはカウンセラーの資格を取りたいと思う。それにはまず、あたしは恋愛恐怖症を治療しなければならない。間倉先生にもそういわれている。 「恋の始まりは唐突で、だから終わりも唐突に訪れるの。それが当たり前のことだし、恐いことでもなんでもないのよ。 誰だって恋をして、苦しんで、泣くことだってあるわ。私だってあったわよ。でも、それが当たり前なの。恋なんてどこにでも転がっている、取るに足らないものなの。恋が『特別』だなんて思わないで。そんなこと、誰も決めつけていないんだから。 恋も、仕事も、趣味も、普段の生活も、みんな同じレベルなの。だから、恋愛だけに縛られてしまうなんて、バカげたことなのよ。世の中には、楽しいことはたくさんある。恋もその一つだけど、それだけのものなの。本を読むことも、ゲーム、スポーツ、ショッピングをすることも、恋をする楽しみとなんら変わることはないわ。 だから、恋愛を『特別』だって思わないで。恐いと思わないで。本を読むみたいに、いっぱい恋をすればいいのよ。それが、あなたを強くするから。強いあたなは、無敵よ。人生を思いっきり楽しめるわ。私みたいにね」 がんばろう。そして楽しもうと思う。 一度きりの人生だから。 あたしに与えられた限りある一生を、あたしは楽しみたい。 たった一度の、幻のような恋に負けたくない。 だって、強いあたしは無敵なんだから。 End |