「みよ」

 

 セント・シェラリール女学院。女学院というくらいであるから、もちろん女子校だ。みよはその女学院の初等部に在籍している、十一歳のおんなの子。

 ボーイッシュな整った面もちで、スポーツは万能。勉強もできないというわけではない。下級生たちが作ったファンクラブまであり、みよは、学院初等部のアイドル的存在といっていい。

 みよがグラウンドを駆ければ、

「きゃ〜! みよさまぁ〜」

「みよおねぇさま、ステキいぃ!」

 休み時間にも、

「これ、みよさまに食べていただきたくて、心をこめて作ったクッキーです。食べてください」

「みよおねぇさまは、あたしが作ったシナモンフレッドをお食べになるんですわ。ね〜? みよおねぇさま」

 ヒトから好かれるのは、やはり嬉しいものだ。だが、一人にしてもらいときもある。例えば、必死で便意を堪えているときとか……。

 みよはなんというか、お腹が下りやすい体質なのだ。固形のウンチをすることなど、一年に数えるくらいしかないほどに。

 そして今も、みよのお腹は下っていた。

 昼休み、トイレに向かっているところをファンクラブのおんなの子三人に見つかってしまったみよは、自分を慕ってくれている後輩たちに、

「トイレにいきたいから、あなたたちジャマなの」

 などとはいえず、廊下の片隅で彼女たちを適当にあしらっていた。十メートル先にはトイレ。が、その十メートルのなんと遠いことだろう。

「みよさま? あたし昨日、子猫ちゃんをみつけたの。とってもかわいくて、ナデナデしてあげたら、ふにゃ〜……って鳴いたの」

「そ、そう? よかったわね……(ト、トイレいきたい〜)」

「みよおねぇさま。わたくし昨夜、みよおねぇさまの夢をみましたのよ。夢の中のみよおねぇさま……王子さまみたいな服装で、あぁ〜……ステキでしたわぁ」

「そう……なの? 王子さま? は、恥ずかしいわ(そんなこと知らないわよぉ〜……あっ、も、漏れちゃうぅ!)」

「……みよ、お姉さま……ポッ」

 うっとり顔で自分をみつめる、無口なわりに一番自分に熱心な子。たしか、ルイコとかいう子だ。

(な、なに頬染めてるの? あたし、そんな趣味ないんだからっ! そ、そんなことより、トイレにいかせてよぉ〜)

 みよのお腹の中は、すでに水分でいっぱいだ。油断すると、いつアヌスが決壊してしまうかわからない。

 ゾクゾクと背筋を這う便意。下腹部が痙攣しているのが、自分でもわかる。

 みよはこの体質のせいで、トイレ以外の場所でアヌスを決壊させてしまったことは少なくない。だが、人前で決壊させたことは、幼稚園を卒園してからはない。三年前に兄と一緒にお風呂に入っていたとき、湯船の中で決壊させてしまったことはあるが、兄は家族なので問題ない……と思っている。もちろん兄からは、頭にコブができるほどのゲンコをもらったが。

「あ、あのね……あたし、ちょっと職員室にいかなくちゃ、い、いけないから」

 自分でもナイスと思ういいわけ。みよが告げると、三人は「えぇ〜!」などと残念そうな声を発したが、みよを解放してくれた。

「じゃ、じゃ……ま、またね」

 歩き出すみよ。一歩ごとの振動に、ビクッ! ビクッ! 下腹部が悲鳴を上げる。

 トイレの入り口に到達するみよ。だが、このままトイレに入るわけにはいかない。すぐ後ろには、まだ三人がいて、みよの背中を見つめているのだ。

 職員室にいくといった手前、ここでトイレに入るわけにはいかない。とりあえず階段を下り、下の階のトイレにいこう。

 みよはトイレの前を通り過ぎ、廊下の角を折れて階段を下る。手すりを掴んでいないと、とてもではないが降りられない。膝がわらい、脂汗が額に滲む。

 と、ほんの少しの油断。階段の半分を過ぎ、踊り場に脚をつけたとき、

 プピュ

 一瞬、なんの音かわからなかった。が、お尻の谷間に感じる温もり。

(うわっ! ちょ、ちょっと漏れちゃったあぁっ!)

 壊滅的ではないが、少量の便……ともいえない汚水が、みよのショーツとお尻を濡らしていた。

(ど、どうしよう……パンツのかえなんて、もってないわっ!)

 今は昼休み、当然午後の授業はある。ノーパンで授業を受けるわけにもいかないし、かといって、汚水が染みこんだショーツをはいたまま受けたくもない。

 だがそのことを考えるよりも先に、みよは「お腹の汚水を全て吐き出してしまわないと」……と思い、震える脚を進めた。

 少しだけでも吐き出したためか、先ほどよりスムーズに階段を下ることができる。どの階も、トイレは階段の横にある。すぐにみよは、トイレに入ることができた。

 幸運にも、トイレには誰もいない。さすがに、誰かいると困ってしまう。

 学院のトイレ最新式の洋式便器で、水の流れる音がほとんどしない。これでは音を誤魔化すことはできない。

(よし……誰もいないわね)

 が、みよは一番手前の個室に入り、ショーツとスカートを下ろして便座に腰を下ろそうとしたとき、お喋りをしながら誰か二人ほどトイレに入ってきてしまった。

(ウ、ウソッ!)

 お尻を便座につけ、あとは排出するだけの状態なのに……。

(は、早く出ていって)

 膝をがっしりと掴み、プルプルと震えるみよ。便座に座っているため、脳は排便オッケーと認識しているのか、肛門が自然と開いてしまいそうだ。

 ギュッ……と、お尻に力をこめる。瞼を閉じ、「出るな、出るな、出るな」と、繰り返し念じる。

 ビクンッ! ビクビクビクンッ!

 身体中が痙攣し、みよの唇は真っ青に変色していた。

 個室の外では、おんなの子たちのお喋り。彼女たちは、排泄しにトイレにきたのではなく、お喋りをしにきたのだろうか。

 その喋り声が、みよにはどこか遠くからのように聞こえてくる。意識が混濁して、真っ白に染まっていくようだ。

 みよは白く染まりゆく意識を、便意を堪える苦しさによってつなぎ止める。

 が、彼女は、苦しさと同時にどこか気持ちよさも感じていた。

 身体が凝縮したように感じるのに、アソコだけがジンジンと熱く大きくなっているように感じて、少し……気持ちがいい。

 みよは、自慰経験がないわけではない。だが今の気持ちよさは、自慰をしているときの気持ちよさとは違う。同じアソコでも、違う種類の気持ちよさだ。

(なんか、ヘ……ヘンな気分……苦しいのに、気持ちいい〜)

 気持ちいいと認識すると、どんどんその気持ちいいが大きくなってくる。悪寒すら感じていたのに、アソコの熱さが全身に広がって、ムズムズぽかぽかしてきた。

(こ、声、出ちゃうよぉ〜)

 気持ちいい声が出てしまいそうだ。自慰をしているときに出てしまう、「いやらしい」声が。

 学院のトイレで便意をがまんしながら、気持ちよくて「いやらしい」声が出てしまいそうな状況。

(あたし……ヘンタイ、みた……い)

 恥ずかしい。でも……本当に気持ちがいい。身体が自慰を要求してくる。意識は拒否していたが、肉体が勝手に動いてしまっていた。

 膝を掴んでいた両手が、幼い秘部に誘われる。閉じたワレメの奥は湿っていた。いつもは一本なのに、みよは二本、指をヴァギナに挿入した。

 それと同時に、クリトリスを摘んで転がすようにこねる。

(あっ、あっ……い、いい〜ン!)

 排泄願望と自慰行為が混じり合い、みよは初めての快感に沈んでいく。

(こ、こんなのイヤ……)

 このような行為は変態的だ。今すぐに止めなければ。

 そう思うのに、性器を弄る指は止まってくれない。

 身体の奥から下半身の三つの穴を出口として、それぞれの穴を出口とするモノが溢れそうになる。

 尿道からはおしっこが、ヴァギナからは愛液が、そして肛門からは水状ウンチが……。

(も……ダメ……で、ちゃううぅ〜っ!)

 ビクンッ!

 みよの上半身が、エビ反るように跳ねる。

 途端、彼女の両手を温かいおしっこと愛液が濡らし、

 ブビイイィー! ブビブビビイィッ! ビチャチャッ ビチャーッ!

 すさまじい勢いで、アヌスが決壊してしまった。

 噴き出してきたその便は90%が水分で、ほとんど茶色い汚水だった。汚水は便器に溜まり、圧倒的ともいえる便臭を、個室までもかトイレ中に充満させる。

 絶頂、排尿、排便。

 三種類の快感が一度にみよを満たし、一気に悦楽で包みこんだ。

 個室に響いた排便音は、お喋りしていたおんなの子たちを黙らせ、次いで臭ってきた便臭が、彼女たちをトイレの外へと追いやった。

 が、みよは便器にグッタリと身体を預け、

「あ、あひぃ〜……ひ、ひもちひいいぃ〜」

 肛門からウンチ汁をプピュプピュと、手を濡らす尿はポタポタと便器に落とし、笑みを浮かべた口元から涎まで垂らして、悦楽の余韻に浸っていた。

 


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