夢乃園ポエ夢 詩集・U

 

 

     『素晴らしい夢の中で』

 

 さぁ! ダンスを踊りましょう。

 今宵は貴女の為に用意されたダンスパーティー。

 心行くまで踊りましょう。

 猫さんも、兎さんも、蛙さんも、みんなみんな、貴女を待っていますよ。

 そんなに怖がらないで。

 誰も貴女を傷つけたりしません。

 みんな貴女が『好き』なのです。

 さぁ! ダンスを踊りましょう。

 さぁ! この手を取って踊りましょう。

 さぁ! この素晴らしい夢の中で。

 

     『キミのカタチ。ボクのコトバ』

 

 〈黄金の時〉を思い出して。キミは誰よりも、そしてなによりも輝いていた。

 でも今はどうだい?

 キミは疑うことばかりを繰り返し、誰かを信じることを止めてしまった。

 あの頃のキミは、ボクの言葉を信じてくれたよね。

 でも今はどうだい?

 ボクの言葉なんて、なにを紡ごうともキミの心に届かない。

 キミが受け入れてくれないからさ。

 それはとても悲しいことだと思わないかい?

 キミは今のキミのまま、この先ずっとそのままなのかい?

 風は凪がれるよ。凪がれているよ。

 鳥は歌うよ。その唇に歌を重ねているよ。

 空は青いよ。明日曇っても、明後日はまた青いよ。

 なにもかも、昔のまま。

 キミが〈黄金の時〉を生きていたころのまま。

 でも今のキミはどうだい?

 風を感じているかい? 鳥の歌が聞こえているかい? 空の青が見えているかい?

 

 こんなこといったって、今のキミにはなんの関係もないんだろうね。

 でもボクは、今でもキミが『好き』なんだよ。

 

 〈黄金の時〉を思い出して。キミは誰よりも、そしてなによりも輝いていた。

 

     『月曜日』

 

 一週間の始まりは、ホントのところ日曜日。でもなんとなく月曜日っぽく感じない?

 感じるってことにしとこうよ。

 だからさ。一週間の始まりは月曜日。

 そうしない?

 そのほうが楽しいよ。

 だって、キミに会える日なんだからさ。

 

     『サムシング』

 

 白。

 なにもかもが白一色。

 だから、白しか見えない。

 本当は鬱陶しく感じるくらい一杯物が溢れているけど、目に映るのは白だけ。

 世界は白に犯された。

 白によって見えなく隠された。

 でもなくなったわけじゃない。

 見えなく隠されただけ。

 だから手を伸ばしてごらん?

 そこには、キミの望むものがあるはずだから。

 

     『紅茶色の空』

 

 雨が降れば、少しはマシになるのかな?

 イヤなこと、少しは洗い流してくれるのかな?

 他力本願実行中。

 降水確率10%。

 

     『アーク』

 

 その赤い線をこっちの水色の線と繋げると、きっとすごいことが起こるよ。

 でもこっちの水色の線を、あっちの角っこにある黄土色の線と結んでごらん? きっとものすごいことが起こるよ。

 でもでもあっちの角っこにある黄土色の線を、上…ほら、あの壊れたマリア像の左側にある白い線と重ねると、もどうしようもないくらすごいことが起こるんだ。

 けど残念だね?

 ボクらには、線を掴む『手』がないや。

 

     『春』

 

 春になるとキミを思い出す。

 キミの笑顔を思い出す。初めてのキスを思い出す。

 キミは今、どこでなにをしているの?

 ボクは今、ここでキミを思い出しています。

 

     『封印』

 

 コーラの一気飲…いや、なんでもない。

 

     『図書館』

 

 放課後の図書館にはいつもキミがいる。

 だからボクは放課後の図書館が好きだ。

 静かな空気に包まれて、本のページを捲るキミ。

 本なんか読まないで、そのキミを見てるボク。

 …これって、まるっきりストーキングか?

 ヤバキチ! どうするボク?

 取りあえず今日は帰ろう…そして、なんとかいい方法を考えよう。

 ボクはただ、本を読むキミの隣に座りたいだけなんだ。

 こうして離れてキミを眺めているんじゃなくて、キミの隣に座りたいだけなんだ。

 なんか、いい方法ないかなぁ…。

 

     『午前二時十三分』

 

 眠いけど、時間だから宇宙人と交信しなくちゃ。あっ…いけない、いけない。ブラは取らなきゃ。ブラしてるままだと、電波の入りが悪いのよねぇ。

 あっ、蝋燭ろうそく…っと。

 よしッ!

 準備おっけー。

 さぁ、祈るぞッ!

 

     『RNP』

 

 目覚めは悠久の風を彼方へと誘う。

 青い瞳に束縛され、大地は灰色に染まる。

 少女は祈り、そして約束と共に絶望を受け入れた。

 何も、そう何も〈彼〉の手には握られていなかったのだから。

 

     『危うさ』

 

 もう一歩踏み出せば、それで全てが終わる。

 少女はその身体を引き裂こうとする冷たい風に誘われ、眼下に広がる風景に溶け込んだ。

「ごめんなさい」

 その呟きは、発した少女にだけは届いた。

 

 少し、〈救われた〉気がしないか?

 

     『九歳という罪。よって彼女に与えられる罰』

 

 九歳の彼女は、無知であり無垢であったからこそ『許された』。

 罪も罰も与えられなかった。

 母を殺し、父を殺し、姉を殺し、でも『許された』。

 よって九歳の彼女は、全ての人間を殺さなければならなくなった。

 九歳の自分を『許した』全ての人間が、九歳の彼女にとって『敵』となってしまったから。

 九歳の彼女にとって、『許し』は最悪の強制だったから。

 九歳の彼女は死にたかった。殺されたかった。

 罪を犯したから、それに伴う罰を望んでいた。

 なのに…九歳の彼女は『許されて』しまった。

 だから選択肢はなくなった。

 九歳の彼女は、『敵』を憎んだ。

 

     『スノードロップ』

 

 あまい、あまい白い花。

 舌の上でとろける、あまい白い花。

 死を誘う、あまい白い花。

 あなたもどうですか? あまい白い花。

 スノードロップ。あまい白い花。

 あまい、あまい白い花。

 

     『……』

 

「三森さんの体操着を盗ったのは誰ですか? 正直に名乗り出れば、先生は怒ったりしません(っているはずねーよな。俺が盗ったんだし…)」

 

     『四方木』

 

 無機質な水。

 固まり。

 凝固。

 ガラスの少女。

 脆い。

 流動。

 真実の嘘。

 現実。

 真実。

 

     『R・049』

 

 ハハッ! くだらねぇ。

 なにが倫理だ。なにが道徳だッ!

 テメーら何様のつもりだッ?

 なんの権利があって、そんなくだらねぇこというんだッ?

 よくいえるなッ! 恥ずかしくないのかッ?

 知ってるんだぜ。

 テメーら全部偽善者だってなッ!

 おい。そこのお前。そうそう、そこのピンク色の恥ずかしい服着たお前だ。

 知ってるんだぜ。お前、妹を虐めてたろ? ハッ! なにが「いい加減なこといわないでッ!」…だ。

 知ってるっていってんだろ?

 …ん? あぁそうさ、見てたんだよ。全部なッ!

 ククッ…。

 そこのお前は、黒服のお前さ。お前、親の金盗んでたよな。

 嘘? 嘘じゃねぇよ…知ってんだよッ! 全部。全部なッ!

 まぁ心配すんな。

 他のヤツらだって、おめーらと同じだからな。

 お前らは仲間さ。

 だから心配すんな。

 みんな仲良く地獄行きだ。

 おい。そこの赤鬼。

 こいつら地獄へ連れてけ。

 あっ、ちょいまて。

 こいつとこいつは、一丁目からじゃなく、三丁目からだ。

 

 よし、次の死者連れてこい。

 今日はまだ天国行きのヤツがいねぇな。仕方ねぇ。地獄をもうちょい広げるか。

 

     『割れた仮面』

 

 素直になれたのはあなたのおかげ。

 この世界が、こんなにも輝いている場所だなんて知らなかった。

 素敵。

 なにもかも素敵。

 あたしは解放された。閉じこめられ、束縛され、繋ぎ止められていたあの暗い夢から、あたしは抜け出せた。

 ありがとう。

 本当にありがとう。

 それだけしかいえない。言葉にならないから。

 だから、ありがとう。

 簡単なことだった。でも、あたしにはできなかった。

 あなたが教えてくれなければ、あなたが勇気をくれなければ。

 ありがとう。

 心から感謝しています。

 こんなにも素敵な世界に、あたしを誘ってくれたあなた。

 見て下さい。

 これがあたしの世界です。

 あなたが与えてくれた世界です。

 どうですか?

 この素敵な赤は。

 これはお母さんの赤。こっちはお父さんの赤。そしてあたしを彩っているこの赤が、大好きな妹の赤です。

 髪を濡らし、身体中を温かく濡らす妹の赤。

 あたしは、大好きな妹と一つになれました。

 もう苦しまなくてもいいんです。とても、とても素晴らしいです。

 あたしは妹の赤と一緒に、この世界を生きていきます。

 ありがとう。

 本当にありがとうございました。

 

     『どうでしょう?』

 

「美形の殺人鬼が出てこない刑事ものは、刑事ものにあらずッ!」

 といったのは、中野区在住の14歳の女の子でしたが、どうでしょう?

 

     『プライバシー』

 

 抱きしめて欲しい。

 もっと、もっと…。

 囁いて欲しい。

 好きだよ、すきだよって…。

 壊れかけた時間の中で、壊れかけた希望を胸に、けして与えられない夢をみていてもいいですか?

 

     『ラスト』

 

 切り裂かれた希望。

 繋がらない言葉。

 だけど、もう一度だけ言わせて。

「私を…お姉ちゃんを、抱いてください」

 

     『その通り』

 

 詩集だってぇ…くすっ。

 バッカじゃないのッ?

 死んじゃえばぁ。

 

     『世界樹』

 

 世界樹の下で詠うは、黒い翼の四番目の天使。

 銀の声。漆黒の瞳。脆い心の四番目の天使。

 寂しい。悲しい。苦しい。泣かせて。

 奏でる夢は世界樹の上に。

 

     『W i l l』

 

 あの言葉は、わたしの全てを否定した。

 なにげなく投げかけられた、なにげない言葉。

 抱きしめたかったのは、どこまでも続く青い空。

 

 どうしてあたしは、『大人』になってしまったのだろう?

 

     『深緑』

 

 無色透明

 風にまう粉雪

 約束の言葉

 夢中の水面

 静力学

 頬笑み

 夏の夜

 うちよせる波

 慈しみ

 若すぎた過ち

 

     『遙か』

 

 どうしてぼくたちはこんなにもちかくでなみだをぬぐいあっているのだろう?どうしてあたしたちはこんなにもとおくおたがいをかんじてしまえるのだろう?それはきっとゆめのなかのきおくだから

 はるかにきえたかなたのこなた

 

     『夢…っていうか妄想』

 

 何十人ものレースクイーンのおねーちゃんに囲まれて、一生遊んで暮らしてぇ。

 

     『遺跡』

 

 かつてこの大地には、〈リゼクト〉が満ちあふれていたはずだ。

 人々は幸福を受け入れ、〈不幸〉を排除したはずだ。

 神々はその〈力〉を万物に与え、見えるモノ見えざるモノを創り、祝福したはずだ。

 空は広く、海は蒼く、与えられた〈カタチ〉に満足していたはずだ。

 だからこそ〈今〉この瞬間。

 過去は再び〈未来〉へと還る。

 

     『星』

 

 停滞した時間とココロ

 溶け始めた空間とナミダ

 真実を映し出す氷とソラ

 幻を形成する無限とユウゲン

 意味の在る意識とオモイ

 意味の無い意識とオモイ

 育ち続ける星とホシ

 

     『少しだけ…』

 

 浅い眠りの向こう側に示される悠久の場所へと至る階段と光

 

     『力学』

 

 これは違う。

 何故そう感じてしまうのか?

 感じる必要があるのだろうか?

 そもそも「世界」とは、こういう風に出来ているのではないか?

 どうしてそれを受け入れるのが不服だと?

 傲慢な無知。

 無知という悪。

 悪という…力。

 足掻け。

 無知なる悪を創り出す者よ。

 

     『抄』

 

 玲瓏な彼女こそ唯一の輝き

 夢色の壁画を描く小鳥

 永遠の

 無限の

 そして有限の

 ただし右回りに愚かな

 左回りに高尚な

 虹銀

 夢の

 だからこそ現実の

 抄

 

     『第128章』

 

 紅い天使が紡ぐ呪いの詩が、氷る水を浄化する

 安らぎと、それに反する堅いかたい『エデン』

 世界樹の下から絶望が流れる

 水面に立つ紅い天使は絶望を斬る

 少女は何故詩を忌むのか?

 絶望を望むのか?

 虹の先は、少女が嫌う『エデン』

 アダンとイル

 最初の

 愚かなりし下僕

 紅い天使は詩を紡ぐ

 そして少女は

 紡がれる詩に溶ける

 

     『パンゲア』

 

 一つとなることこそが定義された未来の過去

 

     『なんか…痛いね』

 

 夢は願えば絶対に叶うよ。

 どんな夢だって、叶えられるのを待ってるんだよ。

 みんなで夢を叶えてあげようよ。

 ねっ?

 

     『ライズ』

 

 紅茶色に染まる空に明日は続く

 それは悲しいこと

 悲しいことだと云う白い花

 

     『フェアリー』

 

 真夜中の街に降り立つ妖精

 聖と魔をその羽に宿し

 紫の瞳で『キミ』を視る

 ほら、聞こえるだろう?

 ラジオから吐き出される雑音の中に

 なにを紡いでいるのだろう?

 なにを告げているのだろう?

 マロンケーキのような苦い声で

 妖精はなにを

 小鳥が堕ちたのかもしれない

 助けてあげなくては

 水面が波打っているのかもしれない

 助けてあげなくては

 黒いヒトが生き返ったのかもしれない

 助けてあげなくては

 大変だ

 忙しくなる

 寝ている場合じゃない

 妖精を捜さなくては

 

     『神の血』

 

 希望と絶望で構成された神を具現化させる祈り

 

     『希望の卵』

 

 その別れが永遠であるのならば、ボクは泣いたのかもしれない。

 

     『祝福の詩』

 

 もうどこにもいかないで

 

     『紅き指先の吐息』

 

 そして彼は弾きがねを

 

     『野の花を忘れぬように』

 

 瞳を閉じると〈言葉〉が聞こえる。

 あの優しい〈唄〉が聞こえる。

 あぁ…どうしてボクは、この気持ちを忘れていたのだろう?

 

     『you & you』

 

 誰がなんと言おうと恋はすばらしい

 こんなにも

 そう

 こんなにも

 せつない涙であなたが言う

 

     『レクト』

 

 解り合えたという『勘違い』で彼と彼女は幸福を手に入れた。

 でも本当は『勘違い』などではなく、彼と彼女が手に入れた幸福こそが『唯一絶対の真実』。

 だから云える。

「あなたを愛しています」

 その〈言葉〉こそが『真実』。

 

     『RINKOU  −燐光−』

 

 ゆらゆら。ゆらゆら。

 空から淡い光が降ってくるよ。

 紅と思ったら蒼。蒼と思ったら碧。碧と思ったら黒。黒と思ったら白。

 ゆらゆら。ゆらゆら。

 空から仄かな祈りが降ってくるよ。

 さぁ、掌を差し出して?

 ほら、キミの掌であの子の祈りが溶け始めたよ。

 温かいね。冷たいね。

 楽しいね。

 でも、あの子泣いてるよ? 祈りを溶かされて泣いてるよ?

 聴こえない? あの子の泣き声…。

 

 そう…キミは、残酷だね。

 

     『Egg』

 

 これは〈希望の卵〉。ボクは知っていた。

 これは〈絶望の卵〉。アタシは知っていた。

 これは〈彼と彼女の卵〉。けど、それは誰も知らない。

 

     『メビウス』

 

「初めまして…かな、諸君。

 私の名は…いや、それは伏せておこう。なぜなら私自身、『私』を定義しきれていないからだ。

 それに諸君にとって、私の固有名詞など「どうだっていいこと」だろう。仮に私を『虚』と呼んでもらうとして、それで諸君が納得できるとしたなら、私は『虚』だ。

 私には「それだけの意味」しかない。

 つまらない前置きをしてしまっ

 

 って、こんな書きだしの本だったら、オレならここで本を閉じる。

 


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