「留美絵 −るみえ−」

 

 留美絵(るみえ)が、留守中の兄の部屋に忍びこもうと思いたったのは、十一歳の少女らしい、芽生え始めた異性への好奇心からだった。ぶっちゃけた話、「兄が所有しているであろうエロい本でも盗みみよう」……ということだ。

「うっわ……相変わらずきったない部屋っ!」

 彼女にしてみれば「きったない部屋」なのだろうが、二十歳の大学生の部屋としては、さほど薄汚れてはいない。床にゴミが散乱しているわけでもないし、ちゃんと足の踏み場もある。

 留美絵はキョロキョロと兄の部屋を眺め、一瞬なにかを思いついたような顔をすると、スタスタと勉強机の方へと脚を進めた。それに伴い、白い帯状リボンでテールにした、下ろせば背中を全部隠してしまう長さを持つ髪が、それ自身が彼女とは別の生き物なのではないかと思わせるほど躍動的に跳ねる。

(まずは机からよね)

 留美絵は思い、兄の勉強机の引出を開ける。が、一段目めには「お目当て」のものはない。次いで二段目。これもさきほどと同様だった。しかし三段目の引出を開けると、そこには、

(あったっ! きっと、エッチな本だわ)

 留美絵はドキドキしながら、「やけにキレイな女の人」が表紙になっている、「エロい本」を手に取った。

 本のタイトルとして記されていたのは、「排泄天使 〜糞尿色の翼〜」……というものだったが、彼女はそのタイトルよりも、

(こ、こんなきれーなひとがエッチなことしてる写真もあるのかな?)

 表紙に写っている女性の方に気を取られて、タイトルまでは確認せずにページを捲った。

 しかし……。

 そのエッチな本の内容は、留美絵が想像していたものとはかけ離れていた。

 確かに裸の女性は写っている。しかしその女性たちは、全てといっていいほど汚物とともに写真の中に収まっていた。

 写真でとはいえ、初めて目にする他人の排泄シーン。縄で身体を縛られた女性が、床にこんもりと盛られた排泄物に顔を押しつけられているものまである。

(うわっ! な、なによこれっ!? お兄ちゃんったら、サイテー!)

 そうは思いながらも彼女は、写真の中で糞尿と戯れる女性たちから目が離せなくなっていた。というより、釘づけ状態だ。

 汚い。不潔。信じられない。最低……。

 留美絵の中で、様々な感想……というか気持ちが入り乱れる。だが彼女は、気持ちとはうらはらに次々とページを捲っていく。

 と、あるページで、留美絵の手が止まった。そのページに写っていたのは、表紙になっていた、清純派のアイドルにもいないような、可憐であり上品である整った容姿の天使。

(うそっ! こんなキレイなひとが、ウンチ食べてるっ)

 その可憐で上品な容姿の天使が、手づかみで排泄物を口にしていた。そのうえ彼女は、留美絵が同性として嫉妬を覚えるほどの美しいスタイルをした身体に、褐色のコーティングを施している。一見して「彼女が身体にウンチを塗っている」ことが、塗糞プレイなどという言葉さえ知らない留美絵にも理解できた。

 なにやら、とんでもないものをみてしまった!

 留美絵は兄の部屋に忍びこんだことよりも、この写真をみてしまったことの方に、より大きな罪悪感を覚えた。

 これは、自分がみてはいけないものだ。他人(この場合は写真の女性)が隠していた秘密を覗きみてしまったような、いいようのないバツの悪さ。だがそれと同時に留美絵は、これまで感じたことのない、奇妙な高揚感にも包まれていた。

(こ、こんなのサイテーなのに、なんで……あ、あたし……)

 震える手でページを捲る。

 次のページは、前のページと同じ天使が、口の中いっぱいに詰めこんだ排泄物をみせつけるかのように、大きく口を開けている写真だった。

(……っ!)

 言葉にならない驚き。しかし、その写真から目をそらすことができない。

 天使の口角からは唾液に溶けた排泄物がドロリと垂れ、口元から顎にかけてを褐色で染めている。

 ゾクリと、背筋が凍った。頭の中がグラグラする。

 理解できない「恐怖」を感じ、留美絵はその本をもとあった場所に戻すと、慌てた様子で部屋を出ていった。

 

 お風呂にも入り、あとは寝るだけ。留美絵はベッドに入って目を瞑り、瞼の裏に「排泄天使」たちの姿を思い浮かべていた。

 おしっこをしていた天使。そのおしっこを飲んでいた天使。ウンチをしていた天使。ウンチを身体に塗っていた天使。そして、口の中をウンチでいっぱいにしていた、清純派アイドルのような顔の天使……。

(あんなキレイなひとがウンチを食べるなんて、信じらんない)

 しかし天使たちの糞尿に彩られた姿を思い出すたび、留美絵の下腹部は熱と湿り気を増していく。股間がムズムズとしてガマンできない。

 留美絵は無意識に太股を擦り合わせ、無毛で一本線のスリットを刺激する。だがそれだけではガマンできず、彼女はパジャマのズボンとショーツを足首まで下げ、熱を帯びた股間に右手を誘った。

「ぅん……っ」

 明らかに湿り気を帯びた股間。中指をやわらかな恥丘のワレメに埋め、クニクニと動かしてみると、

「あぅっ!」

 背筋を、ピリピリとした心地いい静電気が駆け抜けた。

 とはいえ、これが留美絵にとって初めての自慰というわけではない。彼女は約一年ほど前から、週に一、二回のペースで自慰をしている。

 最初は、なんとなく気持ちいい……という理由で始めた「おしっこの場所クニクニ」だったが、五年生になってから友達との話題に、「そういったこと」が面白半分にあがるようになって、「おしっこの場所をクニクニしているのは、あたしだけじゃないんだ」……とわかり、その「おしっこの場所クニクニ」が、「オナニー」という行為なのだということも知った。

 五年生になってから友達になった子の一人に、「そういったこと」に詳しく、留美絵には漠然としか想像できない「セックス」をすでに経験している子がいて、留美絵はその子との会話から、かわいらしいで済まされるレベルではあるが、ある程度の「性知識」を学んでいる。

 しかし、兄の部屋で盗みみた本の中で繰り広げられていた、スカトロプレイまで聞き及んでいたわけではなかったが。

 本の内容を思い出してみる。すると、すごくドキドキした。

(でも、ウンチってどんな味なんだろう? もしかしたら、おいしいのかなぁ……?)

 留美絵は濡れた股間を玩びながら、そんなことを考える。

 想像してみた。ウンチを食べるところを。とはいえ、もちろん彼女が便の味などを知っているわけはない。留美絵はなんとなくなが、チョコレートのような味を想像した。

 ウンチを食べる想像をしながら、股間をクニクニと刺激する。気持ちいいといえば気持ちいいのだが、取り立ててどうということはない。いつもと同じだ。

(やっぱり、ホンモノのウンチじゃないとダメなのかな)

 思ったが、まさかベッドの中で脱糞するわけにもいかないし、「ホンモノのウンチ」で「なにか」するのには抵抗があった。

 ウンチは汚いもので、普通は触ったりしないものだ。食べるなんて、もってのほかだろう。

 しかし、留美絵の好奇心はどんどんと大きくなっていく。とてもガマンできるものじゃない。

(おしりの穴……さわってみようかな)

 彼女の心のどこかが、「お尻の穴に指入れてみようよ。ウンチ食べたりするのはダメだけど、そのくらいならいいよ」……と誘惑してくる。

 その誘惑に負け、留美絵は右手の中指を、第一関節まで肛門へと埋めた。もちろん、こんなことをするのは初めて。肛門から奥へと入り込んだ指が、彼女の内部を刺激する。指が少し入っているだけなのに、彼女は息が苦しくなるほどの圧迫感を覚えた。

(おしりに、指……いれちゃった)

 自分はいけないことをしている。普通じゃないことをしている。思うと興奮して、やけに股間がヒクつき、おへその下がキュンとした。

 お尻の中で温もりを感じている指を、クニクニと動かしてみる。

「ぅアッ!」

 これまで感じたことのない刺激に、思わず声が出てしまった。

(き、きもちいぃ〜! なんなの? おしりの穴って、こんなにきもちいいの!?)

 本当に気持ちがいい。股間よりもずっといい。留美絵は「普通じゃないことをしている」ということも忘れ、夢中になってお尻を弄った。

 完全に掛け布団をどけて、お尻に指を入れたまま、うつ伏せ立て膝の体勢になる。どうもこの形が「しっくり」ときた。

「ぁう……うっ、ゥンっ!」

 つい零れてしまう声を、まくらに顔を押しつけてころす。

(と、とまらないよぉ〜!)

 すでに留美絵の指は、根本近くまで埋もれている。指に当たる便の感触も確かなものだ。こんなのは変だ。こんなことしちゃダメだ。そう思うのに、彼女の指は、腕は止まってくれない。グリグリぐにぐにと、お尻の中への刺激を止めようとはしない。

(やだぁ! あっ、いっ、いぃ〜)

 いったい、どうしてしまったんだろう。身体が自分のいうことをきかない。指が完全に肛門へと埋まり、指先が大便に当たっている。こんなのは汚いと思うのに、どうしても止められない。

(ダ、ダメ! このままじゃあたし、どうにかなっちゃうっ)

 自分が自分でなくなってしまいそうな恐怖を感じ、留美絵は埋めていた指をなんとか引き抜く。瞬間、中身が飛び出しそうになって、彼女は慌てて肛門をギュッとしめた。

(ふぅ〜……で、でなかったぁ)

 ベッドでの脱糞は回避できたようだ。安心と同時に、いいようのない「満ち足りなさ」が彼女を襲う。指の抜かれたお尻がさみしい。いやお尻だけじゃない、身体中が満たされない感じだ。

 肛門に指を埋めていたときの圧迫感が恋しい。お尻の中の温もり、指先に感じていた便の感触を、もう一度感じたい。

 留美絵はそんなことを感じながら、身体を横にして埋めていた指を顔に近づける。当然、指には便がこびりついていた。その指を鼻へと近づけ、臭いを嗅いでみる。

(ウンチくさっ!)

 当然だ。だがどうしてだろう、不快な臭いではなかった。

(こ、こんなにくさいのに……)

 本の中の女性たちは、食べたり、身体に塗ったりしていた。

(食べてたん……だよね? ウンチ)

 女性たちが糞便にまみれ、そのうえ食べてもいた写真を思い出し、頭がボーとなる。

(もしかして、ウンチって食べてもいいのかな……? う、ううん、おいしいのかも……)

 思考力が削がれていく。そして、

 

 パクっ

 

 留美絵は、便に汚れた指をくわえてしまっていた。

 ピリッとした苦味が、舌に乗って口の中に拡がる。次いで、きつい便臭が鼻腔を通り抜けていた。

(あ、あたし、ウンチなめちゃったっ!)

 彼女は急にこわくなって、指を口から出す。口の中に残る、便の苦味と臭気。しかしそれよりも、心臓を激しく動かせる、「なんだかエッチな気持ちのドキドキ」のほうが大きかった。

 

     ☆

 

 留美絵が兄の部屋に忍びこんで、「排泄天使 〜糞尿色の翼〜」というスカトロ写真集を目にしてから一週間。彼女の「汚いこと」への関心……というか好奇心は、日に日に大きく育っていた。

 留美絵は今、学校帰りにクラスのお友だちの家を訪れている。お友だちの名前は文子(あやこ)。一見おとなしそうな「文学少女」ふうだが、彼女は留美絵のお友だちの中で、一番すすんでいる子だ。

 留美絵の部屋よりも、ずっとおんなの子っぽくかわいらしい雰囲気の文子の部屋。ぬいぐるみや小物でいっぱいだ。この様子からは、とても、小五にして20人を超える男性を経験している子の部屋とは思えない。

「ね、ねぇ、アーヤちゃん?」

 留美絵は、文子をアーヤちゃんと呼んでいる。

「なに? ルミちゃん」

 ルミちゃん……もちろん、留美絵のことだ。

「ア、アーヤちゃんは、ウンチを食べたりしてきもちよくなるのって、どう思う?」

 この一週間で、留美絵は四回もオナニーをしてしまった。それも、「汚いこと」ばかり想像して、お尻の穴に指を突っ込んでだ。

 そしてここ最近は、おしっこやウンチをすると、なんだかエッチな気持ちになってしまう。こんなことは今までになかったことで、彼女は自分が変になってしまったのではないかとさえ考えていた。

 文子なら、なにかアドバイスをしてくれるのではないかと思い、留美絵は訊いた。

「……?」

 不思議そうな顔をする文子。留美絵は慌てて、

「お、お兄ちゃんの部屋でね、そういう本みちゃったのっ! だ、だから、そういうのって、どうなのかなってっ」

 まさか、自分が「指についたウンチを舐めたことがあり、おしっこやウンチをするとエッチな気持ちになる」……とはいえないので、兄のせいにする。

「ルミちゃん。そういうのは、スカトロっていうのよ」

 文子がいう。

「すか……とろ?」

「うん、そうよ。ルミちゃんのお兄さんには、スカトロなせーへきがあるのね」

 すかとろ……? 初めて耳にする言葉だ。

「アーヤちゃんはしたことあるの? その……すかとろ」

「えぇ〜っ、ないわよぉ。……うん、でも、したいっていわれたことはあるわ」

「やっぱり、変なことなんだよね? すかとろって……」

「それはどうかなぁ? 私はイヤだけど、変なことっていうわけじゃないと思うわ」

「変じゃないの?」

「人それぞれでしょ? そんなこと。なにが変だとかって、そういうのはないと思うの。ムリやりとか、そういうのはダメだと思うけれど……」

 笑いながら文子がいう。

(そうか、変なことじゃないんだ……)

 すっきりした気持ちになった。

(そ、そうだよね。あの本のひとたちだって、変なことしてるっていうよりは、きもちいいことしてるってかんじだったもんね)

 自分は変じゃない。「ウンチを食べたい」なんて思っているのは、変なことじゃない。それから留美絵は文子と30分ほどお喋りして、家に帰った。

 

 文子に相談をきいてもらい帰宅した留美絵は、家に誰もいないのを確認すると、自室にランドセルを置いてトイレにむかった。

 スカートとショーツを完全に脱いで、洋式の便器に腰をおろす。

(すかとろ……アーヤちゃんは、変なことじゃないっていってた)

 文子がいうのだから、そうなのだろう。だったら、これから自分がしようとしていることは、変なことじゃない。

 そう、留美絵は、今まさに食糞をしようとしていた。

 お腹の中には、三日分のウンチが溜まっている。すぐにでも出そうだ。

 便座にお尻をつけ、ひとつ息を吐く。なんだか緊張していた。

(よし! やるかっ)

 なぜか気合いを入れて、下腹部に力を込める。

 むちぃ……と内側から肛門を押し広げ、外に溢れ出すウンチ。

 

 ムチュうぅ〜……みちミチぃ、むちっ、ブビぃ!

 

 ピチャンと音をたてて、ウンチが便器の中に落ちる。そして、脱糞が終わると同時に放尿が始まった。留美絵は脱糞すると、自然と放尿が続いてしまう。脱糞の時には、先に放尿、次いで脱糞という順番はないといってもいい。

「ふうぅ〜」

 ウンチもおしっこも、もう出ない。全部出してしまった。

 三日ぶりの脱糞。いつもなら、このまま流してしまうだけだが、今の留美絵には、便器の中でおしっこ混じりの水に浸る大便を流してしまうつもりはない。

 お尻を拭かないまま便器から腰を離し、便器を覗き込むようにして排便したばかりのそれを眺める。

 食べるとは決めていたが、実物を目の当たりにし臭いを嗅いでしまうと、やはり躊躇してしまう。

(やっぱり、汚いよね……ウンチを食べるなんて)

 とはいえ、ここで止めるのもなんだかイヤだ。それに、きっと後悔する。後で、「どうしてあのウンチ食べなかったんだろう」……なんて思うのはイヤだ。

 留美絵は覚悟を決め、便器の中に手を伸ばす。小刻みに震える手でウンチを掴むと、

(や、やっちゃえっ!)

 手にとったそれを、口いっぱいに頬張った。

 思っていた以上の硬度。もっとやわらかいものだと思っていたが、口の中に入れたウンチは、しっかりとした存在感を彼女に与えてきた。

(に、にがぁ〜いッ!)

 しかし、吐き出そうとは思わない。そんな「もったいない」ことはできない。

 口腔内で溶け、口の中に拡がっていく便味と便臭。だが留美絵は、いいようのない「ゾクゾク感」も覚えていた。

(にがいよぉ……で、でも)

 でも、すごくドキドキする。彼女は顎を動かして、

 

 ニチャニュチャ、くちゅっ、くちゃくちゅ

 

 口いっぱいの大便を咀嚼する。

 ニチャリとして、粘っこい歯触り。噛めば噛むほどに苦味が薄れ、甘味が出てきた。臭いも、あまり感じなくなってくる。もちろんそれは、圧倒的な苦味と臭気に、味覚と嗅覚がマヒしてしまっただけなのだが、留美絵は「ウンチって、けっこう甘いんだぁ」などと思った。

 甘いウンチ。美味しいとは思わないけど、不味くはない。留美絵はよく噛んだそれを、

 

 ゴッ……クン

 

 と飲み込んだ。咽に絡む感じで滑り下り、胃の中に納められる便。はっきりとわかる。自分は今、ウンチを食べてしまったのだと。

(あ、あたし、ウンチ食べちゃったんだぁ……。ウンチ、汚い……ウンチ。汚い、汚いウンチ……)

 口腔内に残る、排泄物の味と臭い。頭がクラクラして、心臓がドクドク波打っている。

(あっ、ど、どうしよう……。食べちゃった、あたし、ホントにウンチ食べちゃったぁっ!)

 してはいけないことをしてしまったような罪悪感。なのに、なんともいえない充実感と開放感で、罪悪感が薄らいでしまう。

(あぁ……も、もっと、もっと食べたいっ! ウンチ、ウンチ食べたいっ)

 留美絵は再び、排泄物を口の中に導いた。もう、止まらなかった。貪るように便を口に入れ、咀嚼し、嚥下する。

 

 クチャクチャ、にちゃにゅちゃ……

 

 あっという間に、便器に排泄されたモノは、留美絵の胃の中へと収まってしまった。

(え!? もうないのっ)

 まだ欲しいのに、まだ食べたりないのに。

 もっと欲しい。もっと、お腹がいっぱいになるまでウンチが食べたい!

 食便は「美味しい」というよりも、「ドキドキして気持ちいい」という思いを、留美絵に強く刻み込んでいた。

 そう、

(ウンチ食べるのって、オナニーよりずっときもちいいッ!)

 という思いを。

 今なら理解できる。本の中の女性たちも、「こんな気持ちよさ」を感じていたんだ……と。

 言葉にはできない、圧倒的な満足感と快感。身体が、心が、「気持ちいい」でいっぱいになって破裂してしまいそうだ。

(あぁ! ほしいっ、ウンチ、もっとウンチほしいよぉ〜)

 便がなくなってしまった便器を、物欲しそうな顔でみつめる。しかしいくらみていても、ウンチが現れるということはない。

 仕方がないので留美絵は、便器に溜まった汚水を飲むことにした。おしっことウンチで濁った水を手ですくい、コクコクと飲んでいく。

(あっ……おしっこも、なんかいぃ〜)

 クチュクチュと汚水で口の中を洗い、歯についたり舌の裏に残っていたウンチと混ぜて飲み込む。

(ウンチがとけたおしっこ水……。な、なんだろ? ゾクゾクしてきちゃった。それに、おまたのお汁がとまんないよぉ〜)

 触ってもいないのに、留美絵の股間からは透明な蜜が滴り、その蜜は太股までをも濡らしている。留美絵はこの行為により、明らかに性的な興奮を覚えていた。

 と、

「ウッ……!」

 突然の嘔吐感が彼女を襲った。胃が激しく暴れ、留美絵は胃からせり上がり、咽を逆流してくるものを堪えることができない。

「ッ! ウゲエェーッ! グゲッ、ゲエエェッ! ゲッ、ゴぶっ! ゲボゲホッ、ゲホッ!」

 咽を逆流し、留美絵の口から噴出する嘔吐物。糞色の嘔吐物……というか、食べたばかりの糞そのものが、ビチャビチャと音を響かせ、便器にブチまけられる。留美絵は嘔吐の息苦しさにえづきながらも、

(あっ……なんだか、口からゲリぴーウンチしてるみたい……)

 と思っていた。そしてそれは、けしてイヤな感覚ではなかった。どちらかといえば、

(き、きもちいぃ〜っ!)

 とさえ感じていた。

 嘔吐を終え、便所の床にお尻をつけてへたりこむ留美絵。その顔は涙と鼻水でグチャグチャになり、口から下は大便色の嘔吐物で汚れている。

 便所内は排泄臭と饐えた嘔吐臭で、常人なら一息吸っただけで参ってしまうような空気が充満していたが、留美絵の顔は恍惚としたものになっていた。

 涙で滲む視界には、とても「美味しそう」で「気持ちよさそう」なウンチゲロ。留美絵は便器に顔を押し込み、そこに溜まった汚物を手ですくい、ジュルジュルと音を立てて啜った。

 なにも考えられない。ただ啜り、飲み込みたい。本能的な衝動だった。

「は、はぁ、ジュっ、ジュルジュルっ!」

 苦い、酸っぱい、臭い……美味しい、気持ちいい!

 オナニーの何倍も、何十倍も気持ちがいい。もう、なにがなんだかわからない。留美絵は、排泄物と嘔吐物を啜り込むだけの人形になっていた。

 こんなことをして後でどうなるかとか、こんなことを家族に知られたら、なんといって怒られるのかとか、こんな「汚物」を食べて本当に大丈夫なのだろうかとか、そういったことは一欠片も考えられなかった。

 こうして留美絵は、本能に突き動かされるままに「汚物」を啜り、胃の中へと送り続けた。

(いい〜! きもちひいぃ〜っ。ウンチ、ウンチすきぃ〜)

 凄まじいまでの快感に、その意識が飛んでしまうまで……。

 

 こうしてまた、ひとりの少女が「排泄天使」の仲間入りを果たしましたとさ。

 めでたしめでたし……ということでどうでしょうか?

 


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