『憧憬』

 

 堀田歩美(ほった おゆみ)は、とてもピンチに陥っていた。

 放課後の女子トイレ。白に近いピンク色のタイルが貼られた個室には、四人の少女たちの姿があった。

 変形セーラータイプの制服の襟元に飾られたリボンの色から、彼女たち四人が、この女子中学校の二年生だということがわかる。

 学校のトイレとはいえ、その個室は広く作られていて、少女四人を収容しても、まだ余裕のある広さだ。

「……や、やめてください」

 フタが降ろされた便器に座らされ、両腕をそれぞれ、左右に位置する女生徒に掴まれた歩美が、正面に立つ少女に向けて懇願する。

「なにが、や、やめてください……よ!」

 歩美の口調を真似、他の三人の内、リーダー格らしき少女……咲子(さきこ)が、忌々しげなふうにいい放った。

「あんた。ちょっと頭がいいからって、調子に乗ってんじゃないの?」

 咲子の挑発的な言葉に、

「そ、そんなことありませんっ!」

 歩美は少しムキになったように答えた。

「ふんッ。どうかしら……」

 だが咲子は歩美の反論を鼻で笑い、

「ねぇ?」

 と、歩美の腕を掴んで身動きを取れなくしている二人の女生徒に同意を求めた。

「そうよ。そうよ」

 二人が同意する。

「違いますッ」

 脅えながら必死になって訴える歩美。が、三人にはそれが気に入らない。いや……彼女たちには、歩美の全てが気に入らないのだ。

 パンッ! と音を響かせ、咲子がおもむろに歩美の頬を叩く。

 口腔内が切れ、歩美は血の味とより一層の恐怖を味わった。

(私……これから、なにをされるの……?)

 これだけで済むわけはない。それはわかる。

 だが歩美には、咲子たちが考えていることが想像もできない。思考回路が違うから。いうなれば歩美と咲子たちとは、『違う存在』だった。

 歩美は『気に入らない』という理由だけで、このようなことはしない。しようとも考えない。

 歩美だって人間だ。好き嫌いはある。だが『嫌い』だからといって、なにかを、誰かを傷つけようとは思わない。

 そんなことはしてはいけないことだと思っているし、性格的にも歩美にはできない。歩美は、どちらかといえば大人しく落ち着いた少女である。

 目立つのは好きではないし、音楽を聴きながら読書をしている時が一番幸せだという地味目の女の子だ。

 しかし彼女は、自分の意志とは無関係に、高い知能指数を持って生まれてしまっていた。天才少女と呼ばれていて、その気になれば今すぐに幾つかの博士号を取得することも可能だろう。

 だが歩美は、そんな気にはならない。普通に、どこにでもいる様な女の子として生きていきたいと考えている。

 年齢に合った学校に行き、そこで当たり前の学園生活を送りたいと思っていた。だがそのことが、こうした『歪み』として、歩美の不幸となって現れてしまった。

 どれだけ目立たないように心がけていても、歩美はどうしても目立ってしまう。

 歩美にとって、学校の試験なんてものは『遊び』にすらならない。正解して当たり前。わざと間違えると嫌みになる。歩美は天才少女として世間に知られてしまっている。今更、その事実を隠蔽することはできない。

 その上、歩美は見栄えもいい。天性の頭脳とアイドル並の容姿。人当たりがよく、落ち着いている。

 『普通』の少女たちには、そんな歩美の『存在』自体が『嫌み』になってしまっていた。

 

「はっ! これが天才さんのオマンコ? キレイなもんねぇ……やっぱり天才さんは、オナニーなんてしないの?」

 なんの柄もついていない純白のショーツと、膝下丈の制服のスカートを引きずり降ろされ、歩美は恥ずかしい部分をさらけだされる。

 隠そうにも、腕を捕まれているので股を閉じることしかできない。しかし、咲子は閉じられた股を手で開き、歩美の薄い陰毛を帯びたピンク色の恥ずかしい部分を眺めてそういった。

 そして咲子は不適な笑みを浮かべると、やわらかいワレメを左右に大きく拡げ、歩美の内部を露わにする。

 恥辱に、声もなく震えるだけの歩美。

「まっ……かわいいオマンコねぇ」

 咲子はバカにしたふうにいうと、なんの湿りもなく堅く閉じた秘穴に、無造作とも思える動作で人差し指を突き刺した。

「ひグッ!」

 あまりの痛みに歩美は瞼を固く閉じ、短い悲鳴を漏らす。

 満足げにその悲鳴を聴き、咲子はグリグリと指を動かす。その度に歩美は、

「イタィッ! や、やめてえぇーッ!」

 歩美以外の者たちにとっては、なんとも『面白い声』をあげた。

 

「ではこれから、天才さんのオマンコ開通式を行いまぁーす。天才さんの処女をもらってくれるのは、便所のモップさんでーす」

「イヤッ! や、やめてッ……やめてくださいッ!」

 その声は当然無視して、咲子は歩美の秘部にモップの枝をあてがった。そして……なんの躊躇もなく、

 ギュブチッィ!

 深く突き刺した。

「ヒイッ! イタッ、イタイィーッ!」

 咲子は、ズブズブと激しくモップを動かす。その度に、歩美のその部分から激しく血が滴る。

 悲痛な声で、「痛い痛い」……と繰り返す歩美。苦痛に顔を歪める歩美の様子を、「クスクス」笑っている咲子と残り二人の女生徒。

 歩美の悲鳴に、咲子の中で『もっとイジメてやる』……という思いが大きくなっていく。

 血塗れのモップは、間もなく歩美の『後ろの処女』も奪い、新たな出血を創り出す。大粒の涙を流し続ける歩美の顔を、便器の中に押し込んで洗う。

 股間とお尻から大量の血を流し続けている歩美は、貧血で頭の中が真っ白になっていた。なすがままに陵辱を受けるしかない歩美。抵抗する力は、すでになくなっていた。

 

 身体中に精液を浴びた歩美は、公衆便所の汚れた床に横たわって、ヒクヒクと痙攣していた。

 なんども犯された膣と肛門は開きっぱなしになり、もう二度と閉じることがないのでは? と、思わせる。

 便臭と精液のすえた臭いが充満する中、咲子は汚された歩美を無表情に見下ろしていた。

 今、便所の中には、二人の姿しかない。

 あの日以来、咲子たちの『奴隷』となった歩美は、咲子たちの『お小遣い』を稼ぐために、毎日幾人もの男の相手をさせられている。

 容赦ない男たちの行為。身体中の穴という穴から注ぎ込まれる精液と汚物。痛みも快感も感じることなく、歩美は『人形』のようにそれらの行為を受け入れる。

 たとえそれが、どのような行為であろうとも。

 歩美は、あらゆる『変態行為』を経験しただろう。しかし、それがどんなものであろうと、歩美は受け入れた。

 なにも考えず、考えることができずに。

 咲子たちによる最初の陵辱で、歩美の心は『壊れて』しまっていたのだから。

 無言で、ただ痙攣しているだけの歩美。それを見下ろす咲子。

「ど、どうして……? あんた天才なんでしょ!? なんであたしたちなんかに、好き勝手させたままなのよッ!」

 不意に、咲子が怒鳴る。歩美は反応しない。

「イヤじゃないの!? 悔しくないの!? やめろっていえばいいじゃない! あんただったら、あたしたちなんかどうとでもできるでしょ!? どうしてよ! どうしてあんた……どう、して……」

 咲子の切れ長な瞳から、涙が零れる。涙は止まることなく流れ続け、咲子はそれを隠そうともしない。

「どうして、こんなことになっちゃったの……? あたしは、ただ……あんたと、歩美と仲良くなりたかっただけなのに……あたし、歩美に憧れていただけなのに……。

 歩美がすてきだから、でも、すてき過ぎるから……あたしなんか、歩美に見てもらえないって、だ、だから、手に入らないのなら奪っちゃえばいいって……。

 奪って、歩美をあたしの……あたしだけの歩美に……って。

 最初は、そう思っただけなのに……思いながら、想像しながら、自分を慰めてただけだったのに……。

 なのにあたし、『本物』の歩美にまで非道いことして、苦しんでる歩美がもっと見たいって、そんな恐いこと……。

 あ、あたし、あたし自分が解らない!

 こんなことするつもりじゃなかった! こんな非道いことするつもりじゃなかったの!

 ねぇ! 歩美。

 なんかいってよ!

 あなたなんか大嫌い、死んじゃえ! っていってよ!

 あたし、歩美がいうなら死ねるから。あたし、歩美の世界から消えるから!」

 咲子が、床に横たわる歩美を抱きかかえるようにしてひざまずく。歩美の焦点があっていない瞳は、鈍い光を反射させながら虚空をさまよって、咲子を視界に捕らえようとはしない。

 咲子は歩美を抱きしめたまま、

「ごめんなさい、ごめんなさい歩美いぃっ!」

 繰り返して泣き続けた。



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