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 フランツベリア症候群だかなんだか知らないが、奇妙な病気にかかってしまった。命に関わる病気じゃないのは救いだけど、治療法がみつかっていないというのは不安だ。

「大丈夫よ。先生が、必ず治してあげるわ」

 って綾辻先生はいってくれたけど、ホントに大丈夫なのか……?

 ザーメンの量がハンパじゃないという以外、身体に変化はない……と思う。射精した後すげぇ咽が乾くけど、あれだけ放出してるんだから当たり前だ。綾辻先生も、「出したら出した量と同量の水分を補給すること」……っていってたしな。

 ま、確かに、奇病……というか珍病を発症して三日。オナニーの回数は増えている。一日平均五回ってとこだ。エロい気分にならなくても、出してしまわないと腹の下辺りが「重くてドロドロ」してる感じかして、なんだか気持ちが悪い。

 これは、変化といえば変化なんだろうけど……。

 

「どうかしたの? 伊吹くん」

 隣りからの声に、ふと我に返る。珍病のことを考えている間に、講義は終わっていたようだ。教室には、講師はもちろん、学生もほとんど残っていなかった。

「え? あ、あぁ……小湊か」

 声をかけてきたのは、小湊茜(こみなと あかね)。俺とは違って成績優秀。なぜ俺と同じ大学にいるのか、不思議に思ってしまうほどだ。

 彼女はサラサラの髪をセミロングでまとめ、身長は150cmほどと低い。二十歳にしては幼い顔つきで、高校生といっても確実に通用するだろう。それに、かなりの美人さんだ。細身な体型なわりに胸はそこそこ大きく、ろり顔巨乳美女(爆乳とまではいかないし、二十歳なんだから美少女ってのもなんか違うよな)って感じだ。

 俺と小湊は友人といっていい……だろう。彼女は面倒見がよく、できの悪い俺に勉強を教えたりもしてくれる。俺は、小湊が声をかけようと思うくらい、思い詰めた顔でもしてたんだろうか。

「別に、なんでもない」

 俺は、結局使いもしなかった教科書とノートを鞄に押し込んで、席を立つ。

 すると、

「ねぇ、伊吹くん。今日は、これで講義終わりでしょ?」

 小湊が俺に寄りそうようにしていった。

「あぁ」

「これから、なにか予定ある?」

「別に」

「だ、だったら、あたしの家に……こない?」

 確か小湊は、アパートで独り暮らしをしているはずだ。なぜ、突然俺をアパートに招いたりするんだ? 意味がわからない。

 俺と小湊の間には、ホントに友人関係しかない。それに、なんだろう? 小湊の顔が、少し赤くなっているようにも思える。

 ん? これは、「誘っている」……ってことか?

 ……って、まさかな。小湊に限って「そんなこと」はない。

 小湊は真面目で、「遊んでいる」という噂もなければ、そういった素振りもない。下ネタも苦手で、ちょっとしたネタでも顔を赤くしてオロオロするし、歪曲的なネタには「なに? それ」……って反応を示す。

 俺の想像だと、小湊は処女だ。男が嫌いとか苦手ということはないだろうけど、自分から積極的に……というキャラでもない。俺を「誘っている」というのは、考えすぎだろう。

 そりゃ、小湊みたいな「いい女」とヤリたいとは思うけど、俺は「遊び」でヤルことしかに馴れてないから、「遊んで」ない小湊に手を出すなんてのは、考えたことはあっても実行に移したことはない。それに、女は小湊以外にもたくさんいる。俺と「遊んで」くれるような女も。

 ま、アパートに帰ったってすることはない。寄り道するのも気晴らしになるかもな。

 俺は小湊の誘い(変な意味じゃなく)にのって、彼女のアパートへいってみることにした。

 

     ☆

 

 やっぱ、女の子の部屋っていい匂いがするよな。

 小湊の部屋は、俺の部屋とたいして広さは変わらないだろうけど、物が少ないので広く感じられる。

 それにしても、「男の臭い」がない部屋だ。灰皿もなければ、男もののスリッパがあるわけでもない。

 俺はガラステーブルに置かれたコーヒーに砂糖を入れ、カップに口をつける。それは、ありふれたインスタントコーヒーの味がした。

「で、俺になにか話でもあるのか?」

 知り合って一年以上。これまで一度も俺を「家にこない?」……なんて誘ったことがなかった小湊だ。なにか、話でもあるのかもしれない。

 もしかしたら、薙川(なぎかわ)のことか? 薙川は俺の友人で、小湊が「彼氏にするならこういう人」としていっていた、「真面目で誠実な人……かな?」という言葉に一番当てはまるヤツだ。小湊は薙川のことを知っているはずだが、二人が親しいというようには見えない。

「は、話があるってわけじゃないんだけど……」

 なんだか、ハッキリしない感じだ。小湊は控えめな性格だが、主張するべきところはハッキリと主張してくるし、曖昧な態度をとることもない。少なくとも、こんなハッキリしない小湊は初めてだ。

 チラリ……と俺を見て、サッと顔をうつむかせる小湊。

「男関係か?」

 俺は、冗談っぽく訊いてみた。

「え……?」

「だから、好きなヤツができたら、俺に仲をとりもって欲しい……ってことか? って訊いたんだ」

「ち、違うよっ! そ、そんなのじゃないの」

 小湊が、慌てた様子で否定する。

「恥ずかしがらなくてもいいさ。小湊には世話になってるからな、多少の恩返しくらいするぜ? で、誰だ?」

「だから違うってばぁ!」

 どうやら、ホントに男関係の話じゃないみたいだ。だったらなんだ? 取りあえず、コーヒーを啜ってみる。無言のままの小湊。俺がコーヒーを飲み終えると。

「あ、あのね……。あたし、伊吹くんにお願いがあるの」

 やっと、小湊が口を開いた。

「俺にできることなら、協力するさ」

 小湊は小さく肯き、俺の隣りに移動してきた。

 と、

 

 サワっ

 

 躊躇いがちにだが、俺の股間に手を置く小湊。俺は突然のことに驚き、つい後ろに下がってしまった。

「お、お願い……伊吹くん。あたしの好きにさせて……」

 小湊が、潤んだ目で俺を見る。この目の色を、俺は知っている。男を求める女の目だ。

 俺だって男だ。小湊みたいないい女に「好きにさせて」なんていわれて、「好きにさせてあげない」という理由はない。俺は、

「あぁ、いいぜ」

 小湊にいってやった。

「ありがとう……伊吹くん」

 やっぱり俺は、「誘われて」いたみたいだ。

 それにしても、どういう心境の変化だろう。小湊、急に男に目覚めたのか?

 小湊が、俺の股間で手の平を動かす。

「出して……いい?」

 なにを? なんて訊くまでもない。俺が肯くと、小湊はズボンのジッパーを下げた。

 が、なんだか出すのに手間取っている様子だ。俺は立ち上がりズボンとトランクスを下げ、ダランと垂れ下がったペニスを小湊の目の前に置いてやる。

 ポ〜っと顔で、ペニスに見惚れている様子の小湊。

「ほら、好きにしていいんだぜ」

 いってやると、小湊は小さな口をめいっぱいに拡げ、ペニスを口の中いっぱいにくわえ込んできた。

 小湊の口の温もり。口腔内には、やけに大量の唾液が溜まっていた。

「ぅン、ン、ン、ンっ……」

 夢中になってしゃぶっているようだが、その技は稚拙だ。ただ、くわえて舐めているだけ。といっても、気持ちいいのには変わりない。徐々にペニスは膨張し、硬くなっていく。

「ぅん……ぐっ」

 口の中には収まりきらない大きさになったペニスを、それでも小湊は咽の奥まで飲み込む。彼女が苦しげに鼻でする息を、俺はくすぐったく感じた。

 稚拙で、経験のなさを露呈しているだけのフェラ。いや、フェラなんていえない。ただ口の中に入れて、なんとなく舌を動かしているだけなんだから。

 俺に勉強を教えてくれる小湊。だったらフェラは、俺が教えてやればいい。

「小湊、ただくわえてるだけじゃなくて、頭を前後に動かしたり、吸ってみたり、先っぽを舌でこねてみたりするんだ」

 小湊はくわえたまま小さくうなずき、いわれた通りに頭を動かし始める。

 

 ジュっ、ジュっ、ジュっ……

 

 唾液を飲むタイミングがわからないのか、小湊の口の中は唾液でいっぱいだ。溢れた唾液が唇から零れ、顎を伝って滴り落ちる。

「ゥン、ぅ……ぅくン。じゅる、ジュっ……んくっ、ん、ん、ぅンっ」

 まるで夢中だ。小湊は、一心不乱でチンコをしゃぶっている。

 唾液の海の中で、舌が不器用に蠢く。

「美味いか? 小湊」

 返答はない。チンコに夢中で、聞こえてないのかもしれない。

 ま、約束通り好きにさせてやるか。

 俺は小湊が奏でる湿った音に、耳を傾けることにした。

 

     ☆

 

 ……おしゃぶりを始めてそろそろ十分になるが、小湊は休むことなくしゃぶり続けている。すでに顔の口から下は唾液でペトペトになり、ブラウスの胸元は零れた唾液の染みが拡がっている。

 なんかこのままだと、チンコがふやけてしまいそうだ。

 コツを掴んできたのどうかはわからないが、小湊は少しだが「フェラ」っぽいおしゃぶりができるようになってきた。それに、小湊の唾液たっぷりのおしゃぶりって、なんだか普通(?)のよりも気持ちがいい。

 そういえば俺、つい珍病のこと忘れてたけど、このままだとすげぇ量のザーメンを放出してしまうことになるんじゃないか?

 それは……ヤバイな。

「小湊、もういいだろ?」

 俺は腰を引こうとしたが、小湊は吸いついて離そうとしない。そればかりか、舌で尿道を責めてきた。

 

 ピクッ……! 

 

 明らかに襲ってくる射精感。

 ヤバイ! このままだと出ちゃうってッ。あの、すげぇ量のザーメンがッ。

 小湊がフラなんとかいう珍病のことを知っているかどうかはわからないが、できるなら、俺が珍病患者だなんて知られたくない。

「おい、小湊ッ」

 乱暴だが、無理やりにでもひっぺがすしかない。俺が小湊の肩に手を伸ばそうとすると、

 

 ジュルっ! じゅっ、くちゅっ、ちゅううぅうぅ〜ッ

 

 これまでにない勢いで、小湊が強く吸いついてきた。零れた唾液が棒を伝って、玉袋を湿らす。小湊はこれまで触れてもこなかった玉袋を手の平で包み、

 

 にゅぐ……にゅぐにゅぎ

 

 教えてもないのに揉んできた。

 その不意打ちの攻撃に、俺は暴発させてしまった。

 

 ビュクンッ! ビュクビュルビュルッ

 

 小湊の咽の奥へと噴出するザーメン。

「ンあぁッ!」

 ビクッ! と肩を跳ねさせ、やっと小湊がペニスを離す。隙間のできた口から、大量のザーメンがデロリ……と零れ出てきた。

 しかし、俺の射精はまだ続いていて、ドピュドプッ! と噴出し、小湊の頭といわず顔をいわずを白く染めていく。

「ケホッ! ケホケホっ」

 咽せる小湊に、ザーメンが注がれ続ける。

 で、やっとのことで放出が止んだときには、小湊の身体中にはベットリとザーメンがこびりつき……いや、こびりつくというよりは染め上げ、濡れた服が身体に張りついているような状態だった。まるで、ザーメンでコーティングされたみたいな状態だ。いや、まるでっていうか、そのままだ。

「こ、小湊……」

 どういいわけしよう。というか、なんて説明すりゃいいんだ? 俺がなんていおうかと考えていると、小湊は、頭から、顔から垂れるザーメンを手の平で受け、それをジュルジュルと啜っていた。

「お、おいひぃ〜。ジュ、ジュるるっ、じゅルっ、お、おいひ〜のぉ〜」

 目を潤ませ、恍惚な表情で……。

 って! ウ、ウソだろ!? 冷静になって考えれば、絶対に変だ。

 真面目で純情、ちょっとした下ネタでも顔を真っ赤にしちまう小湊が、ザーメン啜って恍惚となってるなんて! いくら男に目覚めたのかもしれないといっても、人間、こんな急激に変わるもんじゃない。

 小湊が変わっていないとすると、俺のほうに問題がある?

 思い当たることは、一つしかない。

 もしかしてこれって、俺の珍病のせいなんじゃないのか!?

 よくわからないけど、違うとはいいきれない。なにせ、「信じられないくらいすげぇ量のザーメンを噴出させる」ような珍病だ。「それ以外」に、俺の身体に「なにか」の変化があっても不思議じゃない。

 取りあえず、綾辻診療所にいってみよう! っていうか、いくしかないッ。

 俺はトランクスとズボンをはくと、ザーメンを啜り続けている小湊をそのままに、部屋を飛び出していた。

 ドアを閉めるとき、後ろから「ジュるるッ」……という湿った感じの音がやけに大きく響き、「おいひぃ〜」という小湊のろれつの回らない声が、俺の背中に突き刺さった。



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