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 今日は、どうやって茜と観鈴をかわいがってやろうか。目を覚ますと同時に、俺は思った。

 が、俺がいたのは、見慣れない窓のない部屋。そこで俺は裸にされ、診察台のようなものに手足を固定されて、拘束されていた。、

「あら? 起きちゃったわ」

 頭の上からの声。と、俺の隣りに、白衣姿の観鈴が姿を現した。。

「こ、ここはどこだッ! どういうことだ、観鈴ッ」

「どこって……わたしの診療所の地下室よ? それにどういうことかって、クスクス……ごめんなさいねぇ、伊吹くん」

 伊吹くん……? 観鈴は俺のことを「ご主人様」ではなく、「伊吹くん」と呼んだ。

「あのね、あなたの精液から、媚薬が精製されることがわかったの。興奮剤じゃないのよ? 本物の媚薬なの」

 媚薬……? 俺のザーメンから?

「……なに、いってるんだ」

「なにって、言葉通りよ」

 観鈴の説明によると、俺のザーメンを検査したところ、「媚薬」が精製できることがわかったらしい。もし「媚薬まがいの興奮剤」じゃなく、「本物の媚薬」なんてものが存在するなら、それは間違いなく金になる。俺にだって、そのくらいはわかる。観鈴は、「そういうこと」をしようとしているのか? だったらなぜ、俺を拘束する必要がある!?

「だから……ね? 涸れるまで搾り取ってあげるわ」

 なにがなんだか理解不能な俺。その俺のペニスに、観鈴が筒状の搾乳機のようなモノを取りつける。

「な、なんだそれは!?」

「……そうねぇ。精液搾り取り器、とでもいうのかしら? 自動的に精液を搾り取ってくれる、便利な器具よ」

 精液搾り取り器……?

「や、止めろ! そなんなものすぐに外せ! 観鈴ッ、お前こんなことして、ただで済むと思っているのか!?」

「ただで済むのか……ですって? 伊吹くん、あなた、まだなにか勘違いしているわね。わたしは、最初からあなたの奴隷なんかじゃなかったの。もちろん、あなたがわたしのご主人様でもね」

 な、なんだって!?

「あら? 信じられないって顔してるわね。クスッ……おバカさんね、あなたって。どうしてこのわたしが、あなたなんかの奴隷にならなくちゃならないのかしら? わたしはただ、あなたと遊んであげていただけよ」

 し、信じられない。あれが、あの痴態が、ただの「お遊び」……?

「あなたには話してなかったけれど、一人だけ、あなたと同じ症例を表した患者がいたの。フランツベリア症候群を発症し、精液からフェロモンを放出するなんて、冗談みたいな症状を表した人が、あなた以外にもいたのよ。その人は、ちょっとしたことでちょっとしたことになっちゃって、もういないんだけど……。でも、まさかわたしの前に、またアレと同じ患者がくるなんて、思ってもみなかったわ」

 観鈴は続ける。俺の前に、俺と同じ症例を表した患者のザーメンから、「媚薬」が精製できる可能性が見つかっていたこと。しかし珍しいフランツベリア症候群の発症者の中でも、その一人しか「媚薬」が精製できる可能性をもつザーメンをもっていなかった。そしてその患者は、話の流れからすでに亡くなっているようだ。観鈴は彼が「突然変異」だったと考え「媚薬」のことは諦めていたが、そこにノコノコと俺が現れた……ということだ。

「驚いたわ。お金の生る木が、自分からやってきたんだもの。最初の診察で、あなたが普通のフランベリア患者じゃないことには気がついていたわ。でも、確証は得られなかった。だから適当に診察したように見せかけ、帰した。そして組織に報告し、あなたを監視していたの」

「そ、組織……?」

 組織ってなんだ!?

「秘密組織ってとこかしら? わたしも、その組織の一人。でも、あなたが知らないのも当然だわ。世の中には不思議がいっぱいだもの。知らないほうがいいことも……ね」

 クスクスと笑う観鈴。その顔には、俺の奴隷としての面影は一欠片もなかった。

「で、その監視係が、あたしってわけ」

 突然観鈴の後ろから、茜が姿を見せた。

 え!? あ、茜が俺を監視していた!?

「伊吹くん、目が醒めちゃったんですね。観鈴さん」

「そうみたい。寝てればいいものをねぇ、バカな子だわ」

 楽しげな顔で笑い合う、茜と観鈴。

 ウ、ウソだ! 茜が、変な組織の構成員なわけがない!

「あ、茜! 助けてくれッ」

「……どうして? どうしてあたしが、伊吹くんを助けてあげなくちゃいけないの?」

 冷ややかに嗤う茜。これがホントに、あの、真面目でやさしかった茜なのか!?

「もしかして伊吹くん、まだ勘違いしてるの? あたしたちが伊吹くんの奴隷をやってあげてたの、あれ、演技なのよ? 研究のために伊吹くんのザー汁が必要だったから、ザー汁を集めるのに都合いいし、遊んであげてたの。だって死んじゃうんだし、ちょっとくらい楽しい思い出も作ってあげたいじゃない」

「し、死んじゃう……?」

 思いもしなかった言葉を告げられ、俺は動揺した。

「わたしたちの組織にかかれば、あなたの命なんてどうにでもなるの。実際あなたは、もう死んだことになってるわ。これからあなたには、精液が涸れるまでドピュドピュし続けてもらうことになるわ。これもあなたには話していなかったけれど、フランツベリア症候群の発症期間は約一年。その後一生ペニスは使いものにならなくなんだから、これ以上時間はムダにできないの。あなた、この一ヶ月は充分に楽しめたでしょ? 残りは働いてもらうわよ。しっかりとね」

 観鈴が、なんでもないことのように軽くいう。

「ねぇ、観鈴さん、早くやっちゃったら?」

「そうね」

 注射器を手に、俺に近づいてくる観鈴。

「な、なにをする気だ!? や、止めろ! 止めてくれッ」

 どんなに藻掻いても、束縛は解けない。と、

 

 プスッ

 

 注射器の針が、俺の腕に刺された。

「ガンバってね、伊吹くん。それと……さようなら」

 茜の言葉。どこか、バカにしたかのような口調の。

「なにも心配することはないわ。ちゃんと面倒は見てあげるから。涸れるまでは……ね」

 いって観鈴が、刺さった針から、なにかを俺の体内に注入してくる。

 ちょっ、ちょっとまてよ。い、いったい、どういうこと……なんだ……。だ、だれか……せ、せつ……めい……し、しろ……

 混濁していく意識。朦朧として、すごく……眠い。

 瞼を閉じてはいけない。閉じると、このまま二度と開かない。

 そう思うのに、意志とは関係なく、俺の瞼は、ゆっくりと………閉じて……いった……。
 

End



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