第０話　「ぷろろ〜ぐ」

　エルファント大陸には、いくつもの英雄譚が残されている。

　有名なものなら、〈剣の女王ミルル〉、〈血煙の聖剣士コラン〉、〈エルファントの歌姫メーナ〉……といった、大陸の命運さえ左右させた、彼、彼女らの物語が挙げられるだろう。

　もちろん彼らの他にも、多くの英雄たちが存在する。

　戦乱を終結せるために、命をかけて一国を動かした、〈水神の愛娘リュリュ〉。

　炎の聖霊獣王と契約を交わし、虚界へと通じる扉を閉じた、〈炎の魔女エイム〉。

　クーデターによって国を追われた姫君を守り、やがては姫君が政権を奪還するのに多大な貢献をなした、〈閃光の騎士アークウェル〉。

　だが、上記の英雄たちのことを知りたければ、エルファント英雄録、新エルファント英雄録を手にすればいい。

　そこには、彼、彼女らのことが、詳しく記録されているはずだ。

　そして、これから始まる物語の主役は、

　〈暁の魔法剣士メイ〉。

　〈聖霊王の花嫁ファム〉。

　という、二人の英雄たち。

　彼女らも、〈緑光石の魔法姫サーナリング〉と共に闇の聖霊獣王と戦い、歴史に名を残さない〈無明の少年剣士〉と肩を並べ、破滅の天使と呼称された魔物と戦ったとして、新エルファント英雄録に記録されている。

　……ので。

　そんな誰もがしっている彼女らを語ったところで、面白くもなんともない。それにどうせ、英雄録なんて歪曲されて記されているに決まってるし（偏見？）。

　これから語られるのは、仰々しくも、重々しくもなく、

「コイツら、ホントに英雄とか呼ばれるようになるのか？　同姓同名の別人じゃないの？」

　と思ってしまうような、いうなればそんな感じの物語。

　〈暁の魔法剣士メイ〉……こと、メイ・レチャル。

　〈聖霊王の花嫁ファム〉……こと、ファム・クロス。

　年齢は共に十八歳。

　レイス聖王国にある大陸一の魔法学校、〈フォウスター魔法学園〉を（不思議と）優秀な成績で卒業し、魔法士の称号を得た彼女らは、パルム王国に渡り魔法屋を開業することにした。

　その店名は、

『メイ＆ファム魔法商店』

　パルム王国の国都ア・パルムに、ア・パルム唯一の魔法屋として店を開業したのはいいものの、多くの人の協力を得て魔法屋を開業してはや三ヶ月。店は、当初考えていたよりもサッパリと儲からない。

　メイとファムは食費にも困る極貧な状況に追い込まれ、今、まさに崖っぷち生活を爆進中だ。

　負けるなメイ！

　負けるなファム！

　今日はムリでも、明日はパンを食べることができるさ！

　いや！　できる……と、いいなぁ。

　ま、そんな状況から、後に英雄視されるはずの、二人の少女の物語は始まる。

　　　　　『ようこそ！　メイ＆ファム魔法商店へ』　主要三キャラの設定

　メイ・レチャル（♀　十八歳）

　身長　１５８ｃｍ

　体重　４６．５ｋｇ

　スリーサイズ　８０／５７／８２

　髪の色　青みがかった黒

　瞳の色　髪と同色

　本編の主人公の一人。

　物語の舞台であるエルファント大陸最高の魔法学校、〈フォウスター魔法学園〉を優秀ともいえる成績で卒業し、魔法士の称号を手にしたばかりの新米魔法士。

　攻撃系魔法を得意とし、剣を扱うこともできる。

　後の世に、〈暁の魔法剣士メイ〉と呼ばれ英雄視されることになる……が、この物語の中では関係のないこと。

　不幸なのか幸せなのか、判断が難しい人物。

　作者的イメージヴォイスは、「半場友恵」さん（シスプリの四葉とか演じられている方）……かな？

　ファム・クロス（♀　十八歳）

　身長　１４７ｃｍ

　体重　４１ｋｇ

　スリーサイズ　８８／５４／７８

　髪の色　薄い紅（ピンクっぽい感じ）

　瞳の色　深い緑

　本編の主人公の一人……でも、メイほどメインにはならない。

　メイと同じく〈フォウスター魔法学園〉を卒業した魔法士。魔法薬の調合が得意で、〈聖霊〉と会話することもできる。

　後の世に、〈聖霊王の花嫁ファム〉と呼ばれ、これまたメイと同じく英雄視されることになる……が、もちろん、この物語の中では関係がない。

　なにも考えず、本能のままに生きているような人物だが、実は……。

　作者的イメージヴォイスは、「中川亜紀子」さん（金田一少年の事件簿の美雪役が有名）……な感じ。

　エルミナ・アル・タウンゼン（♀　二十一歳）

　身長　１７２ｃｍ

　体重　５１ｋｇ

　スリーサイズ　７６／５４／８２

　髪の色　銀

　瞳の色　紫

　王立図書館で第二級司書官を務める才女で、タウンゼン男爵家の五女。

　お嬢様育ちのためか、気が弱く人見知りが激しい。その割に、さりげなくキツイことをいったりもする（本人に自覚なし）。

　そして、表に出すことはないが、胸が小さいことをすごく気にしている。

　作者的イメージヴォイスは、文句なく「田中理恵」さん（鋼鉄天使くるみのサキ役が萌え！）。