二日目
1
隣でモゾモゾと動くなにかで、ボクは目を覚ました。
「すみません。おこしてしまいましたか?」
ボクがそのなにか……ミヤコちゃんに目を向けると、彼女は申し訳なさそうにいった。時計を見ると、午前六時。昨夜は二時ごろまでなんだかんだとヤッちゃってたから、四時間くらいしか寝ていないってことになるのかな?
「もう起きたの? 早起きだね」
「あっ、はい。わたくし、これからゲストさまの朝食の準備などがありますので」
そうか、ミヤコちゃんにはお仕事があるんだ。少し考えればわかりそうなものなのに、昨夜はあんなにいろいろとしちゃうなんて……。
「そ、そうなんだ……ごめんね、昨日は遅くまで、その……ごめん」
ボクが謝ると、ミヤコちゃんは慌てた様子で、
「い、いいえっ! とんでもないですっ。わたくしこそ、きちんとアルトさまのお相手をつとめることができましたでしょうか?」
そんなこと聞かれるまでもない。
「うん。すごくよかったし、ミヤコちゃんかわいかったよ?」
と、ミヤコちゃんの頬……というか顔が、ポッと紅く染まった。
「そ、そのような、か、かわいいだなんて……」
ミヤコちゃんはうつむいて、なにやらゴニョゴニョといっている。
「え? なに?」
「い、いいえ、なんでもございません。わたくしなどのことを気づかってくださり、ありがとうございます。わたくしは、大丈夫です」
「などって……」
ミヤコちゃんは、少し自分を卑下するような言葉を口にすることがある。自信がないのか、それとも……。
「ミヤコちゃんはちゃんとしてくれたし、ボクは本当に満足……っていうか、その……楽しかったよ。ありがとう、ミヤコちゃん」
本当に、その通りだった。ボクの言葉に彼女は顔をうつむけ、表情を隠す。
十秒ほどの静寂。
ミヤコちゃんは顔を上げ、
「シャワーを、おかりしてよろしいでしょうか?」
その表情からは、なにも読み取ることはできなかった。無理に表情を消しているかのようにも思えたけど、ボクの思いすごしかもしれない。
「うん。そんなこと聞かなくてもいいよ」
「はい。ですが……」
ミヤコちゃんは、ここで一度言葉を切って、
「いえ、ありがとうございます。アルトさま」
やけに子供っぽいというか、無邪気な微笑みをボクに向けた。
本当にかわいい笑顔。ボクは、やっとミヤコちゃんの本当の笑顔を見ることができた気がして、すごく嬉しかった。
☆
午前九時。朝食を運んできてくれたのは、ミヤコちゃんとは違う館児ちゃんだった。
「ミヤコちゃん、どうしたんだろ?」
とは思ったけど、朝食を運ぶのはミヤコちゃんのお仕事じゃないだけかもしれないし、彼女もボクにばかり構っていられないのかもしれないと思ったから、あまり深くは考えなかった。
朝食を終えて、少し散歩でもしようと部屋をでたボクは、すぐにアヤネちゃんと顔を合わせることになった。
「おはよう、アヤネちゃん」
「あっ、アルトさん。おはよー」
「よかったら、一緒に散歩でもどう?」
「へ? さんぽ?」
アヤネちゃんは、なんだか変な生物を目撃したかのような顔をした。
「そうだけど……なにか変かな?」
「う〜ん……アルトさんっぽくっていいんじゃない?」
散歩はボクっぽいのか? よくわからない。
「でも、ザンネン。今……ってゆーか、今日はダメなの、あたし。ゴメンね。じゃ、またねっ」
そういい残すとアヤネちゃんは、跳ねるようなステップでいってしまった。
アヤネちゃんにフられてしまったので、ボクは一人で館内の散歩を続けることにした。
その間、館児ちゃんたちと私服のおんなの子たちを何人か見かけたけど、その中にミヤコちゃんの姿を見つけることはできなかった。
ミヤコちゃんのこともそうだけど、ボクにはちょっと気になっている子がいる。昨日アヤネちゃんといるときに会った、お人形みたいなおんなの子。
ミハちゃんだ。
……ボクって、結構浮気性なのかもしれない。アヤネちゃんともミヤコちゃんともあんなことして、ミハちゃんのことも気になっているなんて。
そりゃ、確かにここは「そういうこと」をする場所なんだけど、なんだかちょっと自己嫌悪だな。
なんとなく散歩の気分じゃなくなったので、ボクは自分の部屋に戻ることにした。
と、ボクの部屋の前に、一人の館児ちゃんの姿があった。年齢は十一、二歳くらい。髪型はセミロングで、背は結構高い。150センチ以上ありそうだ。
「アルトさまですね?」
「そうだけど」
ボクが答えると、館児ちゃんはボクの腕を取って、部屋の中に引きずり込む。
な、なんなんだ!?
パタンとドアを閉め、閉めたドアを背にする館児ちゃん。
「ホントに、怒らないんだ」
「……怒るって? なにを?」
問うボクに、
「私、キナミっていうの。よろしくね」
館児……キナミちゃんがいった。
「あ、うん。よろしく」
「ミヤコがね、アルトさまはすっごく優しい人だっていってたから。優しくしてもらって、すっごく嬉しかったって。ミヤコのあんな嬉しそうな顔みるの、ひさしぶりだったわ。だから、どんな人なのかみにきたの」
「そ、そんな、優しいって……」
「ミヤコは、よかった?」
「そ、そりゃ……よ、よかった……よ」
ボクの身体中に、まだミヤコちゃんのやわらかさが残っているように感じる。とろけてしまいそうになるような、身体の香りと甘い声。触手が絡みつてくるかのような、内部の感触。そして今朝見せてくれた、とてもかわいい微笑み……。
思い出しただけで、股間の辺りがこう……ムズムズと。
「でも、アルトさま。ミヤコとはもう会えないかも」
ん? もう、会えない……? ミヤコちゃんと?
「えッ! どうしてッ!?」
「ミヤコ、お呼びがかかったの。常連さんの。だからアルトさまとは、もう会えないんじゃないかな? あの人、ミヤコがお気に入りみたいだから」
「……そ、そうなんだ」
「がっかり?」
「そりゃ、ね」
ミヤコちゃんは、ボクによくしてくれた。そりゃ、お仕事だからかもしれないけど、そんなこと感じさせないくらい、なんていうか……いい子だったから、もう会えないなんて聞かされると、残念だしがっかりだ。
「あら? ホントにがっかりな顔してる。ミヤコもよろこぶわ」
「なんで? ボクががっかりだと、ミヤコちゃんがよろこぶの?」
ボクの言葉に、キナミちゃんは一つ溜息を吐く。
「アルトさまががっかりなのは、ミヤコのこと好意的に思ってくれてたからでしょ? だから……ね? それ以上は説明しなくてもわかるわよね」
あぁ、そうか。ミヤコちゃんも、少しはボクのことを好意的に思ってくれていたってことか。
「……うん、わかるよ。ミヤコちゃんに会ったら、ボクが短い間だったけどミヤコちゃんといられて楽しかったって、ありがとうっていってたって、伝えてくれるかな?」
「うん。わかったわ。でも、まぁ。そんなにがっかりしなくてもいいわよ。ここにいるのは、ミヤコだけじゃないんだし。例えば、私とか……ね?」
「キミ?」
「そっ、わ・た・しっ! アルトさまは、私みたいな軽いのはお好みじゃないかしら?」
「そんなこと、ないけど……」
確かにこの子もかわいいけど、なぜかボクは、この子としちゃうのはミヤコちゃんへの裏切りになるんじゃないか……と、そんなことを思った。
「ご、ごめん。キミのことはイヤじゃいよ。かわいいって思う。ホントだよ? でも……」
「ミヤコに悪いって思っちゃう?」
「え? あ、う、うん」
なんでわかったんだろ?
「アルトさまって、ホントにいい人みたいね。ちょっとザンネンだけど、私、そういうのキライじゃないわ」
褒められたのかな? よくわからない。
「でもミヤコのことは気にしないで、しっかり楽しんでってね。ミヤコも、その方が嬉しいと思うから」
「……うん、そうだね。そうさせてもらうよ。ありがとう」
「じゃ、私、仕事に戻らなくちゃ」
「うん。ガンバってね」
ボクがいうとキナミちゃんは、一瞬だけどなにやら複雑そうな顔した。だけどすぐに明るい顔に戻って、
「ガンバるのは、アルトさまの方かもね。気が変わったら、私に声かけてね。アルトさまだったら、私、なんでもおっけーだから」
そういい残すと、部屋をでていった。
2
そうか……ミヤコちゃんとは、もう会えないかもしれないんだ。残念だけどしかたないな。ミヤコちゃんには、お仕事があるんだもんな。
キナミちゃんが部屋をでていった後、ボクはソファーに埋もれてミヤコちゃんのことを考えていた。
やっぱり、もう一度会いたい。もう一度、あの微笑みを見せてほしい。
と、
コンコン
ドアがノックされた。誰かきたみたいだ。もしかしたら、ミヤコちゃんかもしれない。ボクは急いでソファーを離れ、ノックされたドアへと向かった。
でも……。
ドアの向こうにいたのは、ミヤコちゃんじゃなかった。ミヤコちゃんよりも一、二歳下くらいの館児ちゃん。身長は130センチもないかな? 黄緑色のボールが二つついた髪留めで、左右を二つ結びにしている。
「ランチは、いかがいたしましょうか」
そうか、もうお昼なんだ。
「あまりお腹空いてないから、冷蔵庫の物を適当に食べるよ。えっと……準備は、もう始めちゃってるの?」
「いえ、これからはじめるところです」
「よかった。だったら、ボクの分はいいから。そうしてもらえるかな?」
「はい。かしこまりました」
と、これで用は済んだはずなのに、館児ちゃんは立ち去ろうとしない。
あっ! もしかしたら、チップとか払わなくちゃいけないのか!? 困ったな、あまり現金は持ってきてないんだけど……。
ボクが、ズボンの後ろポケットに突っ込んであるサイフに手を伸ばそうとすると、
「あの、アルトさま」
「ご、ごめんね。チップなら今だすから」
「ちっぷ……? そのようなものはお受けとりできません。きそくですから」
チップじゃないのか。というか、チップは払っちゃダメみたいだ。じゃあ、なんだろう……?
「しつれいかとは思いますが、アルトさまは、ごごのごよていなどございますでしょうか」
ご予定? 一緒に「遊ぶ」おんなの子はいるのか……ってことかな?
「とくに、予定はないよ」
「なのでしたら、よろしければ、わたくしがお相手をつとめさせていただくこともできますが」
気をつかってくれてるのかな? それとも、こう聞くことも規則なのかな?
なんとなくそんな気分じゃなかったけど、ボクはここに「楽しみ」にきたんだし、いつまでもミヤコちゃんを引きずっていても仕方ない。ミヤコちゃんだってボクが「楽しんで」いる方が嬉しいって、キナミちゃんもいってたしな。
ボクはそう思って、
「うん。お願いできるかな。お昼ご飯食べちゃうから、一時間くらいしたらまたきてくれる?」
館児ちゃんに告げた。
「はい。かしこまりました」
ボクが冷蔵庫に入っていた物を適当に食べ、あれからきっちり一時間後。館児ちゃんがきてくれた。
館児ちゃんの名前は、カオリちゃん。ミヤコちゃんと比べると全体的にぎこちなかったけど、小さなお口を涎でベトベトにしながらも、一生懸命おしゃぶりしてくれるのがかわいかった。
「お、お口の中に、だしてもいい?」
そろそろ限界だ。ボクが聞くと、カオリちゃんは小さく顎を引く動作で答える。ボクは彼女の頭を両手で固定し、意識してせき止めていた熱い流れを開放した。自分でも驚くほど脈打ち、ソレは勢いよく溢れる。
「うっクッ……!」
カオリちゃんは苦しそうな声とともに、ボクのモノを口の外にだした。
「げほッ! ゲホ、うゲぇッ」
彼女の桜色の唇を犯しながら零れた精液が、シーツを濡らす。
「だ、大丈夫? ごめんね」
ボクがそういうより早く、カオリちゃんは脅えたような表情をボクに向けて、
「もうしわけございませんッ! もうしわけございませんッ」
その場に土下座した。
「も、もうしわけございません」
その声に涙の色が混ざる。
ボクは、なんとなくだけど悟った。
どうもカオリちゃんは、これと同じ「粗相」をして、客に怒られた経験があるようだ。こんなことくらいで、こんなに小さくてかわいい子を怒るなんて……。
ボクは泣いて謝るカオリちゃんの頭をなでる。
「泣かなくていいよ。とっても気持ちよかったから。ありがとうね、カオリちゃん」
カオリちゃんは不思議そうな顔をして、でも、泣きやんでくれた。
このことでカオリちゃんの緊張もほぐれたのか、その後彼女は、たくさんの笑顔をボクに見せてくれた。言葉づかいも、多少ではあったけど普通のおんなの子っぽい感じに変わって、いろいろなことが終わった後、一緒にふざけながらシャワーを浴びているときには、「きゃっ! きゃっ!」って、楽しそうに笑ってくれた。
☆
カオリちゃんが部屋を後にして、約三十分。時間は、午後四時になろうとしていたころのこと、ボクの部屋に来客があった。
その客とは、五十代後半だろうオヤジ。ボクは、こんなオヤジを部屋に呼んだ覚えはない。このオヤジ、ボクと同じゲストだな。館主は、他のゲストとほとんど会うことはないだろうっていってたし、ボクも会いたいとは思ってなかったけど、先方からきてしまってはどうしようもない。
「新顔がきているというから、見にきた」
ソファーに腰を埋めるなり、オヤジは尊大な態度でいった。ボクの嫌いなタイプだ。でも、どこかで見たことがあるような気がする……。
「知らない顔だな。どこの御曹司だ」
「どこの御曹司でもありません」
「ではなんだ」
なんだって、あんたこそなんだ。
「世の中には、いろいろなことがあるものです。ボクのような若造が、一夜にして億万長者の仲間入り……ってことも」
「フンッ……成金か」
「はい。成金です」
まったくもって気に入らないオヤジだ。でも、やっぱり見覚えがある。どこで見たんだ? テレビ? 新聞? 雑誌? ネット? 直接みたのか? 一度、すれ違った……とか。
ボクは昔から人の顔を憶えるのが得意で、一度見た人の顔はだいたい憶えている。でも、こんなオヤジに興味ないからな。思い出せないなぁ。
う〜ん……どこで見たんだ?
すると、突然ボクの頭の中に、
『有人、コーヒーくれ』
という、もう何年も聞いていないあの人の声が聞こえた。
……あっ、そうだ! 思い出した。
このオヤジ、有名私立女子校のオーナーだとかなんとかのオヤジだ。高校生のときバイトしていた……というか、無理やりコキ使われていた探偵事務所の調査ファイルで見たんだ。
人の顔を憶えるのが得意だということで、ボクは久貫鏡一郎(くぬき きょういちろう)という私立探偵が所長を務める探偵事務所(といっても、探偵は久貫さんしかいなかったけど)で、雑用係兼探偵助手をやっていたことがある。
久貫さんが追っていた結婚詐欺師。その詐欺師を偶然ボクが見かけ、ボクが見かけたような男を見なかったかと聞いてきた久貫さんに、「そんな感じの人なら、駅前のスロットゲーム屋にはいってくの見ましたけど」……と答えたのが、ボクと彼が知り合う切っかけになった。
「昨日今日の成金に用はない」
オヤジが、ソファーから腰を上げる。
「ボクも、女子校のオーナーに用はありません」
驚いたようなバカっツラを、ボクに向けるオヤジ。まさか、ボクみたいな若造成金に自分の正体がバレるなんて、思ってもみなかったんだろう。いい気味だ。
「キサマ、何者だ」
ナニモノだ……だ? ケッ、時代劇かよ。
「ただの成金の若造ですよ。えっと……ここでは、タツキとでも名乗っておられるのですか?」
完全に思い出した。このオヤジの名前は、尾千村竜樹(おちむら たつき)だ。
久貫さんが調べていた、ある会社の脱税だか贈賄だか、まぁそんな感じの不正な金の流れについての調査で、リストアップされていたヤツだ。
ボクはあんたを知ってるが、あんたはボクを知らない。これは、ボクの方が有利だということだ。
というわけで、
「ボクが何者でもあなたが何者でも、お互い関係のないことだと思いますが」
ここは退散してもらおう。もちろん、ボクはこんなオヤジには二度と会いたくないから、このオヤジが二度とボクに近づこうとは思わない形で。
「確かにボクは成金ですが、幸運にもいろいろな方々とおつき合いをさせていただいています。ボクはここに楽しみにきているのですよ。あなたが外の世界でのことを持ちだし、ボクの楽しい時間を奪おうとするのでしたら、そのいろいろな方々との繋がりをあなたに示さなければなりません。それはお互いに楽しいことではないと思いますが、いかがでしょう?」
オヤジが、ボクのハッタリにビビッたのが見てとれた。
「そ、そうですな。お若いにも関わらず、よいことをおっしゃいますな」
言葉づかいが変わってるし、声も上擦ってるぜ、オヤジ。
「ありがとうございます。それでは、お互い楽しい時間を過ごしましょう。ボクはそれを望んでいます」
オヤジがうなずく。ボクもうなずいてやった。そしてオヤジは、そそくさとボクの部屋をでていった。
これでオヤジは、ボクの後ろにいるだろうと思われる「いろいろな方々」の影に勝手に脅え、ボクにちょっかいをかけようとは思わないだろう。
それにしても、あのオヤジに対したのの半分でいいから、おんなの子たちにもしっかりと対応できたらいいのに。
どうもボクは、おんなの子の前だと必要以上に身構えてしまうように思う。でも、おんなの子ってかわいいもんな、仕方ないよなぁ……。
3
ディナーを終えて部屋でゆったりしていると、ドアがノックされた。今度の来客はオヤジじゃなくて、カオリちゃんと、カオリちゃんと同い年くらいの館児ちゃん。
身長はもう一人の館児ちゃんより、カオリちゃんの方が少し高い。その子はなんだかおとなしそうな雰囲気で、背中を全部隠すくらいに長い真っ直ぐな黒髪がキレイな子だ。
「あ、あの……こんやのお相手は、おきまりでしょう……か?」
探るような口調で、カオリちゃんがいった。
「ううん。決まってないよ」
「で、でしたらあのっ! わ、わたくしたちでも……よろしい、でしょうか?」
「二人も? いいの?」
「は、はいっ!」
そういえば、「多人数で遊んではいけない」……とは聞いてない。ボクはカオリちゃんともう一人の館児ちゃんを、部屋に招きいれた。
カオリちゃんとは別の館児ちゃんは、ユカコちゃんというそうだ。緊張しているのかもしれないけど、無口でおとなしい子だ。
全裸になったボクたちは、三人でベッドの上。全体的に多少ふっくらとしたカオリちゃんと比べると、ユカコちゃんは結構細身で……というより、痩せているのかな? アバラがくっきりと浮き出している。スリットの肉厚も薄く、ぷにっていうよりは、つるって感じだ。胸は、二人とも完全なペッタンコで同じだけど。
ボクのペニスを、カオリちゃんとユカコちゃんが、二人で仲良くペロペロしてくれる。
下半身を投げ出し上半身を起こして二人を見るボクと、キスしちゃいそうなほど顔を近づけて一本のペニスを丹念になめている二人。
う〜ん……かわいいなぁ。本当、なんてかわいいんだろう。
ちゅぴっ、ちゅ、ちゅっ、くちゅ……
ふたりの舌と唇の刺激が、徐々にボクを昇らせていく。でも、最初にガマンできなくなったのはカオリちゃん。
潤んだ瞳をボクに向けて、
「ア、アルトさま」
せつなげに呼ぶ。
「欲しいの?」
聞くと、
「はい……いただきたい、です」
カオリちゃんはおしゃぶりよりも、アソコでするのが好きみたいだ。ボクはそれを、昼間の彼女との「お遊び」でわかっていた。
「いいよ。おいで」
ボクは胡座になって、カオリちゃんを招く。カオリちゃんはボクに背中を向け、腰の上で中腰になる。ユカコちゃんはベッドに正座して、その様子を無言で眺めていた。
「自分でいれられるかな?」
ボクがいうと、
「はい、できます」
カオリちゃんはボクのペニスに手をそえて自分のスリットに当て、そのままゆっくりと腰を落としていった。
彼女のはすでに濡れていて、ボクのを唾液ではないお汁で濡らしながら奥へと導いていく。
ボクのは締めつけられながら、ほどなくしてカオリちゃんの最深部へ到達する。先端に感じる、固めの感触。これ以上奥はないという証拠だ。
「カオリちゃんの奥にとどいたよ?」
ボクはカオリちゃんの耳元に囁いて、彼女をボクの胸へともたれかけさせた。彼女はすでに「ハァハァ」と息を荒くしていて、ボクを包み込む肉壁もピクっピクっとうねっている。
「まだいれただけだよ? 大丈夫?」
「は、はい。だ、だいじょうぶ、で、ですぅ」
「そう? 辛かったらちゃんというんだよ? 無理しなくていいからね」
「は……はいぃ、ア、アルトさまぁ」
「じゃあ……どうしよう? ユカコちゃんに見てもらおうか? ボクとカオリちゃんが繋がってるところ」
ボクはカオリちゃんの膝の裏に手をそえて、細い両脚を左右に開かせる。ユカコちゃんに、ボクたちが繋がっているのがよく見えるように。
自分でも、大胆なことしてるなぁ……と思ったけど、そうしてもカオリちゃんはイヤがらなかったし、
「ユ、ユカぁ〜……みてぇ、ア、アルトさまのが、あたしに、あたしにはいってるのぉ〜」
自分からもそういった。
カオリちゃん、言葉づかいが変わってる。これが、本来のカオリちゃんの口調なんだろう。やっぱりボクは、こっちの普通のおんなの子っぽい口調の方が好きだな。
と、ユカコちゃんがボクたちの方に接近してきた。そして彼女は膝をおって身体を丸めると、ボクとカオリちゃんの結合部に顔を寄せる。そしてすぐさま、ぴちゃぴちゃ音を立てて、繋がったボクとカオリちゃんの性器をなめ始めた。
カオリちゃんと繋がった感触と、ユカコちゃんの舌の感触。二つの刺激に責められるボク。なんだかすごいことしてる。
って、冷静に考えれば、これって3Pなんだよな。初めてだ、3Pって……。
3P初体験(それも、幼いおんなの子ふたりとの)の感動にボ〜っとなっていたボクは、
「アルト……さ、さまぁ」
モジモジと身体を揺するカオリちゃんの声に、意識を浮上させられた。
「うん……わかってるよ、カオリちゃん」
ボクは掴んだカオリちゃんの両脚を揺らし、ボクと彼女に刺激を与える。カオリちゃんが、「アンっ! あぁっ、ゥンッ」……と、とろけるような声で鳴き始めた。
カオリちゃんは両手をボクの太股に置き、腕を使って自分でも身体を揺らす。結合部から、ジュチジュチという感じの音が奏でられる。
「ふぁッ! アッ、ひっ……ぅくっ、アルト、アルトさまあぁんっ!」
涙混じりの声で喘ぐカオリちゃん。ユカコちゃんは無言で、揺れる結合部をなめ続けている。
「ふわぁッ! アッ、アひっ」
カオリちゃんの限界が近い。彼女はもう、自分では振動を起こせなくなっている。ボクは両手でカオリちゃんのお尻の辺りを掴み、彼女の身体を激しく揺すった。
強い締めつけに負けないように股間に力を注ぐ。擦れあう性器の摩擦が、快感となってボクたちに与えられる。
言葉にならない喘ぎ声で鳴くカオリちゃん。
「イッちゃっていいよ、カオリちゃん」
ボクが囁くとほぼ同時に、
「アッ、はあぁゥンッ!」
これまで以上にボクを強く締めつけ、カオリちゃんは達した。
クタっと脱力し、ボクにもたれかかってくるカオリちゃん。するとユカコちゃんがなめるのを止め、顔を上げて身体を引いた。
ボクは脱力したカオリちゃんの身体を支えながら、ゆっくりと前に倒し、彼女と繋がっていたモノを引き抜く。彼女は脚をひし形にして、シーツにうつ伏せになった。
「大丈夫? カオリちゃん」
カオリちゃんは「ハァ……ハァ……」と息を吐きながらうなずいた。でも身体はピクピクと震えているし、お尻なんかビクンビクンと波打っている。
少し休ませてあげた方がいい。というか、もう無理かな? そう思っていると、スッとユカコちゃんがボクの腕に触れてきた。
「どうしたの? ユカコちゃん」
ユカコちゃんが、いきり起ったままのボクの股間へと視線を落とす。
「今度は、ユカコちゃんがお相手してくれるの?」
彼女は、コク……とうなずいた。
ボクはカオリちゃんに「休んでていいからね」といい、今度はユカコちゃんにお相手をしてもらうことにした。
☆
カオリちゃんをそのままにして、ボクはユカコちゃんを背中から抱きしめる。
「ユカコちゃんの髪、キレイだね」
「……」
「さわっていい?」
コク……ユカコちゃんが小さくうなずく。お許しがいただけた髪に触れると、思った通りのサラサラとして滑らかな質感。なんだか、液体のようにも思えた。
「イヤだったら、はいっきりいってね? ボクはユカコちゃんがイヤだったら、なにもしないから」
首を縦に動かすユカコちゃん。ボクは「イヤだったら、本当にいうんだよ?」と念を押し、彼女の股間へと手を潜らせる。それと同時に、ボクの硬い肉棒がユカコちゃんの背中に押しつけられた。
「ぅん……」
ユカコちゃんが声を漏らす。ボクは肉厚の薄い彼女のスリットを探り、指先にお豆ちゃんを確認すると、それをクリクリと転がした。
「ぅく……ひっ、ひぃんっ」
ユカコちゃんの身体がこわばる。
「もっと楽にして。イヤだったら止めるけど」
フルフルと首を横に振り、ユカコちゃんは身体の力を抜く。ボクがそのまま続けると、徐々にユカコちゃんが湿りだした。指に絡んでくるお汁。
もういいかな? 思ったボクは、
「じゃあカオリちゃんみたいに、ボクの上に乗れるかな?」
ユカコちゃんにいって胡座になる。
「……はい」
彼女は小さな声で答え、ボクに背を向けたまま中腰になると、慎重とも感じられる手つきでペニスの角度を調整してスリットにあてがい、ゆっくりと腰を落としていく。
くぬっ……とユカコちゃんに埋まっていくボク。温かな彼女の中。一番奥に届く。ボクはユカコちゃんの細い太股を持ち上げるようにして、彼女を揺する。
ユカコちゃんはなにかを堪えるような声で、「うくうく」と鳴いた。
「ユカコちゃん、ガマンしなくていいよ? 声でちゃうなら、だしていいから」
小さくうなずくユカコちゃん。ボクはユカコちゃんの身体を揺すり続け、
「ふぁっ! ひっ、ひっ、ひぃんッ!」
彼女のかわいい声を奏でさせる。それにしても、ユカコちゃんって感度がいいのかな? なんだか、すっごく感じているみたいに思えるんだけど。
「気持ちいい? ユカコちゃん」
コクコクと忙しくうなずくユカコちゃん。
「ボクも、気持ちいいよ」
こうして、カオリちゃん、ユカコちゃんと連続して結合してみると、二人の感触の違いがわかる。カオリちゃんよりもユカコちゃんの方が狭い、でも、深さはユカコちゃんの方がある。場所の位置も違っていて、ユカコちゃんの方がよりお尻に近い場所で繋がっているように感じる。
鳴き方だって、カオリちゃんは「アッ、アンっ、アぁンっ!」って感じだったけど、ユカコちゃんは「ひっ、ひぃンっ!」って感じだ。
「前に倒すよ? いい?」
ユカコちゃんを前に倒しながら、胡座をといていく。丁度、シーツに上半身をつけてお尻を持ち上げるユカコちゃんに、後ろから押し入ったような体位になった。ユカコちゃんの背中は、大きく反っている。だけど彼女は、なにも苦痛を感じていないようだ。
ユカコちゃんって、結構身体やわらかいな。
思ったボクは、ユカコちゃんと繋がったままいろいろと体位を変えてみた。彼女はそれに、苦もなく応えてくれる。まるで、体内に骨がないかのような柔軟さだ。
「苦しくない?」
と聞いても、ユカコちゃんは首を横に振るだけ。少なくとも、その表情に苦痛はない。それよりも、快感に責められいるようにさえ思えた。
「気持ちいいの?」
首を縦に揺らすユカコちゃん。ボクは彼女を転がしたり抱えたり上に乗せたりして、いろいろな体位を楽しんだ。
彼女はとても軽くて、簡単に持ち上げたり下ろしたりできる。
「ひっ……ひくぅっ、ふぁッ!」
ユカコちゃんを上に乗せて突き上げていると、突然彼女がポロポロと涙を零し始めた。ボクは腰を止めて、
「ど、どうしたのユカコちゃん!? イヤだったのッ?」
首を横に振り、でもスンスンと鼻を啜るユカコちゃん。
ど、どうしよう!?
慌てているボクに、
「アルトさま。ユカは、イッちゃいそうなんです」
カオリちゃんの声が届いた。カオリちゃんはもう大丈夫みたいで、上半身を起こしてボクたちの行為を見ていたようだ。
「ユカ、イッちゃいそうになると泣いちゃうんです。イヤがってるんじゃなくて、気持ちよすぎて泣いちゃってるんです」
「そ、そう……なの?」
「そうよね? ユカ」
カオリちゃんの言葉に、泣きながらうなずくユカコちゃん。
「イヤじゃいんだね?」
ユカコちゃんに聞くと、
「ぐすん……いやじゃない、で、です。アルトさま、や、やさしいし、ぐす……きもち、いい……の」
彼女にしては長いセリフで答えてくれた。
「じゃあ、続けるね? いい?」
うなずくユカコちゃん。ボクは彼女の腰を掴み、突き上げを再開した。ユカコちゃんがボクの胸に倒れてくる。胸に顔を押しつけて、泣きながら喘ぐ。涙が胸を濡らす。すると間もなく、
「ひぃッ!」
短い、でもユカコちゃんにしては大きな声を上げて、彼女は果ててしまった。ビクビクとうねり、ギュッとボクを締めつけるユカコちゃんの中。
もう少しで、ボクも果てそうだ。
「も、もう少しでボクも……だ、だから、ちょっとガマンしてね」
ユカコちゃんがイッてすぐで辛いのはわかる。でも、ボクの腰は止まらなかった。
「ひっ……くゥッ! ひっ、ヒッ、ヒィッ」
息を荒くするユカコちゃん。くる。下腹部から昇ってくる。
「だ、だすよッ! ユカコちゃんッ」
搾り取られるような締めつけ。ボクはユカコちゃんの中に、溢れるほどの精を放出した。
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